ホッチキスを発明者Hotchkissさんの名前で呼ぶのは日本だけ。英語圏ではステープラ(stapler)と言わなければ通じない。ステープルというのはあの針のこと。ホッチキスがなかったら書類の整理はさぞかし面倒なことになるだろうと考えてみれば、今更ながらすごい発明である。
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しかし、いらなくなった書類の束から針をいちいち外すのは面倒で、かといってそのまま捨てれば再生紙にするのに差し障る。そこで登場するのが針を使わない書類止め。今はいろいろ出ているが、このLIHIT LAB.のSTAPLESSは元祖的な存在で、止め方もシンプルでしっかりしている。
「打ち抜いた舌のような部分を裏から回して切れ込みに通して・・・」などと説明しても分かってもらえないような複雑な細工をワンタッチで処理する。これで針どころか何にも使わないで上質紙数枚は楽に止めてしまう。こうやってまとめた書類を渡されると、説明なしで「ほお、リサイクルに対する配慮か」と感心してしまう。もちろんこのままシュレッダにかけられる。
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一見かっこいいプラスチック製の競合品に比べてこのLIHITがとりわけデザイン的に面白いのは、板金にクロムメッキという、ちょっとレトロな外観もさることながら、実はこれ、ステープラのオリジナルデザインのパロディなのである。それは老舗中の老舗、デンマークのFOLLE社の1946年モデル(なんと、これは現在でも入手可能で、それはまたそれですごいのだが)と比較してみると分かってもらえるだろう。
実は、開発者本人にはそんな気は更々なかったのかも知れないが、どう見てもちょっと皮肉でユーモラスで、気が利いたシャレとしか思えない。両方ともブラック仕様もあって、これまたよく似ている。
堂々としたステープラに比べてちょっと無骨な弟のようなステープレスは、どう見てもあんな器用な技の持ち主には見えないだけに、とてもいいやつに思えるのである。
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益田文和 |