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第13回 第1章 心がまえ
   第5項 メールの世界は、企業間より個人間で賑わう
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■第1章 心がまえ

 第5項

 メールの世界は、企業間より個人間で賑わう

 〜個人で認め合う関係になってはじめて、真のメール談が成立する

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■デジタル社会で、あたたかみのあるメールがウケる逆説

もちろん、情報通信技術が発達すれば....

お客様が手元の端末で、商品情報や在庫・配送の状況などを、簡単に
調べて発注できるようになります。

さらには....

工場で生産している様子、店舗の賑わいなどを、遠隔カメラを操作して
居ながらにして確かめることも、当たり前になるでしょう。

こと法人間の取引においては、受発注業務の多くが自動化してしまうのは、
世の中の「止められない流れ」だと感じています。

        @      @      @

だからといって、全部の取引が無人化するわけではなく...

人でしかできない仕事、自動返信メールでは出来ないことが出てきて、
むしろその重要性が「再認識」されるでしょう。

一人のネット通販愛好家として私も、日々、ヒトや機械が出したであろう
メールの数々を受け取りますが....

人の心をあたたかくできるのは、人が想いをこめて出したメールだけ
だと思っています。



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■企業発のメールは捨てられやすい

業務上、やむを得ず読まなければならないメールを除けば...

まず企業発のメール、それもダイレクトメールの類は、ゴミ箱フォルダ
に直行=たちまち削除されるのが普通でしょう。

        @      @      @

ネット時代過渡期である「今ぐらいのメール受信数」でさえ、こんな
ありさまなのですから、米国のヘビーユーザーなみに一日に200通も
受信箱に投げ入れられるようになったら、どうなるでしょう?

おそらくは、メール処理!?作業の第一ステップは、
「いらないメールを捨てる時間」に費やされるようになるはずです。

        @      @      @

現に、私が受け取っている1日100通を超えるメールも、よく見れば....

何割かは、いつからか送られてくるようになった?企業発のダイレクト
メール、メールマガジン、ニュースの類です。

別に悪気があるわけではないのですが...
それらのメールの多くが、「見ないで捨てるもの」と、
「パッと開けて捨てるもの」に分類されてしまうのが現状です。

忙しい時など、発信者が、知らない企業名になっていると、
「それだけで捨ててしまう場合」すらあるのです。



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■大企業発のメールマガジンは、なぜ捨てられやすいのか

なぜ、企業発メールをすぐ捨ててしまうのか、胸に手を当てますと...
「いやな感じがする経験」を重ねて味わってきたからだと気付きます。


 1)罫線と見出しばかりで、つまらない

  よくあるのが、1行の見出し、あるいは、
  3行広告、5行広告のような文面が、リンクされたURLと
  一緒にひたすら羅列されているようなメールです。
  
  この忙しい時に、それらのリンクを一つ一つたどってもらう
  ことはなかなか難しいと感じるのは私だけでしょうか?


 2)商売っ気丸出しで、引いてしまう。
 
  一方的にセンセーショナルな売り口上や、
  キャッチコピーが並んでいて怖いメールも目にします。
  
  大体、知らない企業から(最近は中国系も多い)突然届きますので
  それだけでも嫌なのですが....。
  
  試しにWEBをリンクしてみると、キャッチコピーとの落差に
  ガッカリすることも多いのです。
 
 
 3)心がこもっていないので、響かない
 
  その反対に....
 
  いかにも、担当者が仕事として「やらされている感じ」のメールは、
  自分の扱う商品、作る製品に誇りを持っている中小企業経営者の
  熱いメールを見慣れていると、そのギャップは明らかです。
  
  また、「いかにもプロ」のマーケティング業者に頼んだと思しき、
  テクニックに走ったメールも、なんだかいやな感じがします。


こんな寂しい経験を重ねるうちに、企業名とタイトルで
「何となく予想」がつくようになってメールは捨てられやすいのです。

        @      @      @

さらにおそろしいことに....

昨今は、メール経由のウイルス感染も多いので、多くの方は、
「メールのプレビュー画面を開かない設定」にしていると思います。

そうすると、「メール見出し一覧」で選抜が進むので、
最初の数行さえ読んでもらえないメールが、ますます増えることでしょう。



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■企業名は出会うための方便、継続するには個人の魅力

だとすれば、企業名でメールを出す時は工夫が必要です。

もともと、ビジネス社会では、やはりお互いに信頼しうる組織に属し、
しかるべき役職について、会う価値があると感じてもらうことが
スタートです。

この点では、業界でよく知られた、人気のある企業に属している人が、
最初は、有利なはずですが....

ことメールの場合は生かしていないケースも見られます。

        @      @      @

例えば、はじめてメールを、面識のない人に出すなら....

発信者は 「企業名+個人名」で、
タイトルは「ホームページを拝見して○○についてご提案があります。」

といったダイレクトメールやメールマガジンではない、一対一の個人
メールだと明らかにわかる形で出すべきでしょう。

        @      @      @

そして、メール本文と合わせて、電子署名からのリンクが重要で....
まずは、所属会社のホームページが、続いて、自己紹介がわりの個人の
ホームページや、名刺以上の重要な役割を果たすわけです。

この「はじめてメール」はいわば、簡単な第一次選考のようなものかも
しれません。

        @      @      @

しかし、本番はこれからなのです。

ひとたびお会いした瞬間から、あるいはメールを交わした瞬間から、
「個人対個人の信頼関係」がベースになっていきます。

おそらくメール社会では、それが、もっと顕著になってくるでしょう。

面談や電話の場合なら、相手があまり好きでなくとも....
いざ、会ってしまったら、とりあえず話だけでも聴いてくれるかもしれ
ませんが....

メールの世界では「ただ読まずに捨てられるだけ」なのです。



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■個人名のメールでも選抜がある

日々のメール応対を思い起こしてみてください。

メール差出人が個人であれば、まず誰だったか瞬時に思い出そうとします。

その時、思い出されないようであれば...運良く捨てられなかったとしても、
「よからぬ売込みメールだろう」と読み手は覚悟して開くので...不利です。

よほど面白くなければ最後まで読んでくれないかもしれません。

また、面白かったら面白かったで、何かウラがあるのでは疑われて...
捨てられてしまうかもしれません。

        @      @      @

だからこそ、できる限り面談と良い印象を重ねて「顔が浮かぶ」ように
するのが最善の策でしょう。

「ああ、あの人」とピンとくれば、かなりイイ気持ちで開いてくれる
可能性が、高くなるのです。

本来のメッセージを、少なくともニュートラルな気持ち、あるいはそれ
以上で読んでくれるわけです。

        @      @      @

現実問題としては、一人一人にお会いするのは難しいことです。

特に、個人と大量にメールをやりとりしながら、ネット通販をする場合
などは、そんな個別対応が難しいわけですが....

だからこそ、繁盛している個人商店主ほど、
ホームページに自らの笑顔の写真と、フランクな自己紹介を載せて、
メールマガジンでくりかえし「商いへの思い入れ」を語って、
「実際に会う体験」に代えようとしているのでしょう。

発信者名で、「顔」と「商品」と「過去のメール」が思い浮かび、
過去の満足体験が甦るようになれば、最高でしょう。

個人商店主のみならず、大企業に勤めている人であっても、
個人のホームページやメールマガジンを、より「親しみのわく面談」
の代わりとすることはできるはずです。



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■いずれ「個人の魅力」が「企業の魅力」を超えることも

かくして、個人発メールも「行くところまで行く」と....
「その人の名前を見ただけで、楽しく嬉しく感じられるメール」に
昇華されていきます。

たとえ、あまり良くないニュースが書いてあったとしても、その人が
書くことで許せてしまうことさえあるのです。

        @      @      @

証券会社勤務時代に、上司から、お客様にあまりに信頼されたために、
「転勤になっても、その人からしか買わない」と指名された達人セールス
がいらっしゃったと聴いたことがあります。

「新幹線」や「飛行機」でまで使って、通ったケースもあったそうです。
(もちろん超上得意だからゆるされたのでしょうが)

同じように、ネットでも「あの人からしか買わない」というケースが
あると、よく耳にします。

(たとえば、夫婦でやっていて、奥様ばかりが人気があって売れるという
 有名店もあるとか)

        @      @      @

おそらく、本当に良いお客様とのつきあいは、21世紀になっても、
効率よりも「濃密なコミュニケーション」が重要でしょう。

中でも、メールは時間と距離を超えて、いつもつながっているための
最良のツールとなりえると考えています。

        @      @      @

ですから、はじめてメールでこそ「○○株式会社の○○課長の○○です」
と名乗っても...

お互いに顔と名前が一致するようになったら「○○です」と個人名で
メールを出し合える関係に「早くなる」ことが大切でしょう。


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