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下積みを楽しむこと。そこからプロへの道が開ける

― どうやってお客さんをひきつけようかと探求された結果、自由自在にギターを弾きこなす独自のスタイルができあがったというわけですね。

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一人でも多くのお客さんに来ていただきたいし、「押尾コータローっていいよね」と言ってもらいたくて、どうしたら聴いてもらえるか、どうしたら楽しんでもらえるか、常に考えて工夫しています。ギタリストは媚びずに黙々と弾くのがかっこいいと言う人もいますが、聴いてもらうには、やはりお客さんとのコミュニケーションが大事だと思うんですよ。
 偉大なミュージシャンである故・河島英五さんから、貴重なアドバイスをいただきました。「インストゥルメンタルの演奏で曲名だけ紹介して弾いたって、何も伝わらない。曲に対する思いを少しでも話してから弾けば、その言葉が歌詞の代わりになる」と言われて、実践するようになりました。歌がない曲に言葉を添えると、聴く人の心に情景が見えてくる。すると、音楽の感じ方も変わるんです。

― そうした押尾さんの姿勢がファンにも観客にも伝わっています。コンサートは、会場が本当に一体となっていて、全力で押尾さんの音楽を、この時間を味わおうという気持ちであふれていました。

ありがとうという気持ちしかありません。「つらい時に押尾さんの曲を聴いて、気持ちが軽くなった。ありがとう」などとお手紙をいただくことがあるのですが、そんな時は僕のほうこそ、ありがとうという気持ちになります。音楽を続けてきてよかったと心から思います。

― 若い世代の方々に「働くこと」に対するメッセージを送るとするとどのようなことですか。

少し急ぎすぎるかな、という気はします。今すぐギタリストになりたい、今すぐデザイナーになりたい、今すぐトップに立ちたい…。下積みばかりしろと言うつもりはないのですが、雑用で学べることはたくさんあるんですよ。「自分がやりたいのはこんな仕事じゃない!」と突っぱねるのではなく、ベストを尽くして取り組むと見えてくることがあります。考えて工夫することを楽しんでほしいですね。
 もちろん、技術や才能は磨いておかなければなりませんが、それだけでは、いつ日の目を見るかわかりません。やはりチャンスをくれるのは先輩や上の方々ですし、彼らの信頼を得られれば、大抜擢の可能性もあるわけです。使い走りのエキスパートになってやる、くらいの気持ちで目の前の仕事に向き合えば、相当使える人材になれるはずなんです。
 相手の要望にきちんと応えられると、お互い気分がいいし、つまりはそれが「いい仕事をする」ということですよね。どんな仕事にも通じることですし、「働くこと」とはそういうことだと思います。

取材後記

押尾さんは関西出身。ギタリストという肩書きからも寡黙で気難しいのか、と思いきや、取材中は関西弁のギャグを交えて笑わせて下さる。ギターの世界に新しい扉を開き、全国を巡るコンサートツアーのチケットを手に入れるのも難しいというのに、サービス精神に富み一つひとつ誠意をもって対応してくれた。押尾さん自身はそんな表現は決してしていないが、「自分の道を開くには、才能にあぐらをかかず、一生懸命に取り組むこと」だと、しっかり押尾さんに教わった。

プロフィール

押尾コータロー(おしお・こーたろー)
2002年アコースティックギタリストとしてメジャーデビューし、同年10月に全米メジャーデビューを果たす。スイスの「モントルージャズフェスティバル」へは2002年から3年連続出演。近年ではアジア各地での活動も拡げ、韓国や中国でのソロライブを開催するなど海外での評価も高い。オープンチューニングやタッピング奏法などのテクニックを駆使し、1本のギターで弾いているとは思えない鮮やかで迫力あるギターアレンジや、あたたかく繊細なギタープレイは世代を超えて多くの人々に支持を受けている。ライブ活動を中心に映画音楽やCM音楽の作曲を手掛けるなど活動の幅を広げ、2017年は、メジャーデビュー15周年を記念して全国47都道府県ツアー50公演を開催した。
http://www.kotaro-oshio.com/

2017/10/04

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