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プロジェクト事例


タンジブル遠隔見守り

離れて暮らす高齢者をさりげなく見守る生活の雰囲気を伝え合うシステム「Tangibleリモートケア」

65歳以上の人口が2,500万人を超え、今や日本人の5人に1人が高齢者となった。一人暮らしの高齢者数も400万人近くに上り、年々増加の一途をたどっている(『平成18年版高齢社会白書』)。そうした中、このほどNTTコムウェアでは、一人暮らしの高齢者の安心・安全な生活を支援するシステム「Tangibleリモートケア」を開発した。従来の「見守りシステム」にはない特長などについて、研究開発部担当課長 塩入律雄に聞いた。

自分の親が高齢者になったときに使いたいシステム

―――「Tangibleリモートケア」を開発した背景や意図についてお聞かせください。

NTTコムウェア株式会社 研究開発部 担当課長 塩入律雄塩入:少子高齢化が大きな社会問題となり、「孤独死した独居老人が、何日もたってから発見された」といった悲しいニュースもよく聞かれます。こうした問題に対して、ネットワークや先進のIT技術を使って何か貢献できないか、というのが今回の開発の出発点でした。

離れて暮らす家族が一人暮らしの高齢者をネットワークによって見守るシステムは、すでに各種提供されていますがあまり普及していないのが現状です。そこで私たちは、ユーザの視点でそうしたシステムを見直してみました。「自分の親が高齢者になったとき、使いたいと思えるシステムとはどんなものか」と。
まず気づいたのは、従来のシステムでは「見守る」ために機器操作が必要だということ。離れて暮らす親の様子を知るのに、携帯電話やパソコンからサーバにアクセスしなければなりません。しかし、もし親と同居しているとしたら、普段から足音や気配を何となく感じ取っていて、様子がおかしいときはピンとくるはず。それが、自然な「見守り」のあり方でしょう。
一方、見守られる側からすると、既存のシステムでは自分の行動が逐一センサで記録され、監視されているように感じてしまうのではないでしょうか。 そうした視点から生まれた「Tangibleリモートケア」は、一人暮らしの高齢者とその家族が、お互いに生活の雰囲気を伝え合いながら、さりげない見守りを可能にするという、今までにないシステムなのです。

―――「さりげない見守り」とはどのようなものですか。

ツインオーブ塩入:一人暮らしの高齢の親がいるとします。その親の宅内に、赤外線で人間の動きを感知する「人感センサ」等を何カ所か設置し、感知された情報をインターネット経由で送信、見守る家族の宅内で親の様子が表示される−−というのがシステムの基本的なイメージです。
「さりげない見守り」を実現するために工夫したのは、送られてきた情報の表示方法です。「ツインオーブ」という機器を使うのですが、これは2つの発光体の色の変化で情報を伝えます。例えば、左側の発光体の色は親が宅内のどこにいるかを示し(青=リビング、黄=ダイニング、緑=お風呂など)、右側の発光体の色は親の状況を示す(青=平常、黄=注意、赤=危険)、という具合です。
見守る側でこれをリビングなどに置いておけば、普段から邪魔でない程度に目に入ってくる。わざわざサイトにアクセスする方法と違って、気になったらいつでも見ることができます。「さりげなくそこにあり、必要ならいつでも見られる」という、いわば壁の時計のような存在になれれば、と思っています。

―――さきほどおっしゃった同居している場合に近い、自然な見守りが可能になるわけですね。ほかにはどのような特長がありますか。

塩入:見守る側・見守られる側それぞれの宅内にセンサとツインオーブを設置し、お互いの様子を伝え合えるというのも、このシステムの大きな特長です。一人暮らしの親の側でも、「孫の家も起きたようだぞ」「食事をしているのかな」などと離れた家族の様子が分かる。これも同居に近い雰囲気といえるでしょう。一人暮らしの孤独感や、「自分だけ監視されている」という抵抗感も軽減されます。直感的に理解でき、操作も不要のツインオーブだからこそ、こうした「雰囲気の共有」が実現するのです。 お互いにリビングでくつろいでいると分かれば、「ちょっと電話でもしてみようか」と思ったりもするでしょう。雰囲気の共有には、そうしたコミュニケーション促進の効果もあるのではないかと期待しています。

システム構成図

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