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 前回からお送りしている「アンチエイジング」。「まだ若いから」「見た目は気にしないから」関係ないと思っていませんか?「老化」というのは、見た目の問題というよりも、体の機能が衰えてくること、と考えるほうがいいようです。
 今号は、肥満、メタボリック症候群、ひいては糖尿病とも関わりの深い「糖化」についてご紹介します。単に糖分を控えればいいの?という話ではありません。実は、「糖化」は現代人の老化の原因として、「酸化」以上に注意しなくてはいけないそうです。超高齢化の日本、元気で働き続けるためにも体のメンテナンスをしていきましょう。

堀知佐子(ほり・ちさこ)

堀知佐子さん

管理栄養士、食生活アドバイザー、アンチエイジング料理スペシャリスト。京都の調理師学校で教鞭をとった後、京料亭「菊乃井」の物販事業部責任者を経て、2010年株式会社「菊の井」常務就任。08年アンチエイジングをコンセプトとしたレストラン「リール」を開業。栄養学、調理学の視点から健康と食事の関係を学ぶ料理教室の開催を始め、地方自治体の農水産物商品開発アドバイスや生産加工に関わるサポート等々活動も幅広い。著書に『今日から変わる! 若返り食生活』『みそと野菜でアンチエイジング』『100歳まで錆びない栄養レシピ』など多数。

糖化は血管、皮膚、骨の硬化をもたらし、
肌のシワやシミ、骨粗しょう症、白内障の原因に

 前回は「体の錆び」=「酸化」についてお話しましたが、今回は「体の焦げ」=「糖化」について説明しましょう。
 糖化というのは、体の中(血管)で余分な糖がタンパク質や脂肪と結びついて細胞を劣化・変性させることです。糖化の過程ではAGE(=Advanced Glycation End Products「終末糖化産物」)という悪玉物質が次々と発生しています。
 実は、前回取り上げた酸化は、呼吸する動物にとっては絶対的に発生する現象なので、それに対抗する手段も体内に用意されています(具体的には抗酸化酵素など)。ところが糖化は、過剰に糖を摂取した時に起きるもの。これは本来の動物の暮らしでは想定外なので、糖化に対抗する手段は排泄程度で、ほとんど備わっていません。ですから、糖化は酸化以上に負担がかかり、働き盛り、でもそろそろ生活習慣病が気になるというビジネスパーソンはもちろん、若手の20代、30代でも油断はできないのです。

血管のイメージ

 糖化によって起きるのは、主に体の硬化です。といっても、もちろん「前屈が苦手」のような、体の固さではありません。血管、皮膚、骨などの弾力性が失われていくことです。表に出てくる現象としては、まず肌のシワやシミ。AGEは、褐色をした物質で、AGEが蓄積されるとシミなどにつながります。また、骨粗鬆症、白内障なども糖化が原因。眼の水晶体は細胞分裂が行われませんから、そこにAGEができたりすると、白内障などを起こすことがあります。
 体内のAGEの量は、血糖値の量と持続時間に比例します。体内で糖とタンパク質がくっついている状態が長ければ、それだけAGEの蓄積量が多くなり、リスクも高まるのです。

同じメニューでも食べ方を工夫すれば糖化を抑えられる

 AGEが体内に蓄積されるルートは主に二つあります。この二つのルートを意識すれば、体内の蓄積を防ぐことができます。
 一つめのルートは、体内で糖とタンパク質がくっついて蓄積するもの。これは食べる順番を気をつけることで防ぐことができます。
 まずAGEは、糖だけ、あるいはタンパク質だけで発生するのではなく、糖とタンパク質とが熱によって〝くっつく〟ことで起こります。ですから糖化が起きやすい状態というのは、体内で糖が過剰になっている状態。体はタンパク質でできていますから、これに糖が接する量が多ければ、その分だけAGEが産生される確率も高くなるというわけです。
 そこでまずは血管内に流れる糖の量を抑えることが大切になります。これには血糖値の急激な上昇を抑えるのが有効です。

ランチタイムで職場の仲間とコミュニケーション

 例えば、早食いによって血糖値が上がるのは想像に難くないでしょう。忙しい中でもランチタイムなどしっかり取って、職場の仲間とコミュニケーションを取りながらというのがおすすめです。
 また、食べる順番も、野菜やきのこ、海藻類→タンパク質→炭水化物の順番に食べるように心がけましょう。空きっ腹にご飯をかき込むような食べ方はもってのほか、というわけです。心当たりのある方もいるのではありませんか?
 また抗糖化について研究されている同志社大学の米井嘉一先生は、炭水化物、タンパク質、脂肪の比率が6:2:2になる食事を勧めておられます。その点では、やはり牛丼やパスタランチよりも定食のほうが糖化を抑えることができます。

老化成分の塊〝焦げ目〟の誘惑に負けるな

 もう一つのAGE取り込みルートとして、食べ物の調理法での焼く、揚げたときの焦げ目。これを過剰摂取しないことで、蓄積を防ぐことができます。
 先に、AGEは、糖とタンパク質が熱によってくっついてできるとしましたが、これは調理法にも言えることです。
 最も分かりやすいのがパンケーキ。小麦粉=糖に卵や牛乳=タンパク質を混ぜて、さらに砂糖を入れ、高温で焼き上げます。香ばしいパンケーキは女性に人気のメニューですが、キツネ色に焼けた部分はAGEの塊とも言えます。こうした食品に含まれるAGEのうち、7%(※)ほどが分解されずに残ります。それが蓄積されると、糖化由来の老化につながるのです。
 この場合、食材というよりも、熱の加わり方という調理の方法による差が大きいので、その点に注目すれば、AGEの低いメニューを選ぶことができます。
 AGEの低い調理法は、順に、生→蒸す→茹でる→焼く→揚げるとなります。「揚げ物が体に良くないなど、分かっている」ことかもしれませんが、揚げ物は、カロリーの問題だけでなく、調理の温度もとても高温ですから、AGEがたくさん産生されているというわけです。「7%」と言えども、分母が大きければ、絶対量は増えてしまいます。

 とんかつ、唐揚げ、焼き鳥など、タンパク質を高温で調理したものは、AGEが高くなる傾向にあります。例えば同じ分量の牛肉でも、フライパンでよく焼いた場合、生に比べて14倍(※)にもなります。
 ですから、ギョーザよりもシュウマイ、バンズよりもベーグルのほうがAGEは低くなります。
 また、ポテトチップスなどスナック菓子類にもAGEは多く含まれています。

焦げ目のついたパン

 この他、加工品に使われる人工甘味料は、通常の糖に比べて10倍の速さ(※)でAGEを作るとされています。清涼飲料水などは想像しやすいのですが、人工甘味料は加工品の多くに使われていて、知らず知らずのうちに体に入れてしまっています。コンビニでお弁当を買う時にも、デザートを選ぶ時にも、成分表示のチェックを習慣づけると良いと思います。
 糖化は、「若いから」「痩せているから」「太るのは気にならないから」気にしなくていい、というものではありません。
 糖尿病リスクもないのに、糖質を必要以上に制限するのは、健康にむしろ害があることもありますから、糖質を「食べない」必要はないのです。ただ、食べるもの、食べ方に気をつけ、不要な糖化を避けてほしいと思います。

 次回は、アンチエイジングの3つめの柱「免疫力の強化」について、ご紹介します。

※AGE測定推進協会調べ

今日の“食べる”ヒント

・糖化防止策は、AGE摂取の防止を心がけること

・食べる順番は、①野菜→②肉・魚→③ご飯・パンを心がけよう

・メニュー選択の優先順位が高い順に、①生>②蒸す>③茹でる>④焼く>⑤揚げる、の順で選ぼう

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