利用者に大好評のICタグだが、導入後、何か問題はなかったのかとの問いに、「いやぁ、たくさんありますよ(笑)」と高橋館長。致命的な障害ではないが、リーダライタの読み取り精度、貸出確認ゲートの感知具合、図書の材質といったことが問題になっている。
まずリーダライタの読み取り精度だが、自動貸出機で垂直に10冊積み重ねると、ICタグ同士の距離が近くなることによって電波がうまく抜けず、何冊かのデータが読み取れなくなる。これは、薄い絵本や同一判型の文庫本の場合に顕著で、自動貸出機で利用者にわざわざ冊数を入力させるのは、この読み抜けを防止するためでもある。対策としては、本の位置をずらしたり、2山に分けるなどすればOK。
ゲートの問題点は、複数冊を重ねて持った場合やCDなどの金属製資料が感知しにくく、磁気式に比べ感度が甘いこと。また、図書の表紙や見返し、扉などにカーボン素材や銀・アルミなどの金属材料が使われていると、これが電波を遮断し、データを読み取れないことがあるという。
ICタグの活用は始まったばかりだが、今後普及していく上での最大ネックが価格だ。
高橋館長いわく「今、ICタグは定価で1枚92円。従来の磁気式テープ(タトルテープ)が40円台なので、少なくともこれ以下にならないと既存の図書館は乗り換えできないでしょうし、市販の書籍に付けるなら5円ぐらいにならないと難しいでしょうね」。
最後に、高橋館長に富里市立図書館のこれからについて伺った。
「情報を調べるには、本や雑誌という印刷媒体に加え、インターネットが一般的になってきました。本・雑誌・インターネットは情報の密度や信頼性、即時性の点でそれぞれ優劣がありますが、富里市立図書館を利用すれば、それらを上手に組み合わせて必要な情報を素早く手に入れられる――、そんな“ハイブリッドライブラリー”でありたいと考えています」
取材協力:富里市立図書館 https://www.library.tomisato.chiba.jp/
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