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◆ 3ギガCFカードが与えるインパクト
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◆ 3ギガCFカードがアメリカで発売された

台湾系の会社PRETECより、3ギガコンパクトフラッシュ・カードがアメリカで 発売になった。日本発のニュースでは見かけなかったが、デジタル写真関係で は有名なDigital Photography Reviewで取り上げられていた。いつも不思議に 思っているのだが、その昔、IBMのマイクロドライブの時にもアメリカで評判に なってひとしきりしてから、日本にも紹介されたように、メモリーカード(特 にコンパクトフラッシュ)の大容量化と価格は常にアメリカが先行しているよ うだ。なぜ日本が先行しないのかは今ひとつよく判らないのだが。

現在までの最大容量のフラッシュカードはコンパクトフラッシュの1ギガであり (今や日本でも売られている)、IBMのマイクロドライブ(フラッシュメモリー ではなくHDDだがサイズがコンパクトフラッシュ・タイプIIなので同じと見なす ことができる)に加えて、最近ではLexarのプロ用16倍速のものや、SanDiskのも のがアメリカでは販売されている。スマートメディアとメモリースティックはど うやら128メガ止まりらしいが、SDカードは512メガまで出ているので、そのうち 1ギガのものも出るのであろう。一昔前を考えると夢のような大容量だが、最近 のポケットPCや5メガピクセル以上のデジタルカメラを見ていると、1ギガでも 足りないように感じるから不思議だ。その意味で3ギガのフラッシュカードの持 つ(市場への)インパクトは大きい。価格はまだ2000ドル以上もするが、Lexar のプロ用1ギガが実質500ドル台で売られているところからみて、1500ドル台ま で下がるのは時間の問題だろう。IBMは当然これに対抗すべく3ギガ以上のコン パクトHDDを開発販売するであろうと思うので、間違いなくメモリーカードはギ ガの時代に突入したと言って良いだろう。IBMのマイクロドライブはアメリカで は1ギガのものが300ドル程度で売られている。またPRETECのフラッシュカードは (たぶん初めてだと記憶するが)、FAT32でフォーマットできる。このことは言 うまでもなく、フラッシュカードがWindows98ないし2000対応になったと言うこ とだ。

◆ 従来のフラッシュカードの問題点

余り知られていないようだが、今迄のフラッシュカードは、必ずしもWindows対 応ではなく、うかつにパソコン上でフォーマットすると、カメラやPDA上で読め なくなるといったことが普通であった。その昔をたどると、筆者はごく初期のフ ラッシュカードを何枚か今でも持っている。最初のものはインテル社の4メガ・ フラッシュPCカードで、今で言うPCカードタイプIのカードであり、ExCA(Exchan geable Card Architecture)と称したフォーマットで、DOS上でフラッシュフォー マットと言う特殊なフォーマットをしたのち、PCカードのドライバーをExtended Memory のしかるべき位置にインストールして初めてメモリーとして読み込めると いった、やっかいな代物であった。

それだけでなく、その頃はDOSも各社独自の拡張をしており、メモリーがどう使わ れているかよく調べないと、PCカードのドライバーが他のドライバーのメモリー 領域と重なって、DOSがブートしなくなるなどの問題があった。今どき、DOS、Ext ended Memoryなどと言っても判る人が余りいないだろうし、初期の頃の4メガ・フ ラッシュカードが2000ドルくらいしたと言っても信じてもらえまい。

そして当初の市場予想を大きく裏切って、フラッシュカードの市場はその後順調で はなかった。高価格のために、しばらくしてPCカードタイプのHDDが登場し、さら にIBMのマイクロドライブが出て、大容量の市場はHDDに戻ってしまった。MP3プレ ーヤーもフラッシュの市場を拡大するかと思われたが、Apple社のiPodで壊滅的な ダメージを受けてしまった。デジタルカメラにしてもごく最近まで8メガとか16メ ガのフラッシュカードが一般的であった。

◆ フラッシュメモリーの大容量化がもたらすもの

しかしここに来てフラッシュメモリーの大容量化の波が再び押し寄せてきている。 これには半導体製造上の二つの大きな改良点が寄与している。一つは多価値メモリ ーで、従来の2値メモリーの2倍〜4倍のメモリー容量を得ることができる。もう 一つはスタック技術でチップを薄く削って何枚も重ねることで、同一面積に2倍〜4 倍のメモリー容量を得ることができる。これらの技術と半導体微細化の技術と相ま って、フラッシュメモリーが従来の8倍〜10倍の容量になって来たからだ。

もちろんHDD業界も黙って見ている事はなく、直ぐにもっと大容量のコンパクトカ ードやPCカードを出して来るであろうから、全体としての価格低減と多種の選択余 地と言う、消費者有利な市場状況へと変わる可能性がある。既に述べたように、デ ジタルカメラとPDAがコンパクトフラッシュ・タイプとSDカードを標準としつつ あるので、これらのカードを中心に大容量化が一段と進むものと思われる。特に今 後、動画を撮ったり、見たりしようと言う人が、かなり増えて来るのではないか。 そしてこれは、期せずして日本ではケータイの目指す方向と同じということであり、 スマートフォンが日本でも発売される日も近いのではないかとも思う。因みに、京 セラの7135スマートフォンは12月20日、やっとアメリカで発売になったがまだ入手 は困難な状態だ。

これも日本ではニュースにならなかったようだが、ソニーではメモリースティック ・プロを発売すると言うニュースがアメリカで流れた。容量が256メガから1ギガま でで、高速読みとりが歌い文句らしい。ソニーのメモリースティックは、どちらか といえば読み取り、書き込みとも遅い部類であったし、更にコンパティビリティが ない(アダプターもない)ことが、普及上のネックになっていたと思うが、これで 少しは改善される。価格が高いと言う問題と、アダプターの問題はまだ残るので、 これでユーザーが増えるかどうかは疑問だが、ソニーのロイヤルカスタマ(ソニー 信者)は満足できるだろう。


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