御社はIT事業で成功した企業ですが、これからの業界をどのようにご覧になっておられますか?

eコマースの世界は、まだまだ発展途上で、潜在的には伸びる領域だと思います。ご存知の通り、失敗も数多く出ている業界ですから、むやみに参入すべきではないでしょうね。
 たとえばコンサルタントがゼロベースから作った企画書は、高い理想を掲げているので見栄えがしますが、まずは「絵」から始まるもの。その「絵」に対して賛同する人がたくさんいたり、強い要望があって初めて成立するものです。そうじゃないと、ただの絵。事業として成功するためには、相当のドライブがかかる必要があります。
 これだけ情報があって、どこの会社がどういう状況にあるのかわかる環境にあると、戦略のユニーク性などは極めにくいですし、奇をてらった「すごいこと」を考えたところで無駄です。今は戦略の巧みさだけで成功する時代じゃないでしょう。


御社の今年の展開は?

今年で立ち上げから丸2年になる「おいくら」というリサイクル関連の事業で新たな展開を考えています。昨年前半は、「ビッダーズ」で手数料を下げたり無料キャンペーンをおこなったりしてオークションの量的拡大を目標として、ベースとなるビッターズの基盤を強化する年でしたが、今年は「おいくら」に投資していく予定です。「おいくら」がもっている3000のリサイクルショップとのネットワークを強みとして、周辺に事業を拡大していくことを検討中です。
 あとはもちろん、オークション&ショッピングサイトとしてユーザーに引っ張られながら、常に一番使いやすいECサイトであることを目指していきます。他にも、ようやく出るようになった利益を新しい領域に積極的に投資したいと考えています。


イラスト:篠原元恵
MBA取得、マッキンゼーでパートナーと輝かしい経歴をもつ南場さん。しかしそれを鼻にかける様子などもちろんなく、大変に気さくな方でした。
 目を輝かせてこれからの夢を語られるかと思えば、話題が事業の運営に及べばロジカルな「経営者」の顔になる。こんな熱意と知的な頭脳を併せ持っているからこそ、厳しいIT業界を生き抜いてこられたのだなと感じた次第です。
 次回は、南場さんが「可憐で清楚でビジネスセンスが抜群。私は大ファンなんです」と言ってご紹介くださった(株)カフェグローブ・ドット・コムの矢野貴久子さんです。
【飯塚りえ】  

これまでのインタビュー



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