交通問題の解決策として有望なIMTSだが、具体的な導入となると、技術的なシステムだけでは片付かない問題があるようだ。ネックとなるのが採算で、日本では運営費が補助の対象とならないことが多いからだ。
海外、特に欧米では、公共交通の運営は税金で補助されるのが一般的。都市の規模に応じて必要な公共交通機関が想定されており、例えば人口が十数万ならLRT、50万なら新交通システムやモノレールのような軌道系、100万になれば地下鉄などが必要になるという認識があり、これに対しては税金を使ってきちんと整備していこうという考え方もある。同時に、中心地への一般車の乗り入れを規制する「トランジットモール」や、市街地に入るクルマに課税する「ロードプライシング」など、公共交通機関に誘導するような施策が取られることも多い。
日本の場合、AGTやモノレールでは、インフラ部分の建設は税金で整備されるが、車両システムや運営は輸送事業者が運賃で回収するケースがほとんど。おそらく、東京や大阪の私鉄が独立採算で成り立っているという前例があるからだろう。これは、世界的に見れば、極めて珍しい例だ。
竹田さんは「これは個人的な思いですが、公共交通は公共財として造っていく、利用者負担だけではなく、もっと広く地域負担で整備・運営されてもいいのではないでしょうか」と語る。地域交通には、交通問題の解消だけでなく、街の賑わいや地域振興に寄与する、交通弱者を救う、環境を改善するといった効果も期待できる。
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