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電車の中で化粧を始める女子高校生や、道端で座りこんでだべっている若者達の生態について、最近はあまり話題に上らなくなった。かといって、それがなくなったわけではなく、定着したと見るのが正解だろう。その生態は自分のプライベート空間と公共空間との見境がなくなったというか、家庭内と外との境界が消失したボーダーレス社会現象と私は見ていた。インターネットも携帯電話も、この社会と家庭のボーダーレス現象に大きな貢献をしているようにも思う。自宅の自分の部屋で世界と繋がるのだから、家は家であっても、従来「家」として機能していた部分と「外」が持つ機能との境界が曖昧になっても当然といえば当然かもしれない。

テレビが急速に普及した天皇のご成婚前後の時代からもうすぐ半世紀。テレビが家庭内の状況を一変させたと言われたが、いよいよその家庭像もまた新たな局面を迎えるかもしれない。デジタル放送の時代が目の前に迫っているからだ。デジタル放送は、地上の基地局や人工衛星を利用してデジタル信号で画像や音声を送信する放送だ。高画質・高音質・高機能・多チャンネルが可能になるのだ。すでにBSデジタル放送やCSデジタル放送が開始されて、何と200チャンネル以上楽しめる状況だ。(こんなに見れませんが…)「週刊デジタルテレビガイド」を出したら、電話帳より厚くなってしまうんじゃないだろうか。しかし何といっても目玉は、「多機能性」にあるといえるだろう。双方向性テレビ機能が今後どうなるかが、非常に興味深いところだ。実は今のアナログ放送でも、96年からインターテキストと呼ばれる双方向テレビ機能のサービスが行われているのだが、デジタル放送の普及によって爆発的に広がるのはこれからだ。(と期待されているのだ)

このインターテキストは、東芝などのテレビメーカーや放送局・広告代理店などが集まった大プロジェクトが、すでに95年からスタートしている。しかし、よくある話ではあるが各社の思惑が交錯・錯綜して進展していない状態が続いている。CATVの先進国アメリカでこのインターテキストがどれだけ一般普及するかによって、今後の動向を見極める必要はあるかもしれない。

しかしお茶の間留学もできて、本当に世界はどこまで狭くなるのやらって感じだが、双方向でリアルタイムの英会話が出来たら語学能力皆無の私でもいつかはしゃべれるんだろうか。昔はテレビばかりを見ていると「バカになる」と親は言ったものだが、テレビ相手に会話(通信)するようになったらこれはちょっと事情が変わってくるはずだ。(一人暮しの友人はテレビに向かってしゃべっていたが…)テレビを見ながら、ショッピングをしたり、クイズ番組に答えたり、討論番組に参加したり、情報を一方的に受け取るだけではなく、こちらからも情報を提供して双方向にコミュニケーションできるようになる。TVCMを見て興味を持った商品のカタログをその場で取り寄せて、わからないところは質問して、気に入ったら即購入なんてプロセスを全部お茶の間で完成させることも出来ちゃうのだ。(ああ、衝動買いが怖い…)

朝一番にテレビをつけると「お元気にお目覚めですか?」と聞かれ、「元気です」コールを交信しあう。(誰とだ?)「今日のお買い得品はこれです。」と言われてどうしようか悩むが、やっぱり止める。オークション番組では、珍しい振り子の柱時計が出ていたので、5万円の値段を送ったが、競り勝負に入りついつい熱中。8万6500円まで吊り上げてついにゲット。くやしいという競り相手のメッセージを受け取ると満足感が湧きあがる。健康番組で軽くここ最近の頭痛を問診相談して、おすすめの頭痛・鎮痛剤を教えてもらいその場で購入。ついでに肥満も気になるので、ダイエットの給食セットを申し込み。明日から届くのが楽しみだ。日用品は切れていませんか?と(テレビに)言われて、おっとトイレットペーパーが切れていたのだと思い出してこれも購入。討論番組では明日の政局動向に関して話し合っているので、これにはご意見参加だ。株価も気になるが、経済政策の問題なのだ・・・…なんて毎日がやってきたら、これはもう出掛けているんだか、家の中にずっといるんだかわからなくなる。ただでさえ出不精と妻にののしられている私としては、より一層出不精に磨きがかかりそうだ。

GPSつき携帯電話とパソコンとテレビ。ここまで情報通信機器が揃ってくると、もはや家庭の中と外との境を明確にするのは難しくなってくる。昔は縁側を開け放して近所付合いをしていたが、今度は通信ラインを開け放して世界と付き合う時代になってくるのだろうか。そうすると通信ラインの雨戸も必要になってくる。雨戸の開け閉めって結構重くって大変だったんだよね。

ITコラムニスト  久保 直
 
 
<双方向テレビ>「孤立か?開放か? 家庭の定義を変えるIT技術」に頂いた皆様からのご意見を掲載いたします。これからもたくさんのご意見をお待ちしております。皆様と一緒に楽しくIT談義をしていきたいと思います。
 
先進おじいちゃんの双方向テレビ (emmyどん 40代自営業 千葉県)
楽しみです。 (みさちゃん 大学3年生 東京都)
文化と生活と文明は切っても切れない関係ですね。 (がんた 30代 会社員) 
進化のスピードについていけるかしら・・・ (らああも 20代  事務&主婦) 
のんびりと縁側で近所付合いしたいけど・・・。 (かとちゃん 30代 会社員)
いよいよテレビの中身が問われる時代に突入。 (ソッフィーB 50代 自営業)
便利で楽をすると、どうなる? (NON 20代 自営業)
素人にも面白く読めます (matto 40代 営業) 
縁側の外は世界の裏側? (まよ 20代 学生)
テレビの画面の向こう側・・・ (hase 50代 自営業)
家庭革新はテレビから始まる (こなきじじい 40代 会社員)

先進おじいちゃんの双方向テレビ (emmyどん 40代自営業 千葉県)

ウチのおじいちゃんは、今でもほとんどテレビと会話しています。双方向テレビが出来た時、操作が簡単ならおじいちゃんはテレビに釘づけになってしまうでしょう。それはいいことかな?それとも?????????もちろん家族が会話していればいいのですが、そうは言ってもなかなか出来ないので、こういう双方向テレビが出来て、楽しく生活できるなら、いいこともありますよね。

久保 ウチのおじいちゃんもおばあちゃんも、テレビさんと3人(?)で一緒によく楽しく会談しております。そのコミュニケーション能力はかなり高いものと言えますね。今や「テレビ君」は家族の一員かもしれませんが、双方向テレビが本格化するとますます擬人化して「かわいい」存在になっていくかもしれません。「テレビ君」を含めた家族(?)みんなで楽しく暮らしたいものですね♪

楽しみです。 (みさちゃん 大学3年生 東京都)

ITフォーラム面白いですね。毎回楽しみにしています。これからも面白い話をお願いします。

久保 ありがとうございます。IT技術そのものの面白さが皆様に伝われば、私めは幸せでございます。まだまだたくさんのIT技術がありますし、その技術はどんどん私達の暮しの中でも大活躍しています。未来生活はどんなものになっていくのか、みさちゃんとも一緒に考えていきたいです。

文化と生活と文明は切っても切れない関係ですね。 (がんた 30代 会社員) 

家と外の区別がつかない若者は、こうしたことから形成されていくのかなと考えると、面白いですね。文化と生活と文明は切っても切れない感じがします。毎回ITの技術の話をわかりやすく、しかも面白く書いてもらって楽しみです。これからも頑張ってください。

久保 本当にそうですね。IT技術が開発され、その技術を応用した暮らしが当り前になってくれば、コミュニケーションの仕方も変わります。コミュニケーションの仕方が変われば、人と人との関係も変わってくるものです。時にはすっごいパラダイムシフトとして意識変革を迫られますが、柔軟性を持ちつづけて面白がりながら生きていきたいなあ・・・と私は思います。またこれからもどんどん投稿してくださいね。

進化のスピードについていけるかしら・・・ (らああも 20代  事務&主婦) 

地上波テレビがもうすぐ始まるし、ここのところの変化はすごいですね。すべての分野についていっている人っていうのは、いるんでしょうか。テレビのこと、パソコンのこと、携帯電話のこと、メールのこと、車の中のカーナビのこと、あっちこっちと知らなくっちゃいけないことが多くて、とても大変だと思うのは私だけでしょうか。

久保 私もふーふー息切れしながら追い掛けています。最近はGPS付きの携帯電話にしました。しかし、まだ全機能を把握しておりません。でも大丈夫ですよ、らああもさん。浸透する技術って言うのは、必ず市場の中でこなれて行って、使い易いものになっていくものです。銀行のATMでお金を下ろせない人って、なかなかお目にかかれなくなっていますから。炊飯器を使えない人も、電話を使えない人も今はいないですからね。そうなってきたら、技術は技術から、なくてはならない道具へと変わっていくのでしょうね。

のんびりと縁側で近所付合いしたいけど・・・。 (かとちゃん 30代 会社員)

縁側で近所付合い・・・懐かしい響きです。しかし、この時代はそうもいっていられないでしょう。セキュリティの問題も非常に難しい時代になりました。犯罪も凶悪化しているような気がします。不用意に通信回路を開け放してしまえば、ウイルスにやられ、PCはお釈迦になってしまいます。ハッカーたちの開発力はすごいものだと、怖くなります。どんなにウイルスチェックをしても、またそれに上回るウイルスをつくり、いたちごっこです。いたちごっこが続くということは、決して油断してはいけないということになります。気の抜けない時代です。

久保 最近はパソコンにプレインストールされているソフトが多いため、単体のソフトって言うのはなかなか売れないそうです。しかし、そうした状況の中で唯一売上を伸ばしているのが「セキュリティ」関係のソフトです。ウイルスメールなどは、今や添付書類を開かなくても受信するだけで感染するものもあります。感染してしまうと、自分だけではなく、アドレスに入っているお友達やら仕事関係など多くの人達にも迷惑がかかるわけですから、事態は深刻です。こわいです。常に最新のワクチンをダウンロードしておきましょうね。

いよいよテレビの中身が問われる時代に突入。 (ソッフィーB 50代 自営業)

最近テレビが多機能になり、更に高度化してきて、面白い状況になってきましたね。問題は中身ですね。これから中身が問われる時代が来ると思います。制作する人達は、そのテレビの機能や技術の状況を良く知った上で中身を作らないと、ちっとも今と変わりないものになってしまうように思います。正直、今のテレビはマンネリ化している。テレビの進化に伴って、もっと新しい番組を期待したい。

久保 どうもいつでも中身って言うのは、後からついてくるものですね。テレビ機能の進化に伴って、大いに楽しく役に立つ方向に向かってくれると良いですね。最近は国会中継が記録的な視聴率をとりました。あの国会中継…。小泉政権になってから、国会中継の視聴率は非常に高くなったのですが、それでも通常は5〜6%くらい。それがあの国会中継ではついに10%の大台を大幅に越えたそうです。国会中継を見ながら、「今の発言は納得できるか?」なんて双方向で情報収集してくれたら、すごく面白くなりそうですが…。

便利で楽をすると、どうなる? (NON 20代 自営業)

毎回為になる話で、勉強になります。テレビで買い物など出来れば、寒い日や、雨の日などは便利ですね。だんだん、何でも便利になって来てるけど、いいのかな・・・?まーらくあればくもあるさ・・・by水戸黄門

久保 出不精の私は同感です。でも妻に「散歩にいけ」と言われそうです。毎日いぬと一緒に散歩をするのが義務になりそうです。日課を指定されるのは辛いかもしれません。「楽あれば苦あり」水戸の御老公様の仰せの通りだと実感します。

素人にも面白く読めます (matto 40代 営業) 

いつも面白く読ませてもらっています。ITに関する記事やサイトはいっぱいあるのですが、私のような素人には難しい用語が多く、わかりずらいものが多いのですが、このITフォーラムは、とてもわかりやすくてとても面白く読めます。NTTコムウェアという会社は、なんかIT企業の中では親しみのもてることをしてくれるので、安心感がありますね。

久保 これは素晴らしい投稿を、ありがとうございます。いやいやぁ照れちゃいます。(赤くなってどうする??) 技術の進化は目覚しいものがありますから、ホントすごいですよね。どんどん生活の中にも入ってきちゃいます。気がつくとここにもあそこにもってことになりますから、こうして見張っていないとね。

縁側の外は世界の裏側? (まよ 20代 学生)

テレビで宣伝のときチャンネルを変えたりしますよね。そんなときって宣伝してる方はさびしいだろうな…なんて思ってしまいました。飛び込み営業みたいになるのかしら…。 それはともかくテレビというのは今は遠い世界を映しているものだと思っていますけど、双方向になると人と人との距離が短くなるんですね〜。縁側の外は世界の裏側かもしれないって状況が普通になるんですね。なんかわくわくしてきました。

久保 テレビ突撃営業隊が飛びこんでくるのですね。そりゃすごい。僕は拒めないかもしれない…。たまには珍入者も飛び込んでくると楽しそうです。縁側の外は世界の裏側なんて、いい感じ♪ 未来へのワクワク感が嬉しいですよね。

テレビの画面の向こう側・・・ (hase 50代 自営業)

雨戸を開けたら、そこには世界が待っていたなんて面白いです。目に浮かんでしまいました。私達の生活になじみがないようなITも、ここでのお話を読んでいるとすごく身近です。未来生活がどんな風になっていくのか、いろいろと想像してしまいます。テレビの画面の向こうと繋がるのも、昔みんなが感じていたことですね。 これからもたのしい話をたくさん教えてください。楽しみにしています。

久保 そうですよね。テレビの画面で何か起こると、ついテレビの箱の中を覗いたり、裏を見たりしたくなった頃ってありましたよね。テレビの箱の中に人間が入っていて、漫才をしていたり、プロレスをしていた時代でした…。(そんなあほな…) これからもITが開く未来生活をどんどん探検しましょう。

家庭革新はテレビから始まる (こなきじじい 40代 会社員)

テレビと言うのは、お茶の間とかリビングとか、家庭の中の中心的な部屋にあるものだから、テレビが変われば家庭の中も変わるんでしょうね。むかし、テレビがお茶の間に入って来たときには、家庭の中のコミュニケーションの時間がなくなったといわれたものですが、今後はどうなっていくのでしょうか? ただ黙ってテレビを垂れ流しで見ていた時代じゃなくなりそうですが、あたらしいコミュニケーションのあり方はどうなっていくのでしょうか。こうしたことが、家庭のあり方や人とのあり方に大きく影響するものなんだなって、改めて認識を新たにしました。

久保 テレビは家庭の中でも、生活全体の中でもなかなか重要な地位を獲得していますよね。お父さんチャンネルとかお母さんチャンネルとか、これから生まれるのでしょうか? あ、これはお父さん向けのチャンネルではなく、お父さんになってくれるというチャンネルってことです。そんなチャンネルが誕生したら、僕の地位はなくなるのですね。(今でもあるのか?) とりあえず、家庭教師の誕生は歓迎しても良いかもしれないですが…。
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