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新人向け基本編2:メール・アドレス・宛先をTPOで使い分ける

新入社員向け「メール道」の第2回は、時と場合に応じて、また目的に応じて、メールを使い分ける極意です。
「若いのにメールの使い方も知らない」などと言われないためにも、新入社員にありがちな「メールの落とし穴」にはまらないように気をつけましょう。
次の3つの使い分けを心がければ、大切なお客様からも上司や先輩社員からも、「ひと味違うビジネスパーソン」と思われるはずです。

使い分け1:何もかもメールで済まさず、面談、手紙、電話も活用しましょう。
 

上司や先輩社員の多くは、社内外の連絡を「メールだけでお手軽に済ませよう」とする風潮を、快くは思っていないはずです。

効率重視の某外資系企業では、隣り合って仕事していても、あえてメールで連絡を取り合うと聞いたことがありますが、それは今のところ例外です。上司がメール中心の仕事の進め方を勧めない限りは、なるべく目を合わせ、声をかけて、気心の通った「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」を行う習慣を、新人時代に身につけたいものです。

それから、急ぎの連絡や質疑応答にも、メールは向いていません。相手が必ずしもすぐにメールを開いて目を通すとは限らないからです。ましてや何度も質問のやりとりを繰り返すような問題であれば、メールの方が解決に時間がかかる場合も少なくありません。そんな場合には面談、せめて電話をして、その時その場で、すばやい意思疎通をしたいものです。連絡はメール一辺倒にせず、臨機応変に連絡手段を使い分けるようにしましょう。
また、営業や調達などで、社外の大切なパートナーと接する機会があるならば、第一印象を鮮明にするために、なるべく手書きのお礼状を書きましょう。メールでのやりとりは、手軽ですが、印象に残りません。増して内容が具体的なアポイントの約束などではない場合、せっかくのメールもすぐにゴミ箱行きという悲しい結果になりかねません。そこでこういう時こそ、手書きのお礼状をお送りして、あなたの誠意を伝えるようにしましょう。こうした特別な手書きのお礼状で名前を憶えていただければ、その後のビジネスもきっとうまくことが運ぶはずです。

いずれにせよ、メール全盛の時代だからこそ、面談上手、手紙上手、電話上手の新人の方が好印象を持たれることは間違いありません。積極的にメール以外のメディアを使うことが、実はメール達人への道なのです。

 
使い分け2:会社=仕事用と自宅&携帯=個人用のアドレスを使い分けましょう。
 

学生気分で、度が過ぎた公私混同メールをやりとりするのも、ビジネスマナーを知らないと言われて、評価の下がる一因となります。
例えば、社外の友人との飲み会や合コンの約束はもちろんのこと、個人的なネット通販や業務関連外の趣味的メーリングリスト参加なども控えるべきです。厳しい企業では、目に余る私用メールが見つかった場合、解雇の理由に繋がる場合もあるそうです。
ですから、会社のパソコンとメールアドレスは、あくまでもビジネス中心に活用しましょう。たとえ送る相手がお取引先であっても、私用が中心となるメールは、自宅のパソコンや携帯電話から、そして個人アドレスから相手の個人アドレス宛てに送る方が良いでしょう。その方が、先方にもご迷惑をおかけしないで済むはずです。

ただし、時には「程よい公私混同」が喜ばれる場合もあります。
会社のルールに反しないか上司に確認の上で、可能であれば、大切なお客様や上司のメールを、自宅や携帯のアドレスに転送するように設定しましょう。そうすれば、勤務時間外でも、緊急のトラブルやリクエストにすばやく対応して信頼を勝ち得ることができます。

また、先方が個人でホームページ、メールマガジン、ブログを使った情報発信をしているかもしれません。名刺交換や面談の中で、あるいは署名やメールのやりとりでそれとわかることがあります。もし相手がネットワーカーだと分かれば「公私共々親しくなる」チャンスです。ぜひ個人発信の情報の数々を熟読して、自宅のアドレスから感想メールやコメントをお送りしましょう。ご自身のホームページなどがあれば、そうした情報をさりげなくやりとりすることもでき、仕事の場以外でお互いの人柄や趣味に触れ合うことができれば、さらに縁が深まることでしょう。

使い分け3:宛先にCCやBCCを使い分けましょう。
 

メールの宛先を、TO:だけではなく、CC:(カーボンコピー同報)、BCC:(ブラインドカーボンコピー同報)と使い分けることも、ビジネスメールにおける大切なマナーです。

それでは、CC:を使うべき代表的なケースを考えてみましょう。
まずは、社内会議や社外訪問の時に、同席同行するメンバーに一斉連絡するケースが考えられます。もしその会議や訪問の取り仕切りをするのがあなたの仕事なら、日時や場所に加えて、当日のテーマや参考リンクなどもわかりやすくまとめて、参加者全員にCC:メールをいたしましょう。もし当日の進め方などで、事前協議が必要な場合は、別途、社内のスタッフや関係者に、CC:で尋ねるのが良いでしょう。必要であれば、メールのみならず、上司に直接相談をして万全の状態で当日に臨みましょう。

また新人では対応に悩む、お客様からのリクエストやクレームのメールの返信も、上司にCC:しましょう。面倒なメールだからといって、音沙汰なしや気の無い返信は論外ですが、自分で勝手に判断をしてメールを送っても、逆に会社に迷惑がかかります。そこで、上司のアドレスをCC:に加えて、メール冒頭にお礼やお詫びを書いた上で「上司と相談して、すぐにご連絡いたします」と第一報を書きましょう。そうすれば、上司にもきちんと「ホウレンソウ」されていることを、先方は知ることができます。さらに上司からのフォローメールや電話が先方宛てに迅速に届けば、その内容はともあれ、みなさんの素早い情報連携を評価してくださるでしょう。

ほかに、CC:を使うと効果的なのは、先方から届いたメールの中に、よく知っている同僚や知人への褒め言葉が登場した場合の返信メールです。例えば、新商品を褒められた時には商品開発担当者を、広告が褒められたときには広告担当者を、CC:に加えて、お礼の返信を書くのです。「嬉しいお褒めのお言葉、弊社の担当者にもぜひ伝えさせてください。」と書いて、CC:をすれば、先方も自分の声が伝わることに誇りと喜びを感じてくださるはずです。

一方、BCC:を使うケースは、ごく限られます。
例えば、お世話になっている不特定多数のお得意先に一斉同報する時には、TO:に自分のアドレスを、BCC:に複数のアドレスを指定します。もし、こうした場合にCC:にアドレスを列挙すると、全員に同報先のアドレスが知られてしまいます。これは個人情報の保護という観点から決して行ってはなりません。さらに同業他社が同報先に多数含まれる場合には「あのライバルとも付き合っていたのか」と心証を害することもあります。そんな面倒なトラブルを起さないためにも「一斉同報をする時はBCC」と心に刻んでおいてください。

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■まとめ
今回ご紹介した3つの使い分けに共通する理念は「上司やお得意先の気持ちになってコミュニケーションを取る」ということにつきます。どんな新入社員なら「使える」「頼れる」それでいて「かわいい」と思うかを、いつも考えるようにいたしましょう。「嫌なこと」「面倒なこと」ほど隠したり、メールで済ましてしまうようでは、業務が滞り、結果的に周囲に迷惑をかけることになります。ぜひ上司やお得意先が望むタイミングに望む伝達手段で、積極的なホウレンソウを行えるビジネスパーソンになってください。

 
久米信行(くめ・のぶゆき)プロフィール

1963年

東京都墨田区生まれ

1987年

慶應義塾大学 経済学部卒業

1987年

イマジニア株式会社入社 ファミコンゲーム開発

1988年

日興證券(株)入社 資産運用・相続診断システム開発

1991年

久米繊維工業(株)代表取締役に就任

1995年

ティーシャツ・ギャラクシー(株)設立 代表取締役
(現ティーギャラクシー・ドット・コム(株))

 

このほか、(社)ソフト化経済センター客員研究員、(社)東京商工会議所 IT推進委員会委員、(株)カレン 社外取締役などを務める。

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イラスト/小湊好治 Top of the page

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