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ITに電力は不可欠。出発点となった「スマートグリッド」

スマートコミュニティーについて、さらに具体的に見ていきましょう。

スマートコミュニティーの概念は決して新しいものではありません。ITの技術が進めば社会も変わります。先進的なITを社会インフラとして活用する未来のイメージに向かって、具体的に進む契機となったのが、アメリカのオバマ大統領が積極的に推進した「スマートグリッド」です。

ITに大きく依存する現代の都市は、エネルギーが必要不可欠です。エネルギーが途絶すれば、生命に影響を与えることもあります。スマートグリッドは、エネルギーの無駄を少なく効率的に活用するために推し進められました。

かつて電力というものは、電力会社が発電して、各家庭や企業に送電するものでした。しかしさまざまな課題も抱えています。遠距離に送電すればロスが生じ、環境への負荷が大きくなります。送電網が途中で断絶すれば、電力の供給がストップするなど安定供給が行えなくなります。

その一方で、太陽光発電、風力発電など再生可能エネルギーの普及により、一般家庭や企業で発電し、クリーンな余剰電力が生まれています。これらの有効活用も求められるようになりました。

そこで「エネルギーの地産地消」など効率よく電力を消費し、安定性も向上させることを目的に登場したのが、通信や制御機能を追加した電力網である「スマートグリッド」です。

スマートグリッドでは、都市全体におけるエネルギーの「消費」「生産」「蓄積」をITの力で管理します。生産と消費の場所が地理的に近ければ、エネルギー効率はおのずと高まります。

蓄積が難しい電気を、一般家庭で蓄電するデバイスとして期待されているのが、「電気自動車」です。電気自動車には、大きなバッテリーが搭載され、貯めた電気で走行します。電力が不足した際には、駐車場に停めている電気自動車を、家庭への電力供給源として活用することが可能です。

<スマートグリッド>

図:スマートグリッド

都市全体の電力消費、発電や送電のバランスをITにより管理するスマートグリッドは、効率的にエネルギーを活用し、かつ無駄な発電を回避することが実現できます。各家庭、ビルなどに管理システムを設置し、都市全体の管理システムと接続し、消費しているエネルギーなどを一元的に管理します。

ITによる都市の効率化は、エネルギーに限ったものではありません。交通システム、住宅、医療、教育、行政サービスなど、身近にあるさまざまな領域へ応用できます。こうした新たな社会インフラを構築することで、エネルギーや環境の問題はもちろん、少子高齢化、教育、安全(防犯)の問題を解決しようというのが、まさにスマートコミュニティーなのです。


スマートコミュニティーを支える、ITの技術

スマートコミュニティーをITの技術の面から考えてみましょう。ITによる一元的なシステムを実現するうえで重要となるのが、「IoT(Internet of things)」「クラウド」「ビッグデータ」「自律型システム」といったテクノロジーです。

IoTは、電化製品やウェアラブル端末など、あらゆるデバイスがインターネットに接続されるという概念です。ネット接続機能を持った家電が、消費する電力量をリアルタイムに住宅内の管理システムに送信することで、管理システムを通じて家全体の消費電力を把握してコントロールします。

各家庭やオフィスにある管理システムによって収集されたデータは、クラウドに送信され一元的に管理されます。蓄積された情報は、ビッグデータとして分析され、AIを活用した自律型システムによって、より効率化を図ります。

交通システムの例を考えてみます。自動車の「自動運転」が実用化に向けて研究が進められています。しかし、個々の自動車が便利になっても、街が抱える渋滞問題などが解決されるわけではありません。

スマートコミュニティーは、都市全体として交通システムを最適化する試みです。もし、都市の住人の行動をビッグデータとして把握、分析、活用できれば、交通状況に応じた最適な移動手段の情報を提供できるでしょう。

場合によっては、自動車ではなく電車などの公共交通機関を利用するほうがいいこともあるでしょうし、歩行が困難な高齢者には自動運転タクシーを回すなど、一人ひとりに最適な手段を提供できます。自動運転などを組み合わせれば、予測精度はさらに向上し、渋滞問題や公害問題、エネルギーの効率化といった問題の解決にもつながります。

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