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第30回 第1章 心がまえ
   第22項 メールを出したら「おしまい」ではない
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■第1章 心がまえ

 第22項

 メールを出したら「おしまい」ではない

 〜「忘れていいこと」と「いけないこと」がある

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■メールの弱点は「出したら仕事は終わり」だと思いがちなこと
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以前、タナベ経営の中副社長とお話をしていた時に、

「メールを出したら仕事が終わりだと思う人がいて困る」

との一言があり、納得また反省したことがあります。

        @      @      @

たしかに、わが身を振り返っても...

「メールを出した時点で連絡終了=業務終了!」だと、
「無意識のうちに思い込んでしまう」時があります。

        @      @      @

しかしながら、メールは必ずしも、
相手の目にとまって開けられるとは限りません。

ここまでメール数が増えてきますと、うっかり見落としたり、
削除してしまうことも増えましょう。

なにしろ、ジャンクメールも含めて!忙しいキーマンほど
[うんざりするほどのメール]を相手にしなければなならないのです。

特に、休み明け、出張帰りなどで、未読メールがたまっている時には、
重要な連絡も見落とされがちです。

        @      @      @

また、日に何度も、メールをチェックしてくださる人ばかりではなく、
相変わらず、ケータイや、FAXの方が「はやく確実に伝わる人」も
まだまだ少なくありません。

ですから、急ぐ要件、重要な要件を伝える時には、電話などとあわせて
確認する方がよいでしょう。



■特に忘れていけないのは「仕事の進捗途上メール」
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特に、見積もり回答メール、アポイントメント伺いメールなど、一定
期間内に、先方のお答えを聴かなければいけない要件の場合には、
一方的にメールを出しっ放しで、忘れてしまってはトラブルの素です。

もし、先方から一定期間返信がなければ、再確認メールを出すより、
多くの場合は電話、FAXなどで確認をした方が確実です。

「メールを出したら仕事はおしまい」のつもりでおりますと、
せっかくの注文を取り損ねたり、後々、期日に追われ、双方の予定を変更
しなければならなくなるのです。

        @      @      @

残念ながら、今のところ、メールソフトと、進捗管理、期日管理とを、
便利に連動、自動化してくれるようなソフトは見当たりません。

ですから、パソコンやPDAの、あるいは原始的ではありますが手書きの
手帳の「スケジュール表」や「TO DOリスト」に...

メールを返信したと同時に、その回答期限(たとえば3日後)となる日
の予定欄に「○○様に確認」と記入しておく必要がありそうです。

面談や電話では、当たり前に行っている管理を、メールでも適用するの
です。

もちろん、その前に返信をくだされば、その手帳に書いた予定は消して
しまってかまいません。

        @      @      @

さらに、その応用編といたしましては...

お客様が受注してくださった後に、お礼メールを出した際など、

次に受注が期待できる日に
(ケースバイケースですが、例えば年1回の案件なら1年後の少し前)

「○○様に今年もお願いのメール」などと書いておいてはいかがでしょう。

わざわざ高度なデータベースを使わずとも、手帳ひとつでできそうです。



■忘れていいメールは、仕事と直結しないお役立ちメール
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一方、出したら、一刻もはやく「忘れた方がよいメール」もあります。

それは、お客様のリクエストに応じて「ご期待以上のお役立ち」ができた
メールです。

とりわけ、自分たちの商売と「すぐにはつながらない」けれども、
一個人として「お役に立てた」ことほど、はやく忘れる方が良いのです。

        @      @      @

たとえば、「自社取扱以外の商品が欲しい」というリクエストをいただい
た時など、

「メール道実践者」なら「自ら売りたい気持ち」を抑え、
「お役立ちの一心」で...

お取引先はもちろんのこと...時にはライバルを含む「知っている業者」
をご紹介するケースがあるでしょう。

時には、お客様に代わって、インターネットで検索をして、探し出すこと
さえ無意識にして「お役立ちメール」出してしまうかもしれません。

そんな情報発信に熱心な人ほど「あの人に聴けば...」と期待され、リクエ
ストメールを受け取る機会が増えていくはずです。

        @      @      @

こうした「お役立ちメール」を出せた時には、その後いただいた
「感謝のメール」もあわせて「忘れた方がよい」と思うのです。

「あの人には○○をしてあげた」などと憶えておりますと、ついつい
「恩着せがましい心」が湧きあがってきそうです。

無意識のうちに、それが態度になって表われてしまうかもしれません。

それが、いつしか相手にも伝わって、感謝の念が、不愉快な気持ちに変わっ
てしまったとしたら、元も子もありません!

        @      @      @

先人の本には...

「良いことをしても、良いことをしたと思ったり、
 それを人に話したりすれば、それは良いことをしないより悪い」
 
と書いてあります。

そこで、そんなメールごと、すぐに忘れてしまえば、後々も自然に縁者と
接することができるでしょう。

皮肉なことに、その結果....

「あの人は、いつも親切だけど、何も見返りを要求しない」と、
「恩義」を、ますます感じてくださるかもしれません。



■忘れることで「脳」が活性化する
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また、メール発信者の「脳力」にとっても、忘れるのは良いことです。

限りある「脳のメモリ」を、これからは「メール道」実践することで、
いままでの何倍も活用していくわけですから...

「過ぎたこと、よけいなこと」はすぐ忘れて「空きメモリ」を増やし、
「憶えていなければならないこと」「新しく発想すべきこと」の方に
「脳力」こそ使った方が合理的でしょう。

        @      @      @

「書いたらすぐ忘れる」のは、ささやかな経験から、
「とても有効」だと感じています。

日々、縁尋奇妙なるメールマガジンを、私は縁者にお送りしておりますが、
その文を書くまでは、内容について深く考えていながらも...

発信ボタンを押した瞬間に「忘れてしまう」ようにしております。

限りある、そしてちょっと古びた私の「メモリ」を有効に使うために!

        @      @      @

そうでもしなければ、「一騎当千のツール」である「メール」特有の、
大量多頻度濃密なコミュニケーションを続けるのは困難です。

体も脳も長持ちしなそうです。

        @      @      @

また、不思議と、必要があるときには「忘れていたこと」も、
ふと思い出せることも多いものです。

もし思い出せなくとも、パソコンにさえ入っていれば、そしてバックアップ
さえしっかりとれば、あとあと検索をして、読むこともできるのですから、
心配はご無用です。


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