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「新書マップ」は「風」という新書についてのポータルサイトの中にある。中央にある検索窓に、文章を入れて、「検索する」をクリック。
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検索すると円の中に、関連性の高いテーマが10個表示される。
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テーマの中から1つ選んで、クリックすると、そのテーマに該当する新書のリストが表示される。
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新書のリストからタイトルを選ぶと、表紙の写真、内容紹介と目次が表示される。
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それぞれのテーマには、「読書ガイド」が掲載されており、その分野についての指針が示されている。
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「新書マップ」は、各社の新書約1万1000冊以上を、任意の“言葉”で検索し、自分の関心や興味にフィットした新書に行き着くためのサイトだ。「連想検索エンジン」という独特のエンジンを使い、いわゆる「キーワード検索」では探せない本に辿り着くことができる。従来のWeb検索にはない画期的な手法により、日本のみならず海外からも注目のサイトだ。同サイトを運営する、特定非営利活動法人連想出版理事長の高野明彦さんを訪ね、お話を聞いた。
高野さんは、国立情報学研究所連想情報学研究開発センター長、東京大学大学院情報理工学系研究科教授を兼任しており、「新書マップ」はその研究成果を具現化したものの一つだ。
「新書マップ」についてレポートする前に、まずはWeb検索について、簡単に説明しておこう。現在、多くの人がWebを検索するときに行っているのは、キーワード、つまり単語によるもので、例えば「テレビ」と検索すると、「テレビ」という単語を含むサイトが検索結果として表示される。これがいわゆる「キーワード検索」と呼ばれるもの。複数の単語を入力すれば、その全てが含まれるand検索となる。一方、連想検索では、「テレビ」という用語について、「テレビとは」なのか、「テレビを」なのか、あるいは「テレビは」なのか、「テレビ」が含まれる文脈を考え、関連すると思われる「テレビとは何か」とか、「マスメディア」「メディアリテラシー」といったものを含めて、検索結果として表示するもの。ユーザは、自身の興味の対象を精査することができ、より適格な情報にアプローチすることができる。連想検索の仕組みについては、あとで紹介する。まずは、実際にサイトで検索をしてみるのが、一番イメージをつかみやすいかもしれない。
それでは、この連想検索を使った「新書マップ」の検索の流れを見ていこう。
1)「新書マップ」は、「風」というWebマガジンの中にあり、同サイトは新書についてのポータルサイトになっている。出版各社の新書の編集長へのインタビューや売れ筋ランキング、最新情報なども入手できるようになっている。検索したい事柄を「新書マップ」の検索窓に書き込み、「検索する」をクリック。書き込む言葉は、単語に限らず、文章でも、長文でもよい。
2)「新書マップ」の本体である、別ウィンドウが起動し、入力した言葉に最も近いと思われる10のテーマが円の中に表示され、円の外には関連するキーワードが表示される。
3)円の中のテーマから、自分が興味を持ったテーマを選び、クリックすると、そのテーマに分類されている新書のタイトル、著者名、出版社などがリスト表示される。
4)円の中のテーマではなく、円の外のキーワードが自分の目的に近いと思えば、それをクリックすると、再度検索し、新しい10のテーマが円の中に表示される。
5)テーマが該当するものであれば、各新書のタイトルをクリックすれば、内容の概略と目次が表示される。また、各テーマにはそれぞれ「読書ガイド」が掲載されており、そのテーマの全体像を知ることができる。
以上が「新書マップ」の使い方だが、ユニークなのは、その「テーマ」だ。
「テレビ」に関連するテーマは、「テレビとは何か」「テレビの見方」「ワイドショー」「テレビゲーム」「ニュースキャスター」「テレビとジャーナリズム」「政治家とメディア」などがあり、その他にも「メディア・リテラシー」「ジャーナリズム」「情報戦争」など、「テレビ」という文言から想定されうるユニークなテーマが提示される。
高野さんによると、テーマの数は1040個あり、その設定は信頼できる有識者、延べ80人以上にお願いして、2年がかりで作成したもの。このテーマが「『新書マップ』の最大のノウハウ」なのだと言う。
「適当に数だけ揃えたのではなく、本を実際に書いている人や新聞記者などにお願いして、本当に有効なテーマを考えてもらいました。ですから、『いい男』はあっても『いい女』はなかったり、代わりに『悪女』や『アメリカの女性』はあるというように、それぞれがユニークで、意味のあるテーマ設定ができました」。
このテーマに新書を分類し、検索するところが、「新書マップ」の最も面白い部分なのだ。
「新書マップ」がスタートしたのは、2004年6月。毎月刊行される120冊ほどの新刊の中から、7〜8割の新書が追加され、テーマ別に分類される。フィットするテーマがなければ、新しいテーマが追加される。これらの作業は選書委員と連想出版スタッフによって行われている。 |