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世界IT事情 ITを通じて世界の文化を見てみよう! 第19回 アメリカ、ロサンゼルス発
「出会いも結婚も、始まりはインターネットから」
心理学を導入した出会い系サイトが人気

日本人に比べれば、フレンドリーに声をかけるだろうアメリカ人でも、出会いのなさを嘆くのは同じ。会社での出会いも限られ、車社会では通勤途中の出会いも期待できない。そこで、真剣な出会いを求めるアメリカ人の救世主となっているのが、マッチングサイトだ。日本の「出会い系サイト」関連の問題をよく耳にするが、合理的なアメリカでは「出会いも結婚もオンラインで」という風潮が一般化しつつあるようだ。

結婚式

コンパチビリティ・マッチング・システムを通して、2005年7月23日に結婚したバーバラ・スミスさんと、ウォルター・スミスさんの結婚式。

こうしたサイトには、アジア人限定や黒人限定など人種を特定したものや、カトリック限定、ユダヤ教限定など宗教を限定したサイト、シニア限定のサイトなどがあるのも、お国柄の象徴と言えるだろう。
ただ、現在話題のマッチングサイトは、写真と数行の自己紹介だけで相手を探す、無料サイトではない。心理学が発達したアメリカならではの、心理学に基づいた科学的な根拠のあるシステムを導入したサイトが多く、人々の信頼度も高い。また月額利用料が発生するため、真剣な出会いを求める人と出会える確率も高い、というわけだ。
中でも、2000年に創設された「eHarmony(イーハーモニー)」は、月額59ドル(1ドル95円換算で約5605円)の利用料にもかかわらず、現在アメリカを始め、191ヵ国から毎日1万人〜1万5000人が登録し、会員数約2000万人を誇る。それもそのはず、ここは何と毎日(!)236人を結婚へ導いているサイトからだ。
同サイトでは、科学的な裏付けがなされた29のカテゴリーから適合を判断する「コンパチビリティ・マッチング・システム」を導入。これは、35年にわたって結婚カウンセリングなどを行った臨床心理士のニール・クラーク・ウォーレン博士(73)らによって開発されたもの。同システムによって、相性が合うと予想される人を探してくれるから、相性の合わない人と会う時間を省いてくれる、という合理的なシステムだ。
「悲しみに暮れながら離婚に至る結婚生活を送った人々に、数多く出会ってきました。そこで、どうすれば幸せな結婚生活が持続できるかを研究しました」と、創設のきっかけを語るウォーレン博士。
利用者は、256に及ぶ質問に答え(3時間かかったという人もいる)、性格や信条、価値観、感情面の健康度などを分析。この結果によって、どのようなタイプの人とマッチするかが記載されたコンパチビリティ・プロフィールを作成。そして、プロフィールに基づいた適合性のある人を紹介してくれる、という仕組みだ。

 

生涯のパートナーに結びつく似通った価値観

結婚に至ったカップルからは、心理学に基づいたシステムの成功率の高さが伺えるさまざまな証言が寄せられる。
「リタイアしたらやろうと決めていた貯金の使い道がまったく同じでした。これは奇跡としか思えません」「私がパートナーに求めるものをすべて持っている人だったから、プロポーズしてくれた時は最高でした」。

イーハーモニーサイト

アメリカで、毎日平均236人を結婚に導いているリレーションシップ・サイト「イーハーモニー」。アメリカを始め191ヵ国で2000万人が登録していると言う。

カリフォルニアのシニアの恋愛に対する積極的な価値観が伺えることも特徴の一つだ。「いくつになってもパートナーは必要だと思う。孫や兄弟らと過ごす時とはまったく違うものがあるんです」。
しかし、出会い系のサイトでパートナーを探すことには不信感を抱いたり、抵抗があるのも事実のようだ。「オンラインを利用するなんて、と最初はためらいがあった。でも、一度だけなら試してもいいかという気持ちで登録しました」というのは、2000年に前夫を亡くしたバーバラ・スミスさん、77歳。現在のご主人、同い年のウォルターさんとは、このサイトを通じて2005年2月に出会い、同年7月に結婚している。
「主人とメールで会話を始め、カフェで初めて会った時、主人は私を一目見て、『この人だ』と分かったそうですよ。私も『なんてハンサムな人!』と思いました」と、喜びを隠せない様子だ。結婚してすでに3年になる2人だが、これまでに一度も意見が合わなかったことがないと話す。
国勢調査局2006年度の調べによると、アメリカの18歳以上の人口、約2億2000万人のうち、58.2%が既婚者、それ以外の41.8%のうち、独身(25.3%)、離婚(10.35%)、死別(6.2%)という報告がある。
一時上がった離婚率も最近は落ち着いてきたものの、主要国内ではロシアに次ぐ2番目に多い離婚国のアメリカ。一方で、生涯のパートナー探しは続く。もちろんアメリカでもこうしたサイトでパートナーを探すことに違和感のある人もおり、事実、先のバーバラさんも、現在の夫と出会うまでに25人は紹介されたが、どの人にも魅力を感じなかったと言う。結局、出会いの場を提供するということなのだろうが、77歳の女性がインターネットでパートナーを探すという行動力には感心するばかりだ。

特派員プロフィール

大山真理(おおやま・まり)
ロサンゼルス在住。東京FM、FM802などでラジオレポートを行う。『夕刊フジ』、『朝日新聞(ウェブ)』、『日経トレンディ』、『日経ヘルス』など各種媒体に健康、流行、旅行、インタビュー記事などを執筆。『30都市徹底ガイド(ロサンゼルス担当)』(JTBパブリッシング刊)、訳書に 『「もう頭にきた」と思ったときに読む本』など。テレビ番組の取材コーディネート、通訳にも携わる。

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