水虫の正体は「白癬(はくせん)菌」というカビの一種。梅雨から夏の時期にかけて発症が増えるのも、この菌が高温多湿を好むためです。
白癬菌は皮膚の表面を覆っている角質層のケラチンを栄養源としていることから、体のどこにでも寄生します。最も多いのは汗腺が密集している上、靴という通気性の悪い環境に置かれがちな足に寄生する「足白癬」、いわゆる一般的な水虫ですが、それ以外にも、手に白癬菌が寄生すれば「手白癬(手の水虫)」、爪に寄生すれば「爪白癬(爪の水虫)」、頭部ならば「頭部白癬(シラクモ)」、内股ならば「股部白癬(インキンタムシ)」、それ以外の顔やお腹、足の甲などに寄生すれば「体部白癬(タムシ)」となり、感染部位によって病名も症状も違ってきます。
また、他人に伝染する力を持っているのも白癬菌の特徴。空気感染や直接接触による感染の可能性はほとんどありませんが、注意しなくてはいけないのは白癬菌が何かを介してうつるケースです。
皮膚の最外層にある角質層に棲み付いている白癬菌は、皮膚が垢となって体外へ剥がれ落ちる時、一緒にくっついていきます。しかし、体外に追いやられてもすぐには死なず、垢が干乾びるまで約半年〜1年間生き続け、再び人に寄生するチャンスを待ち続けるのです。そのため、家族に水虫罹患者がいる場合はもちろん、プールや銭湯、スポーツジムなど多くの人が裸足で歩く場所や、公共施設に備え付けられたスリッパを使う場合などは、感染の可能性が高くなります。また、動物の毛に白癬菌が寄生している場合もあり、可愛いペットからうつされるケースも増えています。
このように、私達の身の回りのいろいろな所に潜んでいる白癬菌。いつ、誰が水虫に罹っても不思議はないのです。
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