人を雇う、使う側になって、自分が社員のときと大きく違うというのはどんなことでしょうか?

社長は、ディレクションを教えて我慢しなくてはならないことでしょうか? 「じれったい」とか「危なっかしいな」というときでも、自分が出ていきたい気持ちをぐっとこらえなくては会社は大きくならないですし、私は別のところで新しいことをしないといけませんから。

経営者として大事にしておられるのはどんなことでしょうか?

何と言っても周りに対する感謝です。ビジネス社会っていうのは、結局は人との繋がりで成り立っているんですからね。だからご縁がある方たちは有り難いと思っていますし、大事にしなくてはいけません。それを忘れてはだめですよ。
お会いする機会が少なくても、手紙でちゃんと報告するなどということはずっと続けていますし、いくらITだデジタルだって進んでいっても、人間の感情というのは昔と変わらないわけですから。大切にしなくてはいけない部分ですよ。
ベンチャーで華々しく出てきても、そういったことが欠けている人たちは潰れてしまう事が多いですよね。逆に言えば成功した方々は、経営者以前に、人間の基本的なことがきちんとしておられる方々ですよ。
経営に限らず、そういった土台がきちんと分かっていないと、誰も相手にしてくれませんからね出てきて脚光を浴びているときは、人が寄ってくるかもしれませんが、それがなくなったら、人もスーっと消えてしまうものです。


これからどんなことをなさるか、具体的にお聞かせいただけますか?

ビジネスはいろいろやりたいことがあって、人を中心として考えてます。具体的には企業秘密ですが。

ちなみに男性の登録は?

男性も最近増えてきていますね。割合としてはまだ1割未満ですが、30歳代から40歳代で職種は経理、財務、営業といった方々です。そういう方々はほとんど、将来のキャリアビジョンを見据えて、そのための中継点として派遣という形を取っているようです。でもこれからは女性のようにずっと派遣で働きたいという方が増えていくでしょうし、企業側もそういった方をどんどん取り入れていくでしょうから、ますます雇用形態が多様化して、少なくとも5年以内には正社員なんて呼称もなくなるんじゃないでしょうか?

最後に、起業を考えている方にメッセージをお願いします。

難しく考えず、やりたいと思うことをやればいいのです。ただ、やりたいっていう強い意志を持たなくては崩れますね。自分の意志があるところに道は開かれるという、それに尽きます。

今日は興味深いお話を有り難うございました。


イラスト:篠原元恵

まったく気負いのない、自然体で話されるお姿には、ひとつの大きな仕事を成し遂げた方の気品が漂っていました。ご自身を「せっかち」と表現されていましたが、単純明快、率直な言葉は聞いている者にストレートに届きます。今「自分の信じるところを進めばいい」と言い切れる自信をどれだけの人が持っているでしょうか。そう言える数少ない経営者のひとりにお会いできました。
【飯塚りえ】  

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