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◆ ガジェッツ
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◆ アメリカの経済状況

2003年も2月になってから、景気の低迷感がかなり顕著になって来た。これは米国一般人がイラクとの戦争の決定と結果を待っているためであり、それ迄、景気はこのまま低空飛行の状態が続くとの見通しが大勢を占めている。ブッシュ大統領も振り上げた拳の落としどころが決まらず、政権持続にも響く様相を呈して来ている。また、過去の好景気を前提とした過大消費と教育や医療関係への重点予算の公約実行がたたって、各州とも大幅な赤字財政となって来ており、今週行われている州知事会議で政府に対する不満が爆発するとの報道もある。赤字の内容を聞いてみると、まずキャピタルゲインに依る税収の大幅な減少とインターネットショッピング拡大による消費税の大幅な減少(オレゴン州など消費税が無い州は影響が無い)、そして9.11以降の大幅なセキュリティ対策の費用などで、大半は過去のITバブルの後遺症とも言えるものだ。

◆ 小物電子機器・ガジェッツ

この時期、色々な新製品が出回り始めており、ブームとならないまでも、かなりの売り上げが見込まれそうな品物が数々ある。アメリカでは、人に見せびらかしたいような小物機器のことをGadgets(ガジェッツ)と呼ぶ。これらを紹介するウエブサイトやチャットルームもかなりあり、結構楽しめる。

◆ ポケットPC

今回、これらのうち筆者の目に付いたのが、まずHPのiPaqH5450ポケットPCである。発売されるのは時間の問題と言われていた商品だが、歌い文句は、無線LANとBluetoothそして指紋読み取り機構が内蔵されている。従来のiPaqでは、専用のジャケット(拡張アダプター)を使わなければ、取り付けすらできなかった機能が内蔵されたわけだ。現時点でトップクラスとされている液晶ディスプレイと相まって、これは企業ユーザーのみならず、一般人もかなり購買意欲をそそられるだろう。ZDNetの PC Magazineウエブサイトでその評価を見てみたが、かなり良い。唯一の弱点は、そのバッテリー寿命であろうか。評価結果では、4時間弱、無線LANオンで1時間半、というポケットPCプラスXscale 400Mhzでは妥当な結果とは思うが、従来に比べて少々短いとも言える。Xscaleのアップグレードは今年半ばと言う噂もあるので、それ迄待つという人もいるだろうが、企業関係には相当数は売れそうだ。

◆ 新型ケ−タイ

次の製品はNokiaの新しい携帯電話3650だ。多分、Nokia最初のカラーディスプレイだと思うが、大ヒットとなっている従来型(アンテナ無し)デザインを踏襲しつつ、かなり大胆な変更を行っている。一つはSymbian OSの採用、そしてキーのデザインが昔のロータリー式の電話器を思い出させる円形配置で、そのため本体下側が丸いデザインとなってホールド感がかなり良さそうだ。もちろんカメラも内蔵されている。従来からのNokiaユーザー(AT&Tがプロバイダー)が、直ぐにでも買い換えたくなるような出来栄えで、かつ値段も400ドルとスマートフォンとしても格安である。今年これから続々出て来るとされている、ポケットPCベースのスマートフォンへの先制攻撃であろう。

◆ CDMA 1X電話アダプター・カード

次の製品は、世界初のコンパクト・フラッシュ・カード・タイプのCDMA 1x電話アダプターで、SprintPCSと契約して音声サービスのみならず、その144kbps Visionサービスも受けられる。但しWindows PC とポケットPC2002しかサポートしていないので、パームでは使えない。なぜ筆者がこれは世界初と言うのかといえば、日本の同種のものはPHSであり、かつ音声サービスが出来る物も殆ど無い上、使っている人も殆どいないと思えるからだ。このカードを付ければ、ポケットPCがスマートフォンに変身する。値段は230ドルだがリベートが50ドルつくので、実質180ドルとかなり買い易い値段になる。もしこの製品が売れるようなら、他社からも同様の製品がどんどん出て来ると思われるので、値段ももっと下がる可能性があり、売れ行きが注目される。

◆ インテルCentrino搭載のノートPC

最後は本命のIntel社Centrino搭載のノートPCだ。正式発売は3月12日頃だが、既にIDFで製品が紹介されているし、各社とも出荷の準備を既に始めているはずである。IDFでのレポートなどによれば、噂通りの性能で、Pentium-M (Banyas) 1.6GHz (L-1 cash 1M)でPentium-4M 2.4GHzよりアプリケーションの動作が10%以上早く、且つバッテリー持続時間は5時間以上に延びている。製品名としてはIBMのX31などが挙がっている。更に、新しいチップセットは今回初めてUSB 2.0 と802.11bをサポートする。802.11aと802.11gのサポートも年内にされるだけでなく、年末には次世代プロセス(90um)によるチップ(Dothan)へのアップグレードが期待され、更に高速で且つ長時間持続な本当のワイヤレスノートPCになるだろう。これらの新しい機能は、コストを下げて(より少ないチップセット)登場するので、バッテリーのこれ以上の容量拡大を止めるのみならず、最終製品の価格をも引き下げる可能性があり、消費者にとっては買い得感があるだろう。筆者も、ここ数年待っていたノートPCの買い換えを、今年する予定だが、前回より少ない予算で最新製品が買えそうだ。

さて、これだけ手に入れたくなるガジェッツが出て来ているのだが、アメリカの消費者がどれだけ財布の紐を今現在緩めるかが勝負となる。もちろん対イラク戦争が何らかの決着を見る必要が有るが、要は消費者心理の問題なので、各社とも有り金はたいて消費者に訴えるコマーシャルを始めている。この意味で、コマーシャル会社の景気回復が先に始まるかもしれない。既に新車販売などで実績をあげている0%利息ローン、1年あるいは2年先まで支払い不要などの販売戦略が、エレクトロニクス商品販売に適用される可能性も高い。携帯電話では、既に本体無料が登場してきており、家族割引が現在の目玉となっているし、夜間や週末は無制限使い放題のプロバイダーも出て来ている。


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