一覧に戻る
COMZINE BACK NUMBER
コムジン診療所 ギックリ腰 〜体の要、気づかってますか?〜
腰痛を起こさない体づくりを

中腰になったり、腰をひねるなど、何らかの動作をきっかけに腰に激痛が走るギックリ腰。このように突発的に起こる腰痛発作を医学の分野では「急性腰痛症」と呼んでおり、ギックリ腰はその俗称です。腰には骨や関節、椎間板、神経、筋肉などが複雑に入り組んでいて、腰痛を引き起こす原因もさまざまですが、ギックリ腰の原因の多くは、腰椎のねん挫や腰の筋肉の肉離れ。重い物を持ち上げたり、飛び跳ねたりといった急激な動作がきっかけになることもあれば、普段からの姿勢の悪さや運動不足、肥満などの下地があるところに、ちょっとした動作が引き金となって障害を起こすこともあります。

もし、急に腰が痛み出したら――まずは安静第一。硬めの布団の上で、無理をせず自分が一番楽だと感じる姿勢で静かに寝ていましょう。屋外で発作が起きた場合は、壁に背中を押し付けてうずくまり、痛みが和らぐのを待ってから立ち上がります。タクシーで帰宅する時には、膝を抱えてうずくまるような体勢で乗ると比較的楽なようです。
痛みが強い場合は市販の消炎鎮痛剤を服用すると良いでしょう。また、痛む部分が熱を持っていたり腫れているようならば、氷や冷湿布で冷やすこと。冷やして炎症を鎮めてから、今度は蒸しタオルなどで温めて血液循環を良くすると回復が早まります。

ギックリ腰の場合、安静にしていれば数日、長くても1週間ほどで痛みは治まります。1週間以上たっても痛みがひかなかったり、足にまで痛みが響くような時は、慢性腰痛に移行していたり、椎間板ヘルニアなど別の病気の可能性があるので整形外科で診察を受けて下さい。また、安静にしていても痛みが鎮まらない時には、内臓の病気を心配しなくてはいけません。この場合はできるだけ早く内科を受診するようにします。

ギックリ腰を経験しないためにも、また再発を繰り返さないためにも、大切なのは腰痛を起こさない生活づくり、体づくりです。
ポイントとしては、まず、普段からの姿勢や動作。立つ時、座っている時、歩く時、寝る時など、いつでも脊椎の生理的彎曲(逆S字型カーブ)を保つ良い姿勢をとるよう心掛けましょう。特に腰に大きな負担をかける“前かがみ”の姿勢には要注意。また、荷物を持ち上げる時は、面倒でも一度しゃがみ、荷物をお腹に密着させて持ち上げるようにします。二つ目は運動。腰を支える腹筋や背筋を強化するための体操や運動を、無理のない範囲で日常生活の中に取り入れます。そして三つ目が標準体重の維持。体重が重いほど腰への負担は大きくなるので、肥満は大敵。自分の標準体重を計算し(※)、太り過ぎているようならダイエットを検討して下さい。
※標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22 で算出します。 1割増程度は許容範囲と考えて良いでしょう。

脊柱の構造

人間の体を支えている脊柱(背骨)は、椎骨と椎間板が積み重なる構造と、「生理的彎曲」と呼ばれる逆S字型カーブによって、外部からの衝撃や体重の負担を和らげています。このバランスが崩れると腰椎に大きな負担がかかり腰痛の原因になります。

椎間板にかかる力

あおむけに寝る…………… 25kg
横向きに寝る…………… 75kg
まっすぐに立つ…………… 100kg
中腰になる(前20度)…… 150kg
イスに座る………………… 140kg
イスに腰掛けておじぎ…… 180kg


上は体重70kgの人の第3腰椎椎間板にかかる負荷を表したもの。腰椎にかかってくる大きな負担の約7割を椎間板が、3割を椎間関節が受け止めています。




どこでもできる簡単ストレッチ
第1回 「首」

今月からオフィスや家庭で気軽に行えるストレッチをご紹介していきます。
第1回は「首」。両足を肩幅に開いて立ち、背筋をまっすぐ伸ばして行って下さい。
コリをほぐして血行を良くするストレッチでリフレッシュ!

左右を伸ばす 首の後ろをほぐす

▲ 右手で左手首をつかみ、右側の腰骨あたりまで引っ張ったら、首を右に倒す。手を替えて反対側も同じように行う。

 

▲ 頭の後ろで両手を組み、ひじで頭を抱え込むようにして頭を前に倒す。視線は胸のあたりを見るようにする。

 

▲ あごを引いて前から首を回す。1周したら反対側からも行う。首を後方に倒す時は特にゆっくり行うこと。首が弱い人は前方面180度だけもOK。

 

ストレッチ監修/萱沼文子

 

監修者プロフィール
河端 正也(かわばた・まさや)

東京共済病院顧問、医学博士。
1932年東京都生まれ。57年東京大学医学部整形外科学教室に入局。62〜65年アメリカに留学。帰国後、虎の門病院整形外科医員、主任医員、整形外科部長などを経て、97年に東京共済病院院長となる。2002年から現職。著書に『腰が痛い、足がしびれる、歩けない 腰痛』(日本放送出版協会)、『腰痛の治療と腰痛体操』(創元社)、『腰痛テキスト―正しい理解と予防のために』(南江堂)など。

 
イラスト/小湊好治 Top of the page

月刊誌スタイルで楽しめる『COMZINE』は、暮らしを支える身近なITや、人生を豊かにするヒントが詰まっています。

Copyright © NTT COMWARE CORPORATION 2003-2015

[サイトご利用条件]  [NTTコムウェアのサイトへ]