ごくフツーにみえるウォークマンだが、これが実は画期的な素材でできている。
「えっ、プラスチックじゃないの?」
「そうだけど、じゃ、プラスチックって何で出来てるか知ってる?」
「えーと、石油、じゃなかったっけ」
「そう、普通は石油から作るんだけど、燃やすと有毒ガスが出たり、環境ホルモンとかいろいろ問題があるんだよね」
「それに、捨てても分解しないから、いつまでも残ってるんでしょう?」
「ところが、このウォークマンは生分解性樹脂で出来てるから、土に埋めるとバクテリアが分解してくれて、ちゃんと土に戻るんだ」
「じゃ、その生分解なんとかプラスチックは、石油から作ったんじゃないの?」
「実は、これは植物から作られたプラスチックなんだよ」
「ええっ、植物って花とか野菜とか果物のこと?」
「この場合は、正確にはトウモロコシとかの食品を取った残りの部分、いわゆるバイオマスを、乳酸菌に分解させて作ったポリ乳酸という樹脂なんだ」
「乳酸菌?! あのヨーグルトの?」
「うん、自然のものから出来てるから人間にも他の生物にも無害だし、捨てたら土に戻ってそのうちまたトウモロコシが生える」
「そうか、そうやって素材が循環する仕組みなんだね」

メーカーの人によると、このバイオマスを活用したポリ乳酸製ウォークマンは、未来の人に資源を残す製品だという。 なるほど上手いことを言う。

益田文和



益田文和(ますだ・ふみかず)
1949年東京生まれ。1973年東京造形大学デザイン学科卒業
1982年〜88年 INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任
1989年世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員
1994年国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー
1995年Tennen Design '95 Kyotoを主催
1991年(株)オープンハウスを設立
現在代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している


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