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特定の人の居場所を確認したり、指定したエリアへの出入りをメールで通知してくれる「安心ナビ」。 |
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勤務先から自宅までの帰宅ルートがわかり、いざという時に安心な「帰宅支援マップ」。
【地図:昭文社/調製:アジア航測】 |
さて、上記のサービスは主に外出を楽しくする「便利」系のサービスだが、日常生活での「安心」系サービスも忘れるわけにはいかない。
「安心ナビ」は子供などの居場所を確認したり、指定したエリアへの出入りをメールで通知したりするサービスだ。これは、GPSの位置情報を利用したものとしてはイメージしやすいサービスだろう。居場所の確認はPCからも行なえ、月額利用料は315円となっている(無料機能もあり)。
更に、今夏から提供開始されたのが「災害時ナビ」だ。携帯電話端末内に全国の広域避難所や主要道路の地図があらかじめセットされており、災害時にこれを参照できるサービスだ。他に有料のマップも用意されており、勤務先から自宅までの帰宅ルートが分かる「帰宅支援マップ」(315円/ダウンロード)や、建物などの詳細な様子が分かる「航空写真マップ」、土地の高低差が分かる「立体防災マップ」、指定地域の詳しい避難所情報が分かる「地域避難所マップ」(各210円/ダウンロード)がダウンロード可能だ。
この「災害時ナビ」でも、地図上に自分の現在地アイコンが表示されて移動をサポートしてくれるのだが、面白いのは「太陽アイコン」の表示だ。これは自分から見た太陽の方角を表わしたもので、例えば「太陽が自分の左後方で、進むべき方角は右前方」といった具合に、実物の太陽と自分との位置関係から自分の進むべき方角を正確に割り出すことができるのだ。災害時には建物の崩壊などによって、地図と実際の風景にギャップが生じ、目印になるものが見つからない事がある。あるいは、ふだん地下鉄で通勤している人などは、自分の勤務先からどの方向へ歩き出したら自宅に着けるのかまったくわからない人もいるだろう。もちろん日中しか使えないが、そのような場合には非常に重宝すると思われる機能だ。
ところで、「災害時には携帯電話が使えなくなってしまうのでは?」という疑問が浮かぶ人もいるのではないだろうか。だが、その心配は無用だ。この「災害時ナビ」では基地局からの電波を使わないでも、GPS衛星からの電波だけで測位が可能な「StandaloneGPS」機能に対応している。大地震などで基地局にダメージが与えられ、通信が困難になってしまっているケースでも位置情報を取得できるのだ。ただし、通常の基地局を併用した仕組みよりは、初回の測位に時間がかかる(約2〜3分)ことには留意しておきたい。
このサービスは、災害という「良くない事」が起こった時にその実力を発揮するものであり、平常時にはなかなかそのメリットをが実感できないかもしれない。だが、いざという時にパニックにならない備えをしっかりしておけば憂いもなくなるというもの。時間に余裕がある時などに災害時の帰宅シミュレーションを行なってはいかがだろう。
携帯電話に搭載されたGPSは、単に迷った時に役立つというだけではなく、より効率的で便利な外出を楽しみたいという目的や、日々の暮らしでの「安心」を守る方向にシフトしてきている。総務省による「お墨付き」をもらった事で、今後ますます搭載端末の数は増えるだろうし、ユーザの使用率も高まる事が予想される。市場としての規模が大きくなれば、提供されるサービスの質も量も高まるのは当然の流れであり、しばらくはこの分野では活発な動きが展開されそうだ。 |