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恐竜の大きさというのも、またさまざまですね。
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富田 |
アフリカ象と同じくらいの体重で、キリンよりもちょっと背が低いというティラノサウルスの先祖は、鶏や七面鳥程度の小動物にたどり着きます。例えば、すべての恐竜の先祖に近いと言われるエオラプトル。これは今まで見つかった中で一番古い恐竜です。恐竜としては体の仕組みが最も原始的ですが、それでも一般にイメージされる爬虫類というよりは、ヤンバルクイナのような姿の動物だったでしょう。 |
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恐竜というと、大きなイメージがありますが、平均すると犬やウサギ程度の大きさだったそうですが。 |
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富田 |
そうだと思います。確かに体重が100トンある恐竜もいましたが、そうした大きな恐竜というのは、その時にも珍しかったはずですし、それに小さいものは、化石も残りにくく見付けにくい。諸説ありますが、平均するとちょっと太ったウサギ程度の大きさだったろうと思います。 |
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恐竜の時代は、人間など踏みつぶされてしまう程巨大な恐竜が闊歩していて、長い首を伸ばして高木の葉をはんでいたようなイメージを持っていました。
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富田
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それでも学問的に考えた場合、平均的な大きさがウサギ程の動物というのは、かなり大きい部類に入ります。人間も哺乳類の中では、大きな部類なので、それを基準に見てしまいがちですが、平均がウサギ程度というのは、動物の中では大きいのです。
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恐竜は、進化の過程で段々と巨大化していったんですよね。
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富田
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恐竜が登場したのは、中生代初期ですが、我々の先祖に当たる哺乳する動物は、それよりもはるかに前、古生代からいました。それらが、徐々にマイナーチェンジしていって、今、我々が目にするネズミのような動物に進化していき、そして真の哺乳類が、恐竜と同じ時期に現れました。つまり今の我々につながるような、狭い意味での哺乳類は、恐竜より先に小型化に成功したわけです。小型化すると、食べ物も少なくて済みますし、隠れるのも簡単だし、住処も困らない。集まって住めるから、配偶者にも困りません。世代交代も早いので、環境にも適応しやすくなります。恐竜も登場した初期は、小さくなろうとしていたのですが、哺乳類及びその先祖が先にミクロ化に成功したことによって、小型化する余地がなくなったんだろうと思います。ちなみに一番小さい恐竜と言われているものですと、親でもハツカネズミ程の大きさに過ぎません。
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先に別の種類に小型化されてしまったから、大きくなる方向へシフトせざるを得なかった。恐竜が滅んだのは隕石がぶつかって氷河期が訪れたためというという話がありますが、そればかりではないのでしょうか。
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富田
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隕石が、定期的に地球にぶつかっていた時期もありますし、それによって環境が変わったのだろうと匂わせる発見もいくつかありますので「そうではない」とは言えませんが、隕石衝突は、いろいろ重なった不運の中の一つであって、決定打でもきっかけでもないと思います。
結論としては、地球規模の地殻変動に関連しているのではないかと思っています。当時、大陸プレートが、かなり動いていました。当然、火山活動も活発になりますし、火山の噴火によって、一時的に温暖化したり、寒冷化したりもしたでしょう。
ですが、恐竜というのは、基本的には寒さに強く、特にティラノサウルスなどは人間よりも圧倒的に寒さに強い。進化したと言われている恐竜の化石が見つかるのは、ティラノサウルスに限定して言うと、当時の気候環境において、ちょうど今の富山から札幌くらいの環境に集中して見つかります。ティラノサウルスが寒い所で繁栄している時代に、その前のジュラ紀に繁栄した恐竜たちが熱帯の方で引き続き繁栄しているみたいな様子だった感じはありますね。かと思うと、当時の南極点や北極点近くでも化石が見つかっています。その辺りは、今のアラスカに近い環境だったと見積もられています。
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恐竜って、世界中どこにでもいたんですね。
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富田
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間違いなく、世界中にいましたね。ただそこに絶滅の鍵があるのではないかと考えています。恐竜とほぼ時を同じくして繁栄した、首長竜や翼竜、アンモナイトといった生物の方が、恐竜よりもワンサイクル前に滅んでいるのですが、それらが滅んだ原因が隕石の影響だったとしたら、一度に滅ぶはずです。そういうズレを考えると、別の理由があるはず。それが海抜の高さではないかと考えられるんです。
寒冷化が起きたと仮定した場合、一時的にでも気温が下がると、それまであまりなかった万年雪――つまり溶けない雪が地球上に出来る。そうすると、地球上の水の総量は変わらないので、どこかの水が減る。「どこか」とは、海水のことです。海の水が減ると、大陸棚が短くなり、また気温が下がって大陸棚が短くなり…と、スパイラル状態に陥ります。
その他の生物でも、例えば、今でも生きているアンモナイトの先祖に当たるオウムガイは、海の深い所で卵を産みます。一方、アンモナイトは浅瀬で産む。オウムガイよりはるかにモデルチェンジして進化していたはずのアンモナイトが滅んだ理由がそこにあるのではないかと思うのです。
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隕石がぶつかったということは当時の一つの事象で、地球活動によって気温の変化も激しくなり、海抜の変化で、生息地の環境が変わって…。
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富田
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前置きが長くなりましたが、海水が減ったことで、今まで離れていた陸地がつながったりしたでしょう。その時に、別の場所から病気を持ってこられたら、その病気に対しての免疫がありませんから一貫の終わり。危険だと思ったらすぐに飛び立っていかれる鳥に対して、陸地にいる恐竜は、病原体や寄生虫に対しての対策が常に後手に回ってしまう。あるいは環境の変化で主食にしていた餌が滅んでしまったりといったさまざまな出来事が絡みあっているのではないかと思うのです。
実は当時、哺乳類も8割程滅んでいるのですが、哺乳類の方が、恐竜よりも代謝が低かったので、ある程度、食べずに冬眠したり、小型の物は流木にのって漂流したりと逃げ出して、危機を乗り越え、遺伝的な免疫を獲得していったと考えられます。
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恐竜は免疫を獲得できずに、滅んでしまったということでしょうか。
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富田
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姿形の多様化はしたけれど、遺伝的多様性は低かった、つまり病原に対しての免疫も低かったのだと考えられます。例を挙げましょう。白亜紀後期の大半、北米はロッキー山脈をはさんで、西と東は元々、別の大陸でした。それが大陸移動や寒冷化によって陸がつながったりして、それぞれの大陸にいた恐竜のシャッフルが何度も繰り返されることになりました。結果、見た目は似ていても、角の形や鳴き声が違うというような、微妙な違いによって、複雑に多様化したコミュニティが多数出来た。病気はうつるけれども、交尾には至らない。つまり遺伝的多様性を獲得できない状態と言えます。大陸の分裂・移動が劇的に進行した白亜紀に、とさかや角をもつ多様な恐竜が登場し、多様性のピークを迎えたこの時代にカタストロフィーが起きているのは、そうした理由からだと思うのです。
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富田さんは、そうした恐竜が絶滅した環境と、今の熱帯雨林の状況とを重ねて見ておられますね。
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富田
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実は僕も最初は、熱帯雨林における「生物多様性」について勘違いをしていたんですが、初めてボルネオに行った時、昆虫が少ないことに驚きました。いえ、いるにはいるんです。ただ、例えば巨大なカブトムシを見たとしましょう。「すごい。こんな大きな虫がいる。帰り道に採集しよう」と思っていると、1週間探しても見つからなかったりする。つまり1種類ごとの個体数がものすごく少ないんです。ですが少ないけれど、それぞれが生態系の中で何らかの役割を担っているわけですし、逆に、例えば人間が伐採や乱獲などで、ある一種を滅ぼすことが簡単に出来てしまう。それはジクソーパズルのピースが1つ抜けてしまった、いつ崩れるかもしれない環境だと言えます。ですから熱帯雨林の多様な生態系というのは、うかつにいじると恐ろしいものなんですよ。
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影響が目に見えない分、いじりやすく、それ故もろいということですね。
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富田
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熱帯雨林は、温帯や寒帯に、新しい種類を供給するポンプの役割を果たしているんです。人間だって、熱帯で生まれて、送り出されてシナイ半島を通って、ユーラシア、オーストラリア、アメリカで発展していったわけです。つまり熱帯で発生した生物は、増え過ぎて、はじき出されて、他の地で新しい生態系に加わる――熱帯は、温帯にも寒帯にも影響を及ぼす非常に大事な役割を果たしているのです。ですから熱帯の破壊というのは恐ろしいんです。環境問題に関して、熱帯雨林が重要視されているのは、実はそういう事なんです。
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私達が環境を守りたいと思ったら、具体的には何が出来るでしょうか。
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富田
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一つは、動物を飼ったら捨てない、逃がさないということですね。病原体を持ち込んでしまうこともあり得ますし、在来の生物を絶滅させてしまいかねません。
もう一つ、痛切に感じるのがゴミについてです。特にビニル袋や発砲スチロール系のゴミ問題ですね。白くて半透明っぽい物を、ウミガメはクラゲと間違えて食べてしまうんです。1匹のウミガメから96枚ものビニル袋が発見された事がありましたが、それによって胃袋がいっぱいになり餓死してしまう。そのゴミが東京湾から流れ出ても、巡り巡って世界中に行くことになるんです。毎年、沖縄の浜辺でのゴミ拾いに参加しているのですが、例えば西表島の海岸でゴミを拾った場合、実は西表島や日本のゴミはほとんどなくて、北朝鮮や中国、台湾、フィリピン、韓国、物によっては船上から捨てられたであろうアフリカの国々のゴミが発見されます。ですから東京湾から流れていくゴミをカリフォルニア湾でウミガメが食べているというのはあり得ることなんです。
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何気ない自分の行為が、そうやって広がっていくことが改めて実感できます。
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富田
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スマトラ島沖地震の直後には、流れてきた材木で西表島の西の端にある港が埋まってしまい、船の進入が不能になりました。その位、海は世界中につながっているんです。
私は、怪獣が好きで、恐竜にはまり、爬虫類の研究をする中で、環境の問題というのもリアルに実感するようになりました。十分な情報を得ることで、環境についても本当の理解が深まるのではないかと思います。
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