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左右に搾乳ユニットを装備したキャリロボ本体。上方に通信ユニットが設置されている。
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畜舎の隅に設置された無線ユニット。事務所のパソコンと繋がっている。
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双方向通信でやりとりされる情報と機械の動きについて、順を追って説明しよう。まずはパソコンとキャリロボの間。
(1)搾乳前に、個体番号、牛床、前回搾乳量、搾乳禁止乳頭の各データがパソコンからキャリロボに送信される。
(2)作業者はキャリロボに表示される搾乳禁止乳頭を除いてミルカーを装着し、搾乳開始。
(3)搾乳終了後、乳量データが自動的にキャリロボに転送される。
(4)全頭の搾乳が終了したら、キャリロボが個体番号と乳量データをパソコンへ一括送信する。
乳量データを受信したパソコンは、ビジュアルマネジメントが給餌モデルを参照しながら個体別に給餌表を作成。次はパソコンとマックスフィーダーの間で通信が始まる。
(5)パソコンから給餌機に個体別給餌表を送信。
(6)各牛の電子耳標を検出した給餌機が、該当する牛の前で自動的に停止。
(7)個体別給餌表に基づいて、所定の量を自動給餌。
システムの見た目はほとんど変わらないが、ITを駆使したチャレンジマン20の導入効果は大きい。導入前の実証試験では、生乳単位重量あたりの濃厚飼料費が、導入前に比べて約20%も削減できたという結果が出ていたが、高橋牧場でもそれに準じた削減効果が認められるという。また泌乳初期牛(乳をどんどん出すため栄養不足となり、痩せてしまう牛が多い)の痩せ具合が緩和され、泌乳後期牛(給餌過多で太ってしまう牛が多い)の太り具合が抑制された。飼養管理がより精密になったため、選び食いや食べ残しが大幅に減り、結果的に乳牛のコンディションが改善されたのだ。コンディションが良くなれば、牛はストレスが少なくなり、乳質の安定化が期待できる。
目に見える効果だけではない。智美さんは「精神的に仕事に縛られなくなったことが嬉しい」と話す。実際の労働時間はそれほど変わらなくても、機械任せにできる部分が増えたことで、心に余裕ができたようだ。
もちろん、自動化とIT化がここまで進んでも、酪農の仕事に経験と勘が欠かせないことは言うまでもない。チャレンジマン20は「規模の拡大によって酪農家の経験や勘だけでは対応できなくなった部分を補完するシステム」という言い方もできるだろう。後継者不足という現状を考えると、このシステムは酪農に新しい人材を呼び込む有効な手だてになるはずだ。
オリオン機械のスタッフは、チャレンジマン20の機能を更に向上させたいと夢を語る。「例えば発情タイミングをいち早く察知できれば、繁殖効率を向上させることができます。また、キャリロボで乳成分までチェックできたら、より高品質な牛乳を生産できるでしょう。やりたいことはまだたくさんあります」
省力化システムから精密個体管理システムへ──ITの活用によって、酪農の現場は新たなステージへと確実に進化した。 |