ITワイド講座




イラスト:小湊好治


携帯の正しい使い方?!

前回も書いたとおり、携帯電話は「便利な移動電話」でしかない私にとって、女子高生達が何のためにあんなに携帯をいじっているのか、さっぱりわからなかった。ま、ほとんどはメールらしいが、そのメールもいろいろな使われ方をしているようだ。

最近、話を聞いた中でも一番驚いたのは、携帯メールによる「いじめ」。先日私の携帯電話に、見たこともないアドレスからメールが届いた。そこに書かれていたのはこんな内容だった。
「このメールはチェーンメールです。このメールを転送して下さい。メールを止めた人には、これまでのパケット通信料のすべてが請求されます」。
その下に書かれた金額はなんと25万6300円! さらにその下にはご丁寧に「○○より」と、聞いたこともない男性の名前とアドレスが書かれている。

さすがにすぐにイタズラだとわかったので、無視することに決めたものの、なぜ名前とアドレスをわざわざ書き込んだろう、と疑問に思っていた。その謎を解いてくれたのは、知り合いのお嬢さんだった。

どうやらこのメール、その名前の男の子に対する「いじめ」らしい。知人の娘さんは、私の住む地域でも評判のお嬢様学校に通う中学3年生なのだが、彼女の周りでもまったく同じいじめが流行っているそうだ。
気に入らないクラスメートのアドレスを使って、でたらめなアドレスにイタズラメールを送る。当然、そのクラスメートのところには、知らない人から苦情や逆イタズラのメールがどんどん送られてしまう、という仕組みだ。知人の娘さん自身は、そういう「いじめ」をしたことはないらしいけど、これが結構ポピュラーないじめだというからコワい(しかも品がいいことで有名なアノ女子校の生徒が?!と思うとなおさらだ)。

聞けば、ほかにも嫌いな先生のメールアドレスを、出会い系サイトに勝手に書き込んだりするいじめもあるらしい。そもそもなぜ先生のアドレスを知っているのか、というと、先生に直接教えてもらうのだとか。
「先生に色々相談とかしたいからアドレス教えて!!」と頼むと、ほとんどの先生が簡単に教えてくれるという。
先ほどの彼女曰く、「先生も生徒と仲良くしなくちゃっていう強迫観念があるみたいよ。だからこっちが下手に出ると、すぐ教えてくれちゃうの」。これを聞いた私はさすがに「なんて小憎らしい中学生なんだろう?!!」と頭に来たけど、彼女はまったく気にする風もない。そう。女子中学生(女子高生)とは、時にものすごく残酷な生きものなのだ。

コワい使い方といえば、彼氏の浮気チェックにも、必ず携帯電話が登場する。「昔は二つ折りの携帯を使っているオトコの子は遊んでるっていうのが常識だったよ〜」と、私にとってはまったく初耳の「常識」を教えてくれたのは、女子大2回生の女の子。
まだ二つ折り携帯の外側に発信元が表示されるウィンドウがついていなかった頃、誰からかかってきたか覗かれる心配がないからと、二つ折りを使うのは遊び好きのオトコ
の子の常識だったよう。

今では(残念ながら?)、二つ折りでもすぐに発信元がわかってしまうので、そんなオトコの子はいないようだが、カップルの間では日々、携帯電話の攻防戦が繰り広げられている。オトコの子の携帯にニセのメールを出して浮気を誘い、誘いに乗るかどうかで彼氏の浮気度をチェックする、というTV番組があるのはご存じだろうか。
先ほどの女子大生の友人はそれを実践してみたとか。友人に頼んで彼氏に女性名義のニセメールを出し、彼がそれに乗ってくるかどうかを確かめてみたという。幸いその友人の文面が下手だったのか、すぐにイタズラだとばれて事なきを得たようだが、その彼女は、今もなお彼氏の携帯の発信履歴とメールを日々チェックしているらしい。「そんなことをしてなんになるの?」なんていう「オトナ」の考えに彼女たちが至るには、まだ少し時間がかかりそうだ。

逆に彼女たちを含めた女性が迷惑しているのが「隠し撮り」だ。電車の中で座席に座っていたら「チロリロリン」という音が聞こえたので見てみると、向かいの男性が新聞の下から携帯のカメラをのぞかせていた、というような嫌な経験をしたことがある子は少なくない。携帯電話で話をしているフリやメールを打っているフリをして写真を撮るのは、サイズの小さい携帯電話だからこそ。

実を言うと、以前私の周りにも、隠し撮りを趣味にしている男性がいた。
ある日彼は、「今日、こんな可愛い人を電車の中で見かけたんだ!」と、悪びれもせずその女性の画像を見せてくれた。携帯のモニタに映った女性(確かに美人ではあった)は、うつむき加減で本を読んでいる。もちろん、彼が「写真を撮ってもいいですか?」なんて断っている筈はない。
「それって隠し撮りだよ、すごくいけないことだよ」と諫めたものの「あんまりキレイだったから」とはにかむ彼に、私の言葉が届いたかどうか…。

携帯電話が身近になればなるほど、それって間違った使い方じゃない?と思ってしまう用途が生まれている。新しいものには常にリスクが伴うものだ。だから、「携帯電話は危ないからダメ」と、頭ごなしに決めつける気はない。でも、やっぱり自衛策は考えておいた方がよさそうだ。とりあえず、後ろめたいことのあるアナタ、修羅場を避けたければ暗証番号を変えた方がいいかも?!
(2003.2.4)

堀田ハルナ

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