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NTTコムウェア










プロジェクト事例


離れて暮らす高齢者をさりげなく見守る生活の雰囲気を伝え合うシステム「Tangibleリモートケア」

1つのシステムで「見守り」と「防犯」を統合

―――危険な状態の発生を知らせる機能もあるのですね。

NTTコムウェア株式会社 研究開発部 担当課長 塩入律雄塩入:もちろん、伝えられるのは日常生活の雰囲気だけではありません。

システムはセンサからの入力をつねに分析していますから、「入浴時間が長すぎる」といった危険状況を察知すると、見守る側のツインオーブで即座に知らせます。音やメールで警告を発することも可能です。
また、玄関のドアや窓に設置した開閉センサと連動した「自動防犯」機能もあります。例えば、人感センサの情報などから「就寝」や「外出」といった状況をシステムが自動的に認識し、それ以降に窓が開けられた場合などに、警報音を発して不審者を撃退したり、家族宅へ音声やメールで知らせたりするのです。

システムが自動的に状況を判断しますから、スイッチの入れ忘れで作動しないといった心配もありません。特別な操作なしに、さりげない「見守り」と「防犯」を1つのシステムで利用できるのも、従来なかった大きなメリットです。導入の手間やコストもそれだけ抑えられるわけですから。

―――この新サービスを実現するシステムの構成を教えていただけますか。

塩入:宅内における主な構成要素は、人感センサ・開閉センサ、ツインオーブ、そしてNTTコムウェアが開発した超小型Linuxサーバ「L-Box」です。高齢者とその家族など、離れた2つの家に同様の機器が設置され、L-Box同士がインターネットで結ばれます。
ツインオーブというのは、NTTコムウェアが実用化に取り組んできた各種タンジブル・ユーザインタフェース(※注)の1つです。オーブとは「球体」の意味。アメリカでは1個のオーブの色で情報を伝えるサービスがすでに商用化されていますが、私たちの「Tangibleリモートケア」では2個のオーブを採用し、それを「ツインオーブ」と呼んでいます。実際には球体である必要はなく、むしろインテリア的に室内環境になじむ形態が望ましいと考えて試作を行っています。

試作中のツインオーブ。よりインテリア性を追求したデザインとなっている。

L-Boxは小型で音も静か。家庭で24時間稼働させるのに最適です。センサからの入力情報をインターネット経由でリアルタイムにやりとりするほか、情報を蓄積して分析し、危険状況の判断と警告の発出も行います。もともと汎用サーバですから、プログラムの修正・追加によって、システムの変更や拡張にも柔軟に対応できます。

※注:Tangible(タンジブル)とは“実体のある”、“触れて知覚しうる”という意味。MITメディアラボの石井教授が提唱した、全く新しい操作感覚でPCとそれを使う人間とのインタラクティブな関係を創る次世代のユーザインタフェース技術。デジタル情報に物理的実体を与えることにより、手で直接操作可能なメディアや、人間の周辺感覚で知覚可能なメディアなどがある。「Tangibleリモートケア」では、さりげなく遠隔地の生活の雰囲気を感じるのに適した知覚メディアを利用している。

―――今後はどのような展開や応用をお考えでしょうか。

塩入:まずは高齢者向けマンションなど一人暮らしの高齢者が入居する施設とその家族宅に展開し、使用実績やノウハウを蓄積していきたいと考えています。介護サービス事業者や、高齢者の多い地域の自治体などを通じた導入も図りながら、最終的には一般家庭で広く利用していただくのが目標です。また、複数の高齢者宅を1カ所で見守ったり、近所の高齢者同士で見守り合ったりすることも考えられます。

「Tangibleリモートケア」については、今年2月の初めに報道発表を行ったのですが、問い合わせなどかなりの反響がありました。注目度の高さを実感しています。汎用性・拡張性に優れたシステムですから、多様なニーズに柔軟に応えることで、より多くのみなさまのお役に立てるように願っています。

「一人暮らしの娘のアパートと親の家を結ぶ、といった使い方もありうるかもしれません」と塩入は話す。このシステムは、高齢者とその家族に限らず、単身赴任者とその家族、恋人同士など、「雰囲気を共有したい」「さりげなく見守りたい」というニーズさえあれば利用可能なのだ。安心・安全な暮らしを支援する「Tangibleリモートケア」は、生活のさまざまなシーンに活躍の場を広げていく可能性を秘めたシステムといえるだろう。

2007/4/2

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