思えば、20年前に私がビジネス人生を歩み始めた時は、手帳をポケットに持ち歩くのが基本でした。その頃のビッシリ予定が書かれた手帳を読み返すと、今もなかなか感慨深いものです。その後、ポケットに持ち歩けるような小さな手帳から、ファイロファクスに代表される大判のシステム手帳ブームが到来しました。誰もがカバンの大半を手帳で膨らませ、会議になるとドカッと手帳を置いたものでした。
しかし、ウインドウズ&インターネット時代になって様相は一変します。メールで予定を確認しあうことが増えた事もあって、パソコン上でスケジュールを管理するのが便利だと感じるようになったのです。しかし、問題はパソコンがデスクトップで持ち歩けない事。パソコンのスケジュール表の前で、昔ながらの手帳に転機する姿は滑稽に見えたでしょう。いちいちプリントアウトしては、そこに書き込み、また入力して…というアナログ・デジタル変換を繰り返したのも、この時期でした。
ところが、懐かしのIBMシンクパッド230など小さなノートパソコンが現れて、状況はまたもや変わります。それを持ち歩いているだけで、誰もが羨望のまなざしで見つめてくれました。しかし、やってみればわかるのですが、いざと言うとき起動に時間がかかるので、相手をお待たせして迷惑をかけてしまうのです。それではと、起動したまま休止状態で持ち歩くと電池が切れたりして…なかなか大変なのです。
そこで、ウインドウズCE機という大変便利な機械が登場しました。電源ボタンを押せばすぐ起動し、軽量で電池も長持ちというスグレもので、今でも私はシャープのテリオスを愛用しています。しかし、この便利さに気づく人が少なかったことと、普通のノートパソコンが日に日に安価になったことで、各社とも生産を中止。ソフトのバージョンアップはもちろん、無線LANアダプタなどの周辺機器の提供やサポートも止まって、今や絶望的な状況にあります。
これは、大ブームになった、PDA端末にも言えることでしょう。PDAの命名元アップルのニュートンは今、どこへ行ったのでしょう。一時、みんなが持っていたPalmは…。そしてソニーのクリエも生産中止だそうです。絶対多数しか生き残れないIT業界にあっては、少数派ユーザーはいつも冷遇されてしまうのです。
それでは、安価なノートパソコンでスケジュール管理をしましょうか? それも確かに一つのアイディアです。しかし、実際にやってみてわかりました。今や、会社用、自宅用、モバイル用とパソコンが3台もあるので、同期するだけでも大変です。また、会社のグループウエアでスケジュール管理をしている場合には、自宅のパソコンに同じソフトを入れたり、LAN接続することはできません。しかも、個人情報保護や情報セキュリティが厳しくなって、パソコンやデータを社外に持ち歩くことが難しくなった方も多いのではないでしょうか。
そこでケータイ多機能化時代の到来です。ケータイは、いつしかメール端末であると同時にスケジュール管理端末にもなりました。パソコンのスケジューラーと連動できるケータイも増えてきました。私も、なんとか一本指でメールや文書が打てるようになりました。しかし問題は、何と言っても画面の小ささです。気がつけば、私も厄年を過ぎ、長年のパソコン生活と老眼のダブルショックで細かい字を見るのが辛いお年頃になっていたのです。それに、万一落としたら、それもトイレや洗面台に…。と言いながらW-ZERO3が欲しくてたまりません。