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プロデュース力は仕事にも生き方にも通じるスキル

― 著名人で、自分をよく知っていて見せ方が上手だと思う人はいますか?

デーブ・スペクター氏はVゾーンの作り方が上手いですね。彼は、テレビが主な活躍の場ですから、胸から上がテレビにどう映るかに焦点を当ててモノを考えるのです。ですからネクタイはヴェルサーチやデュシャンといったブランドものを何十本とまとめ買いするそうです。その代わり足元はスニーカーだったり、パンツの裾が中途半端な長さだったりする。「足元はテレビに映らないから」と一向に気にしません(笑)。さすがに合理的で、プロデュースというものをよく分かっていると思いました。
 最近は政治家も格好よく自己表現が上手い人が増えました。若々しく見せる工夫もしているし、安倍首相も海外へ行く時は普段はあまり見ない赤いドット柄のネクタイをしています。シャツの襟の角度とネクタイの結び目のバランスもとてもいい。

― 自分がどう見えるか、自分をどう見せるべきかによって服装が違ってくるということですね。

そうです。それによって、周囲の自分に対する見方が変わり、仕事の成果をも左右することになるからです。だから姿見で自分をよく見て、今日はどんな日か、どこでどんな人に会うか、どんな状況か、そこで自分はどのような立場でどんな仕事をしたいか、それにふさわしい格好をしているかを見て、最も自分らしく見えるように演出するのです。

― その点では、スーツのようなシンプルな服こそ、自分が出やすいかもしれませんね。

ドン小西さん

特にスーツは着る人の感性が出やすいですね。だから身だしなみの基本として服の好感度と清潔感は押さえておきたい。清潔感といっても洗濯がきちんとされているということだけではなくて、袖丈やパンツの丈をちゃんと自分の体に合わせたり、シャツのサイズ感に気をつけるということです。
 ワイシャツはスーツから見れば本来は下着ですから、スーツの袖が傷まないようにシャツの袖が少し出ているのが正しい着方です。襟の後ろもシャツの襟を1cmほど出すものなんです。そうすると見た目に清潔感が出てきます。余裕があれば、ベルトや財布、靴などの革製品は色を統一するというテクニックもあります。
 手軽に好感度を上げるのに役立つのがハンカチ。ダークスーツでネクタイもオーソドックスなのに、ふと取り出したハンカチがちょっと派手な柄だったりすると意外性があります。小物だから目立ちすぎることもありません。ソックスやネクタイとハンカチの色を合わせるのも粋です。800円も出せば、それなりのものが手に入るし、これ見よがしの高級腕時計よりもずっとセンスよく見えて効果的です。ちらっと見せて、すぐしまうモノだから、周囲に「おしゃれ!」と映って印象も変わります。これも自己表現の一つのテクニックですね。こうやって小物から服装全体のイメージを作っていくという手もあります。
 着こなしのセンスを高めるには、洞察力、観察力、想像力を磨くことが大切。自分を知り、よりよい自分になれる方法を探ることで洗練されていく。ファッションにも仕事にも、ひいては生き方にも通じることだと思います。

取材後記

個性的な服装でテレビなどに登場するドンさん(ご本人のリクエストなので、こう呼ばせていただいた)だが、決して不快感を与えるものではなく、完璧に自分のものにしている。「ファッションにおいて唯一無二でありたい」というご自身の思いを大切にしながら、周囲への気配りも決して怠らない。浮き沈みの激しい業界で、長く活躍する秘訣だろう。それにしても、服装だけでこんなに、いろいろなことを見抜いてしまうとは。「ちょっとシワが寄っているシャツだけど、まあ、いいか」というその気持ちの緩みが、仕事にも表れるということだ。

プロフィール

ドン小西
1950年三重県生まれ。(株)小西良幸デザインオフィス代表。「YOSHIYUKI KONISHI」「d.k.f」「FlCCE」「FICCE UOMO」を大ヒットさせ、独特の色使い、匠な素材の合わせ方など「ドン小西」の世界観を築く。最近では各種メディアでの激辛ファッションチェックでもおなじみ。91年「毎日ファッション大賞」、98年「FEC(ファッションエディターズクラブ)デザイナー賞」等受賞多数。シドニーオリンピック「日本選手団公式服装選考委員会」委員、財団法人日本ユニフォームセンター理事、社団法人日本流行色協会理事、「クールビズ」「ウォームビズ」名称選考委員など。

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