COMWARE PLUS プラス・サムシングを大切なお客さまへ

メールマガジンのご登録
ポスト
        
        

Deep Learningが進展してきた背景

3つのブームには関連性があり、第2次ブームで実現できず、宿題として残った取り組みが、第3ブームで花開いたという一面もあります。例えば、AIの第2次ブームで「知識」に限界が生じたとき、注目されたのが「自然言語処理」と「機械学習」でした。この2つの研究が続けられ、第3次ブームで開花したといえます。

自然言語処理とは、見えているデータを手がかりに、見えていないデータを予測する技術です。例えば自然言語処理の技術を活用した翻訳では、「この英語の単語は、日本語のこの単語に訳されている確率が高い」と予測し、翻訳をします。

また「AIが自ら学習する機械学習」における学習とは、「イエスかノー」に分類することを意味します。AIがデータを処理しながら分け方を学んでいくわけです。

例えば、人間が一度「ネコ」を覚えさせると、次からはイヌやネズミやネコや多くのなかから、ネコだけを分けていきます。しかも、ネコの特徴をつかむと、三毛猫でもペルシャ猫でもネコと判断します。機械学習によって、そのような分類をAIが行えるようになります。

この機械学習をさらに進化させたのが、Deep Learningです。Deep Learningは、トロント大学のジェフリー・ヒントン教授が中心となって開発した学習方法で、2012年に世界的な画像認識のコンペティションで登場しました。機械学習では「AIが学習する」といっても最初は人間が覚えさせないといけません。ところが、Deep LearningはAIが自ら学んでいくのです。それまで人間が介在しなければいけなかった領域にAIが一歩踏み込んだ、画期的な学習方法だったのです。ヒルトン教授の発表のインパクトが強かったため、それ以降を第3次AIブームと呼ぶ人もいるほどです。

155_img02.jpg

このDeep Learningは、ニューラルネットワークをベースにした技術です。ニューラルネットワークとは、人間の脳神経回路(ニューロン)のつながりを模倣したものです。この技術によって、第2次ブームでは実現できなかった、「コンピューターに知識の意味を理解させる」ことを可能としたのです。

Deep Learningのアイデアは昔からあり、多くの研究者が挑戦してきました。それがなぜ、実現できるようになったのかというと「膨大なデータを処理できるマシンパフォーマンスが実現できた」「膨大なデータを用意できるようになった」「多層の処理ができるアルゴリズムが開発された」ということが理由としてあります。

特にマシンパフォーマンスの進化が大きな要因といえます。10年前の処理速度の遅いマシンではとても実現できなかったのです。今後、マシンパフォーマンスがさらに向上し、アルゴリズムが進化していけば、Deep Learningはさらに発展していくでしょう。

Deep Learningの3つのタイプ

Deep Learningは大きく、「教師あり学習」と「教師なし学習」そして「強化学習」の3タイプに分類されます。それぞれ向き不向きが異なるので、Deep Learningをビジネスで利用する際は、用途に合わせて選択することが必要です。

1.教師あり学習

人間が正解を教えると、その正解に基づき、膨大なデータをAIが認識や分析を行い、AIを育てる方法です。画像の認識と分析が得意で、例えばネコを教えると多くの画像からネコだけを抽出する、ということができます。

従来の手法で、画像認識をさせるには、AIに「この特徴を持つものがネコ」「この特徴があればイヌ」と教える必要がありました。ところが、ネコやイヌには多くの種類があり、また一匹一匹個性もあります。それを網羅するような特徴を人間が洗い出し、AIで動かすプログラムを作るのは大きな負担でした。

ところが教師あり学習では、「これはネコ」「これはイヌ」と教え、そこからAIはネコやイヌの持つ特徴を見つけ出します。それ以降、新しい画像をAIに渡すと、ネコかイヌを分類できるようになるのです。

2.教師なし学習

人間が正解を教えないまま、膨大なデータのみをAIに与え、AI自ら正解(特徴など)を見つける方法です。世の中にある正解のない問題、あいまいな問題への活用が期待されています。例えば、スーパーで活用した場合、「Aの商品はBと一緒に買われることが多い」といった発見を導き出します。

また機械の異常検知にも役立ちます。機械は調子が悪くなると、温度が上昇したり、異音を出したりします。教師なし学習のAIで監視させると、まずは正常運転の状況をAIは覚えます。そして、通常の範囲を超える温度上昇や異音などを検視すれば、異常として人間に通知できるようになります。

従来の手法であれば、人間が「〇度以上になれば異常である」とプログラムする必要がありました。しかし異常の条件をすべて人間が洗い出してプログラミングするのは困難です。また想定外の異常には対応ができません。ところが教師なし学習であれば、機械を運用させる過程でAIが自ら「正常な状態」を学習し、正常を超える状態が発生した場合に検知できるというわけです。

3.強化学習

強化学習は、報酬を教える手法です。AIに人間が仕事と報酬を教えると、それに基づきAIが自身で試行錯誤し、高い報酬になる仕事を見つけます。

例えば、人間の手は柔らかいものも硬いものもつかめます。これは経験がもとになっています。硬いものと柔らかいものがあり、それを上手につかむための方法を自然に学習して体得したわけです。同様に、腕を持ったAIにいろいろなものをつかませるという試行錯誤を繰り返させることで、上手に早くつかむ(報酬)ことをマスターするようになります。

強化学習は、教師あり学習と教師なし学習の組み合わせともいえます。教師あり学習と違って、正解を教えたりはしませんが、代わりに報酬を教えます。その報酬を上げるために、AIは試行錯誤を繰り返して自ら考え、もっとも高い報酬につながる行動を発見するのです。AI自ら発見を導き出すという点では、教師なし学習と近いアプローチです。

次ページ AIをビジネスに利用することへの期待

ポスト

事例紹介

スマートフォン用リンク

エバンジェリストが語るICTの未来

スマートフォン用リンク

ページトップへ

トップへ