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◆ 10回目記念:日本製最新モバイル機器レポート
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◆ 東芝GenioとNECインフロンティアのPHSカードを購入

今月(2002年10月)、日本に帰った際、東芝Genio e550GとNECインフロンティアの音声 通話可能なAH−N401Cカードを購入した。Genio e とAirHはアメリカでは売られていない だけでなく、PHSはアメリカでは使えないのだが、何で買ったのかは理由がある。今まで 日本に帰った時に使っていたアステル東京のPHS(購入価格は1円だった)が、電波の入 りが今ひとつ良くなく、ブースターを使っても余りその効果が見られなかったのと,今回 公式に音声通話可能になったNECインフロンティアのPHS CFカードとPocketPC2002とを 組み合わせて、日本でのスマートフォンの可能性を試してみたかったからだ。またデジ タルカメラのファイルのダンプ兼簡易ビュワーとしてノートPCの代役をさせたかったね らいもある。

◆ 画像ファイルの編集などについて

今やデジタルカメラのCFカード容量も1Gの時代で最高解像度でも500枚以上撮れるように なったのは結構なのであるが、手元に交換用のメモリーカードを持っていないと、いざ と言う時その大容量が生きてこない。今までは薄型ノートPCを持参してホテルなどでフ ァイルのダンプをして容量を確保していたのだが、写真を主に撮るところは野外であり 、そこでノートPCを取り出すとか又、野外に持ち出すのは少々厄介で、結局高いと思い ながらも予備のメモリーカードを購入して、いつも持ち歩いていた。スタパ斉籐さんが スタパトロニクスで以前評価されていたデジタルワレットを使っているアメリカの友人 もいるが、ハードディスクに300ドルも出す気にはなれなかった。

ところがGenioのPCカードアダプターに同じく東芝製のモバイル・ハードディスクを取 り付けるとなんとCFカードからPCカード(HDD)に簡単にファイルのダンプがいつでも どこでも出来るようになる。今回は5GのモバイルHDDをGenioのPCカード拡張アダプター に差して使うことにした。使ってみてすぐ気が付いたのはメモリーが不足気味でかつ、 ビュワー(Canon製EasyVewer)が256画像までしか表示できないことが判り、ファイルを 100ファイルづつのフォルダーに入れ直す必要があった。その後はかなりストレスがない 程度(ファイルオープンに20秒)のレスポンスになったが, まあ2メガ以上ある画像ファ イルをポケットPCで整理して見ようというのは、現時点では多少無茶な要求であるのか もしれない。しかし初期のノートPCのような感覚でやや興奮したのは確かである。

◆ 通話機能の使い勝手

キャリアはDDIポケットの一番安い32K通信契約に入ったが、電波の入り方は格段に良く 、電車内で移動中にも途切れることがほとんどなかった。山田道夫さんのモバイル・ニ ュースでも新幹線内でほぼOKだったと報告されているので実用性は十分と思う。待ち受 け受信の場合、電池の減りが気になるが12時間使っても40%台になるぐらいで、これも CFカードのLEDをつけた状態であったので、消しておけばもっと持つと思われる。後で知 ったのだが、東芝のGenioだけが待ち受け受信可能だそうだ。

ただしそのデザインからマイク(上部左横)とスピーカー(下部右下)の位置が上下逆 であるのでイヤフォン無しでは話がしづらいし、スピーカーも音声用としては少々音量 音質とも実用レベルとは言い難い。筆者はアメリカでハンズフリー・セットを使い慣れ ているので抵抗はないが、一般の日本人では使いづらいと感じるかもしれない。イヤフ ォンをつけた状態で、都内で何度も待ち受け受信、送信を試してみたが快適であった。 但しバックから取り出したりしまったりと厄介なので何か良いケースがあると更に便利 だろう。それにスマートフォンと違いイヤフォンをつけると呼び出し音がスピーカーか ら出てこなくなるので、常にイヤフォンを耳に差しておくか、その都度取り付ける必要 がある。ダイアル用のソフトはまあまあ実用的であるが、サードパーティーからもっと 使い勝手の良いソフトが出てくることを期待している。

◆ Genioのバッテリーについて

バッテリーについては、東芝Genioは大変良く考えられている。拡張アダプターにはバッ テリーが組み込まれているので取り付けても本体のバッテリーを浪費することがない。 また乾電池によるバッテリー・チャージャもオプションで用意されていて、1時間程度 で再充電できる。更にダイアテックから超小型ACアダプターと充電式バッテリー・チャ ージャーも売り出されているので、これらを組み合わせれば外出時のバッテリーの心配 はほぼないといって良いだろう。

◆ Webアクセス

ウェブ・サーフィンもアメリカで使っているSamsungのスマートフォンのCDMA14.4Kとは 比べ物にならないくらい早く、ほとんどストレスが感じられなかった。これで128Kの繋 ぎ放題だったらもう病みつきになるかもしれない。もっともサイトはポケットPCに最適 化されているものしか試してみていない。 アメリカでもSprintPCSからPCカードタイ プのCDMA1xモデムが3G対応で売り出されている。音声通話は可能かどうか確かめて いないがGenioと組み合わせて試してみて見たいものだ。

◆ PC2002の性能について

唯一の不満としては、東芝製Genio e550Gを含めほとんどのPC2002機にはインテル社製  Xscale400Mhzが搭載されているが すでに報告されているように400Mhzの速さは感じら れない。OSのARMへの最適化が図られていないのと、特に動画と音声(すなわちメディア プレーヤー)の対応がまだなされていないからだ。しかしこれも今後のMMX 搭載 Xsca leで動画と音楽の性能は実用レベルになるであろうし、来年以降の次世代(0.13ミクロ ンプロセス)のXscaleでは更なる低電力と高いクロック・スピードが期待できる。

◆ 画面サイズについて

そして東芝の4インチ画面の他社製との差はやはり大きい。筆者は私用のPDAとしては ソニーのクリエN600を従来から使っているのだが、外形寸法はほぼ同じにもかかわらず 画面のサイズは2倍近く大きい(グラフィティエリアが約3分の1を占めているのが大 きいが)。またフォントもクリエの高解像度に見劣りしないくらいきれいだ。もっとも 同世代の比較ではないのでその点反論ある方もおられるとは思うが。

◆ PC2002とPalmとの比較

MS Active Syncはパームを使ったものにとってまったく新鮮に感じるくらいすばらしい 繋いだだけで自動的にシンクするのとメモやファイルをフォルダーにドラッグ&ドロッ プするだけで直ちにシンクするのも使い勝手がはなはだ良い。PalmDesktopでは各種のサ ードパーティーのソフトをインストールし、シンク条件を個別に設定しなければシンク ボタンを押してもシンクしてくれないし、アウトルック・メールはいまでもシンクの問 題が絶えないもののひとつである。

◆ 東芝Genioの相対評価

ソフトウエアのインストールのし易さとか、良いシェアウエアがかなり揃ってきたこと など、沢山の先達のウエブサイトがあるので、ここでは詳細は省くが、今回東芝のポケ ットPCを購入してみて、もはや勝負あったと結論せざるを得ない。残念ながらOS5になっ ても、Xscale CPU を使ってもソニーのクリエは一部個人のマニア向けに留まり、ポケッ トPCが個人用のみならず、業務用に広く用いられるようになるのは時間の問題と思われ る。PHS内臓でよりスマートフォンに近づいた物も出て来るであろう(既にアメリカでは 発売されている)。無線LAN内臓でホットスポットや家庭内でサーフィンが出来る機種も 出て来るだろう(これも既にアメリカでは発売されている)。東芝はその昔、ノートPC 市場を開拓した輝かしい伝統を引き継ぐかのように今、PDAでも市場を開拓しつつある ように思えた。ところで純正のリモコン付のステレオ・イヤフォンは何とかなりません かね?


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