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◆ 無線通信のセキュリティー
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◆ ネットスタンブリング

Netstumblingとは別名War-drivingとも呼ばれていて、オープンな無線LANを探し出し、その場所を記録したり、そこにログインしてみる行為を指している。一般の無線通信界では古くから行われて来た行為であり、スキャナー(傍受器)は秋葉原などで購入出来る。警察無線傍受など、無線がデジタル化する迄は、なかなか楽しく、たまには役に立つものだった。

無線LANでは既に、各種のウェブサイトでホットスポットの場所や、そこへのログイン方法が公開されているし、ホットスポットを探るソフトウエアなども無料でダウンロード出来る。車に設置しているケースが殆どらしく、アンテナが突き出ているのが特徴とか。無線LANはオープンであるから、そこにログインすること自体は違法行為ではないが、サービスや情報の盗用があれば、米国連邦法違反となる。最近ではFBIにその取り締まり部門があることが知られている。日本でも無線LANの危険性が指摘されているが、最近の米国の報告でも調査した3分の2の西海岸の無線LANホットスポットは完全にオープンで、何のセキュリティーも施されていなかったとされている。

有名なスターバックコーヒーでの無線LANは、T-Mobileがサービスを提供し、HPが接続ソフトを提供しているが、その入会案内書にも注意書きとして、T-Mobileホットスポット・ネットワークは他の無線LANと同じように、本来セキュアではない(not inherently secure)ので情報の秘守は顧客の責任であると書かれている。まあアメリカ特有の民事訴訟を避けるための責任逃れとも言えるが。

◆ 無線LANのセキュリティー

専門家に依れば、現在の802.11b/a/gでも、有る程度のセキュリティーは設定可能になっている。一般にWEP(Wired Equivalent Privacy)というものがこれで、802.11の標準である。問題はプロバイダや利用者がこのことを知らずに、セキュリティー無しの無線LANの設定をしてしまうのが一番の問題とされ、802.11eの作業部会ではこれをもっと簡単にかつ確実にするべく論議が行われているとのことである。

サンフランシスコの筆者宅の無線LANは、専門家によるファイヤウオールを設定しているが、一般の家庭内ユーザーはWEPでも十分かもしれない。しかし企業ユーザーは既に確立されたVPN(Virtual Private Network)を使って企業ネットワークにアクセスする必要がある。VPNを使うとユーザーと企業ネットワーク間がトンネルで繋がり、かつ絶えず監視されているので、他者が進入する可能性は極めて少ない。筆者の会社でも無線LANの設定は、128ビットの暗号化処理とVPNの両方を併用している。

このようにビジネス用途では、WEPでは十分でないので802.11i作業部会では、WPA2 (Wi-Fi Protected Access 2) という標準が開発され検討されている。しかしWPA2のリリースは今年末以降になる予定なので、それまでの対策としてWEPの欠点を改善したものを、WPAとしてWi-Fiアライアンスのメーカーが近日出荷出来るよう、手配されているとのことだ。こうしてみると無線LANの飛躍的な拡大に向けて、その技術面の対策も着々と進行中と言える。 

◆ 日本でのセキュリティーは大丈夫か?

携帯王国の日本は多少違う道を歩むという論調を良く目にするが、PHSなどは日本にしかないシステムなので、これは高速無線LANでMESH技術が一般化する迄は存続するだろうが、所詮は128Kbpsであり10Mbps以上の速度になる高速無線LANにはとてもかなわない。ところで、日本で高速無線LANをテスト使用されている記者や評論家の方たちは、セキュリティーの設定はされているのだろうか?人ごとながら心配である。802.11bでインターネットアクセス程度ならセキュリティーは最小で良いかもしれないが、802.11aやgで高速データ・ダウンロード、アップロードを日常的に行なっている人は、家庭内のシステムでも最低限のセキュリティーを設定しておかないと、情報が盗まれる可能性が高いと言える。アメリカと比べて日本ではまだこの辺に対する消費者教育が進んでいないようなのは、大いに気に懸かるところだ。

◆ イラク戦争と景気の行方

ちょっと話題が逸れるが、イラクとの戦争が始まってもう2週間目になる。戦争が始まる直前と今週末と、飛行機で国内旅行を2度程したが、各空港のセキュリティは特に際だって厳しくなっている様子は見られなかった。空港によっては州兵がM16を抱えてガードに立っているのが見掛けられたが、最早それも日常茶飯事となってしまっているので、別に驚きもしなかった。戦争が始まっても、アメリカ国内はこの様に変わっていない。オスカー賞授賞式も行われたし、大学バスケットボールの試合も予定通り始まっている。

唯一頭が痛いのが、アメリカ国内のみならず世界経済に与える影響がはなはだ大きく、早く戦争が終結しないと世界は完全な不景気に突入することが避けられない状況となって来ているようだ。既に台湾などはアメリカからの注文が途絶えて3月の景気指数がどうなるのか大変な問題となっている。アメリカ国内でも9月11日以降も景気の良かったDIY関連のホームデポとかも、2月の売り上げが激減しているそうで、新たなレイオフの可能性も出て来ているとか。日本への影響はまだまだ先で、過去の例で行けば夏頃になるであろうか?しかし日本への戦費の負担要求とか、イラク復興の自衛隊派遣とかの話が出て来るのは間違いないだろうし、小泉首相はこういうことが国際貢献だと思っておられる節もある。アメリカの景気回復の特効薬である、個人消費を増やす頼みの綱の減税政策も、この巨大な戦費のお陰で、半分に削られてしまっている。2003年もどうやら余り良い年にはなりそうに無くなって来た。筆者自信も使えるお金が限られて来ている上、今年買いたい物はノートパソコンの買い換えだけなのだから、景気の回復にはとても寄与出来そうにない。



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