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地球に優しく美しい エコ・デザイン 益田文和Vol.006:紙を立てる、気のきいた方法

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年

東京生まれ。
1973年東京造形大学デザイン学科卒業

1982年〜88年

INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任

1989年

世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員

1994年

国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー

1995年

Tennen Design '95 Kyotoを主催

1991年

(株)オープンハウスを設立
現在代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している


パソコン入力用の原稿や資料などを立てておくための道具はいろいろある。その多くはいわゆる譜面台式のもので、これは便利だが場所を取るし、使っていない時に目の前にあると目障りである。オフィスでもプライベートでも、大きなデスクトップパソコンが薄いノートタイプに代わって、机の上がすっきりすると、意外に大きな原稿台が気になり始める。

マーブルスタンドは縦、横、高さ共に5cm程度の小さなデスクトップ・アクセサリーである。N字型に曲げた透明な板のようなプラスチックの本体に、きれいな色のガラス玉がはまっている。このプラスチックの独特な曲面とガラス玉の間に紙を差し込むと、ペラペラの紙が中程で少し曲がってすっと立つ仕掛けである。

曲がると強度が出るという紙の性質を利用したペーパースタンドはこの他にもある。しかし、このマーブルスタンドは、1枚のコピー用紙から150ページの雑誌まで立たせてしまう優れた機能や、ユニークで印象的な形と並んで、その素材選びに見られるエコデザインの開発姿勢が他とは違うのである。

本体のアクリル樹脂はレンズ付きフィルムなどに使われた光学用プラスチックのリサイクル素材である。そのために硬くていつまでも透明感が失われない。ラムネやビー玉を連想させるとても懐かしい感じのガラス玉も、様々な色のリサイクルガラスで作られている。

アクリル樹脂のリサイクルが可能になったのは実は割合に最近のことで、10年前のエコデザインのハンドブックでは、リサイクルできないプラスチックとして取扱注意と書かれている。この商品でもう一つ感心させられるのは、新作のガラス玉表面にぐるりと地球の陸地を描いた特殊印刷技術である。なんでもないように見えるが真摯な開発姿勢が伝わってくる。
ひと仕事終わって原稿をしまうと、後には小さな青い地球が揺れているだけ。なんとも気持ちいい。

問い合わせ先;大進興産株式会社
http://www.daishinkohsan.com

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