「これを応用したソリューションがデジタルファッションショーです。ドレスを着る人体モデルを決めて動きを設定し、衣装数や照明、ムービーの再生時間などをお客様のニーズに合わせて作り込んでいけば、本物のファッションショーさながらのアニメーションムービーを提供することができます」
このデジタルファッションショー、見れば驚くこと請け合いだ。三次元CGによるムービーはもはや見慣れた映像だが、なによりモデルが着ている衣装の質感が素晴らしい。シルクの滑らかさ、コットンの肌触りのようなものまで、見事に表現されている。
さらに驚くのが流れるような衣装の動き。モデルの動きに合わせたシルエット全体の変化、足や腕の素早い動きによってできる布地の陰影など、とてもCGとは思えない完成度の高さだ。あまりに衣装の出来が素晴らしいので、モデルの表情が物足りなく思えてくるほど。
このソリューション、既にいくつかのファッションブランドや教育関係等に納入されているという。
しかしこの布地の質感は、どのような方法で表現されているのだろうか? CGレンダリングだけではとても表現できないように思うのだが。
「当社が開発した光学異方性測定装置(OGM3)を使用します。これは箱形の装置の真ん中に試料を固定し、あらゆる方向から光を照射して、装置の外側に取り付けたカメラや測色器で撮影する光学異方性測定装置です。撮影した画像はPCに取り込み、関数テーブルを作成して、最終的にはCGソフトで使用するプラグインデータを作ります」
もちろん、この機械もデジタルファッションの製品として販売されている。
私たちコンシューマーにとって、もっと身近なソフトウェアもある。それが、パソコン上でさまざまなファッションアイテムをコーディネートできる「HAOREBA」だ。
これはいわば、モデルを360度回転させることができる3D試着シミュレーターのようなもの。画面上に表示されているアイテムの中から好きな物を選び、裸のモデルに着せたうえで360度くるりと回転させ、好きな方向からコーディネートを確認することができる。
市販品やシェアウェアにも簡単な着せ替えソフトはあるが、ここまで本格的なものは存在しない。デジタルファッションは、このソフトをアパレルメーカー向けのソリューションとして提供している。
「シーズンに先駆けて自社のホームページ上でお勧めアイテムを試着できるシステムを構築したり、消費者がどんなものを求めているかを調査するためのマーケティングツールとしても使えます。HAOREBAはFlashデータとして納品されるので、WEB上で誰でも簡単に利用できるんですよ」
HAOREBAもまた、既にいくつかのショップへ導入済み。ホームページ上で稼働しているもののなかには、自分の顔を取り込めるものまである。
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