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◆ あなたはどの程度無線LANを知っていますか?
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◆ 無線LANについてのおさらい

これが30回目ということで、ここで無線LANについておさらいをしておきたい。今迄、アメリカと日本の文献やウエブサイトを数々読んでみたが、無線LANの常識について簡単にまとめてあるものは、まだ見たことがない。サンフランシスコのジャパンタウンにある紀伊国屋書店で、何か日本の単行本があるか調べてみたが、1−2冊程度で内容も無線LANをどう使うかが主点で、無線LANの規格や利点、難点などについては、余り触れられていなかった。無線LAN内蔵のノートPCやPDAがこれだけ出て来ているのに、消費者は何も知らずにセールスの歌い文句だけで買うことになってしまう。9600ボーの時代から、モデムに(相当な無駄金を)投資してきた筆者としては、ここで無線LANのおさらいをして、自分自身を含めた消費者がどのようにして無線LAN搭載のノートPC、あるいはPDAを今年買うべきか、書いておくのも悪くはないと思った次第である。

◆ 現在使用可能な無線LANの仕様

無線LANは世界各国共通で免許の要らない周波数帯と限られたチャンネルを使って通信を行うシステムである。先ずはその標準であるが、現在802.11bと802.11aの2種類がある。IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)という国際標準化団体が仕様を決め、Wi-Fi Allianceが業界内での製品の認定を行い、互換性を保証している。

? 802.11b: 2.4 GHz 帯を使い、最高11Mbpsの速度で3チャンネル確保されている。 ? 802.11a: 5 GHz 帯を使い、最高54Mbpsの速度で12チャンネル確保されている。

但し、日本では屋外での5GHzの使用が許可されていないし、802.11aのチャンネルも海外と互換性の無い4 チャンネルのみであるという話である。

◆ これから提供されようとしている無線LANの仕様

これから正式決定される(いわゆるドラフト仕様)ものに、802.11g(2.4GHz帯を使い最大54Mbpsが得られるがチャンネルは3つのまま)、802.11i(セキュリティ強化)、802.11h(周波数帯とパワーコントロール強化)、そして802.11e(品質強化)がある。

◆ 無線LANの課題

無線LANは免許が要らない代わりに、出力の制限や帯域のよっては他の機器が既に使用している場合があり、干渉によって甚だしい場合は、使えないこともあり得る。まず2.4GHz帯では(アメリカでは)、コードレス電話、車庫ドア自動開閉 そしてBluetoothが同じ周波数を使っている。このため、無線LANには3チャンネルしか確保されておらず、仕様では300フィートで11Mbpsのスピードが出るはずだが、実際のテストでは120フィートくらいまでしか届かないという報告も出ている。まあこれでも室内では十分だと思うが、問題は有線LANと同じく、同一チャンネル内にどれだけのユーザーがいて、どの程度のスピードで接続されているのかも影響するので、実際の速度は5Mbpsを越える程度と見て置いた方が良さそうだ。

これに対して5GHz 帯では屋外でレーダー(軍用)の干渉があり、アメリカでは国防省の説得に時間が掛かったが、チャンネルを増やすことに成功している。チャンネルは12あり、2.4GHz 帯に比べて、干渉やユーザー増加による実質スピード低下が避けられるようになっている。802.11aでは802.11bとのコンパティビリティーが無く、このためそれぞれの規格を持ったチップを搭載した、いわゆるコンボカードを使わないといけなくなるが、それぞれが独立しているので干渉による速度低下が無いとも言える。

◆ 何をいつ購入すべきか?

ここで、ドラフト仕様ながら製品化され、マックにも搭載されているのが802.11gである。802.11gの正式決定は今年6月とされ、WiFi認定はそれから後となるが、その魅力的な仕様から見切り発車が多く、論議を呼んでいる。先ず802.11gは802.11bと同じ2.4GHzを使い、チャンネルは同じ3つである。そして802.11gは802.11bとコンパティビリティーがあり、802.11bとしても動作するが、最大速度は802.11aと同じ54Mbpsが出るとされている。ある評価によれば、同じ距離では802.11gの方が802.11aより倍以上の速度が出ると報告されてもいて、いやが上でも消費者の注目を集めやすい。

筆者の調べたところでは、まだ実際に使ってみた結果は、一部の専門家による報告以外は出ていないし、一般の使用報告はロンドンのホットスポット(世界で唯一802.11gを提供している場所)でのものしかなく、本当に評判通りの性能なのかは、良く判らない。ただ言えることは、802.11bと互換ということが災いして、ホットスポットでは802.11bよりやや早い程度のスピードしか出ないのが現実であろう。もちろんこれでも早いわけだから、いわゆる56Kモデムのように使う人はいるだろう。しかしドラフト仕様では正式仕様になった時に、本当にファームウェアのアップグレードで対応出来るのかは、誰にも予測出来ないし、過去の56Kモデムの例では、ファームウェアのアップグレードで対応出来なかったケースが何件もあった。これらが802.11gで起きないと言う保証は全く無いし、完全なアップグレード(ハードウエア交換を含む)を保証している802.11gメーカが一社も無いのも心配である。

既に何社かのWindowsノートPCメーカーから802.11gが搭載されたものも発表されているようであるが、企業ユースと一部の家庭内特殊ユーザーを除き、今、あわてて高速の無線LANを搭載する必要は無いと言い切れる。筆者の読んだ高速線LANの報告(専門家によるもの)では、その用途は一部の人に限られている。専門家による高速無線LANの用途の多くは、大容量のデータをサーバーから転送するもので、例えばDVDを無線LAN経由で見るとか、テレビをノートPCで見るというもので、家庭内ならいざ知らず、ホットスポットでこのようなことをしたいという人が、今どれだけいるだろうか?家庭内でも大容量のデータ転送なら、別にいくらでもより確実な有線による方法(USB2とかFireWire)がある。

◆ 結論

筆者の結論から言えば、ノートPCでもUSB2が標準になった今、今年前半に買うのであれば無線LANの802.11bが付いていれば実用十分であり、もしコンボ(802.11b & a)が搭載されていればそれを購入しておくことをお勧めする。来年迄待てる人は、3種コンボ(b & a & g)が搭載されるはずなので、それを買えば良いと思うが、その頃には又、新しい規格が提案されているはずなので、今年購入を待った人には、またまた難しい問題となろう。



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