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綜合警備保証株式会社
開発企画部 ソリューション室 課長代理 福田健太郎さん。
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綜合警備保証株式会社
ホームマーケット営業部 ホームマーケット営業課 係長 久保寺哲弥さん。
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「物騒な世の中になったなあ。うちの子は大丈夫だろうか」──テレビや新聞で子供が被害者になった事件を目にする度にそう思う。子供の安全はすべての親にとって共通の願い。誰もが我が子を危険な目に遭わせたくない、いつも無事でいてほしいと祈っている。
特に気がかりなのは、親の目が届かなくなる就学児童だ。学校や地域社会を中心とした防犯活動は進んでいるが、それでも子供が犯罪被害に巻き込まれるケースが後を絶たない。
『平成20年版青少年白書』によると、2007年中に少年(20歳未満)が被害者となった刑法犯の認知件数は約30万5000件にも及ぶ。01年をピークに高校生と中学生の被害件数は縮小傾向にあるが、小学生の被害件数は約2万件で、過去10年間ほとんど変わっていない。
罪種別では「略取・誘拐」(66%)、「強制わいせつ」(51.9%)、「公然わいせつ」(48.6%)に少年被害が多発しており、略取・誘拐では少年の中でも小学生が最も多く被害に遭っている(警察庁『平成20年上半期の犯罪情勢』より)。
子供を犯罪から守るために、親は何をすべきだろう? 基本的な防犯教育が必要なのはもちろんだが、親の目が届かない場所で子供を危険から守るには、ブザーやスプレーなどの防犯グッズが欠かせない。なかでもここ数年利用者が増えているのが、警備会社が販売する“携帯端末を利用した屋外セキュリティサービス”だ。そこではITが活用され、さまざまな防犯効果を生んでいるという。子供の安全を守るために、ITはどのような形で役に立っているのか。今回は綜合警備保障株式会社(以下ALSOK)を訪ねて、開発企画部の福田健太郎さんとホームマーケット営業部の久保寺哲弥さんにお話を伺った。
ALSOKが最初に手掛けた屋外セキュリティサービスは、2003年3月から販売している「あんしんメイト」。小型の専用端末を使用するサービスで、技術的にはGPS及び携帯電話の基地局を利用した位置情報と、携帯電話会社のパケット通信がベースになっている。
GPSと基地局を活用したサービスが、携帯電話やパソコンから端末利用者、つまり子供の現在位置を確認出来る「位置情報検索サービス」。これにより、親はどこからでも子供の居場所を確認することが出来る。またパケット通信で実現しているのは、側面のボタンを押すだけでALSOKへ24時間365日連絡出来る「コールサービス」と、既定のメッセージを登録済みの宛先へ送信出来る「メールサービス」。端末自体に通話機能はないが、不審な人物が近付いてきたら、子供は自らSOSを発信することが出来るわけだ。
サービスのポイントは、子供の居場所を特定することと、SOSをキャッチすること。子供に何かあっても、場所さえ分かれば大人が助けに行ける。ITはこの2点で大きな役割を果たしているのである。
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多機能と使いやすさで支持された「あんしんメイト」。大きさは折りたたみ式の携帯電話とほぼ同じ。
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「『あんしんメイト』は、学校や塾・習い事に通う子供、仕事帰りの女性、高齢者が、不審者に襲われそうになった時や急に気分が悪くなった時に利用するサービスとして開発しました。利用者からの通報を受けたら、当社は事前登録先(親の携帯電話や自宅の電話など)へ連絡し、状況を説明します。状況次第では警察へ通報することもありますし、要請があればガードマンを現場へ出動させることも出来ます」と福田さんは説明する。
同種のサービスは、位置情報の確認に限定した形で他社が先行販売していた。だが利用者が危険な状況に直面しても、その事実を第三者に伝えられなければ救助は期待出来ない。ALSOKは通報機能が必須だと考え、「あんしんメイト」に付与した。現在は他社サービスにも通報機能が加わり、「あんしんメイト」とほぼ同様の内容になっている。
「『あんしんメイト』は多彩なサービスが人気を集め、後発ながら多数のお客様に契約していただきました。利用者の半分は小学生で、残りは小学生以外の就学児童と高齢者がほとんどです。既に携帯電話を持っているせいか、女性の利用比率は意外に低いですね」と久保寺さん。
この「あんしんメイト」、実は今年3月末でサービスが終了する。それに代わる形で昨年10月に登場したのが、今回の調査テーマでもある携帯電話を利用した新しいセキュリティサービスだ。さて、どこがどう変わったのだろう。 |