御社は雑誌出身の編集者の方が多数おられますが、雑誌の編集とはどんな違いがありますか?

インターネットの特徴は広がりとインタラクティブ性につきます。他のどの媒体にもないところだと思いますし、ユーザーとコミュニケーションがとれたり、一緒に成長していける面白さがあります。現にカフェグローブ内の料理のレシピなどのコンテンツを本として出版していただくなど、ネットの中だけではない広がり、ビジネスに取り組んでいます。
 記事を作るときには、雑誌の発想だと、わーっと材料を集めて掲載して終わりなんですが、ウェブならアーカイブまでを考えて作ろうとか、他のサイトのコンテンツとリンクさせて広がりを持たせようとか、ユーザーが参加できる仕組みを設けようとか、必ずプラスαを考えるようにしています。
 今後は、カフェグローブ全体にムービーの導入を検討していきます。ウェブの良いところは、文章も読めて、絵も動くってことだと思うんです。座談会ならその場の雰囲気をムービーで伝えたり、著名人のコラムがあったら、その声を流したり??常に「こうなったら面白い」ということを意識しながら、それをビジネスにつなげることまでを考えています。


今後のビジネスに関してはどのような展開を考えておられますか?

今年は種まきの時期だと思っているんです。昨年チャイナモバイルのオフィシャルサイトとして、中国の女性たちに向けて携帯コンテンツで日本の流行情報を課金配信し始めました。さらに商品開発のモデルをブラッシュアップして、これらを今ある既存ビジネス以外の柱とすることが今年の課題です。
 加えて、最近クライアントさんから「こんなことできますか」と聞かれることも増えてきましたが、逆にこちらからもいろいろ仕掛けていきたいんです。ターゲットに対して、どう働きかければコストメリットがあるかを数字で見せられるデータを蓄積していって、納得していただけるようなビジネスモデルまで高めていきたいと思っています。
 例えば商品開発を取ってみても、それが宣伝費なのか開発費なのか、コストの性質上いくつかの部署にまたがっているために話が先に進みにくいことがあります。これを各部署ごとにどのくらいのコストメリットがあるかわかるように見せていきたいと思っています。


イラスト:篠原元恵

ウェブというメディアに惚れ込んでいるという印象の矢野さん。紙媒体出身の編集者は、とかく紙を懐かしがる傾向にあるが、矢野さんは紙やウェブといった媒体の枠を軽々と越えて常に「やりたいこと」を実現するための道具としてITを利用している。オーソドクスだがもっとも健全な形でITを活用している一例と言って良いかもしれない。
【飯塚りえ】  

これまでのインタビュー



月刊誌スタイルで楽しめる『COMZINE』は、暮らしを支える身近なITや、人生を豊かにするヒントが詰まっています。

Copyright © NTT COMWARE CORPORATION 2003-2015

[サイトご利用条件]  [NTTコムウェアのサイトへ]