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IT大捜査線 特命捜査第012号:情報サービスで差をつけろ!宅配便の舞台裏 特命捜査第012号:情報サービスで差をつけろ!宅配便の舞台裏
 
  バーコードとPDTでポイント情報を収集
 

カタログ通販やテレビショッピングはもちろん、インターネットでも頻繁に買い物をする、自称“通販大好き人間”の高橋捜査員。そんな彼女が向かった先が宅配便の大手、佐川急便株式会社の本社東京本部だ。

思えば、昔は荷物の宅配というサービスはなかった。物流はどのように進化してきたのか、まずはそのあたりから、同社営業本部 商品企画部の本多 彰さんにお話を伺った。
「昭和30年代前半、物流は鉄道輸送からトラック輸送にシフトし始めますが、当時はまだ大量一括輸送が主流。路線業者が物資を大量に運ぶ時代で、小口の貨物は敬遠されていました。そこに佐川急便が誕生(1957年)し、1個でも荷物を配送する小口貨物を手がけるようになったのです」

 

その後、高度成長期〜バブル期にさしかかると「ジャストインタイム」「トヨタのカンバン方式」など、多頻度少量輸送が主流に。好景気を反映して荷物があふれ、佐川急便も毎年のように前年比2桁以上の伸びを示すようになる。
増え続ける荷物を前に、佐川急便がまず取り組んだのが集荷受付システムの開発だ。営業店が集荷の依頼を受けると、電話番号を元にお客様を特定し、MCA(MultiChannel Access)無線で担当ドライバーに集荷の指示を出すというもの。

そして84(昭和59)年には、バーコード付き伝票とこれを読み取るPDT(Portable Data Terminal)による「貨物追跡システム」が導入された。
荷物は、集荷から配達完了まで最低5つのポイントでチェックされる。荷物がポイントを通過するたびに、バーコード(お問い合わせ番号)を読み取り、ポイント情報を収集。これらのデータがホストコンピュータに蓄積され、お問い合わせ番号を言えば、全国どこからでも輸送状況が把握できるようになった。
現在、1日約450万個、繁忙期で600万個以上の荷物が、このシステムで管理されている。

 
佐川急便株式会社 本社/本多 彰さん
東京・江東区にある佐川急便株式会社 本社 東京本部(写真左)。
お話を伺った同社 営業本部 商品企画部 課長 本多 彰さん(写真右)。
 
セールスドライバー 佐川急便では、一人のセールスドライバーが営業から集荷・配達、集金まで、すべての業務をこなす。
バーコードリーダ
集荷後、PDTで荷札のバーコード(問い合わせ番号)を読み取り、配達を担当する営業店のコード番号を入力。
 
 
お客様から預かった荷物の通過情報を最低5つのポイントで管理し、データ蓄積を行う。
 
 

  最短15分で配達完了データが更新される貨物追跡システム
 

貨物追跡システムで、ポイント情報がどのように蓄積されているのか見てみよう(下の画面参照)。画面左上にある「送り状No.」がPDTで読み取ったバーコード(お問い合わせ番号)で、下半分に表形式で表示されているのが「PDT情報」だ。報告店、業務、月日、時刻から配送車の番号まで、詳細情報が随時、蓄積されている様子が分かる。

画面中央には依頼主と届け先が表示されている。これは手書きのことが多いが、どうやって取り込んだのだろうか。
実はPDTデータとは別の流れがある。佐川急便の伝票は5枚綴りになっており、その2枚目「運賃請求書兼登録票」をデータ化しているのだ。この伝票は通称「金券」と呼ばれ、荷主に運賃を請求する際の元データとなる。集荷を終えセールスドライバーが営業店に持ち帰った「金券」は計算センターに送られ、夜中のうちにデータ化される。
お問い合わせ番号とお客様コードをOCRで読み取り、手書きの依頼主・届け先をイメージスキャナで取り込むためのマシンが、90年4月に導入された「トレーススター」。このマシンは1分間に1000枚という超高速で伝票を処理することができる。

「今や貨物追跡については、どの宅配業者も大差ないと思います。弊社が他社さんと違うのが、配達完了情報が最短15分で更新されること。セールスドライバーは、荷物をお届けして受領印をもらった時点(最後のチェックポイント)でバーコードを読み取ります。集配車に戻り、携帯電話を内蔵したDoPa対応の送信機にPDTをセットすると、配達完了データがサーバに送信されます」と本多さん。
従来は、営業店に帰ってから配達完了のデータを送信していたが、NTTドコモのパケット通信サービス「DoPa(ドゥーパ)」を利用することで、ほぼリアルタイムの更新が可能になった。

利用者も佐川急便のホームページでお問い合わせ番号を入力すれば、荷物の所在を確認することができる。さらに、配達完了を指定のメールアドレスに通知してくれる「配達完了E-mail通知サービス」もある。荷主にとって最も気になるのが、相手に荷物が届いたかどうか。貨物追跡システムは、そんな不安を解消するお客様サービスとなっている。

問い合わせ画面
(1)問い合わせ番号(送り状No.) (2)依頼主・届け先 (3)PDT情報が表示された、貨物追跡システムの問い合わせ画面。
金券 通称「金券」と呼ばれている2枚目の伝票「運賃請求書兼登録票」。
 
トレーススター
「運賃請求書兼登録票」を超高速で読み取る「トレーススター」。写真右の溝の中を伝票が流れ、問い合わせ番号と手書きの依頼主・届け先を読み取ってデータ化する。
 
車載の送信機 配達完了後、車載の送信機にPDTをセットし、サーバに情報を送る。
 
 
   

 
  急成長する代金引換サービス「e-コレクト」
 

佐川急便は独自のネットワーク網をお客様サービスだけでなく、新規事業にも役立てている。その一つが「e-コレクト」。「e-コレクト」は、配達された商品の代金を、これまでの現金に加え、クレジットカードやデビットカードでも支払いができるサービスだ。

2000年のサービス開始以来、毎年、前年比130〜150%の伸びを記録。わずか4年間で、取扱個数、取扱金額ともに約3.5倍に急成長した。その理由は?
「インターネットショッピングを利用するお客様が不安に思うことは、個人情報の漏えいと商品が届かないのに代金が引き落とされること。一方、売り主の心配は、商品を送ったのに代金が支払われないことです。ある調査によると、通信販売業界での貸し倒れ率は売上げの0.3〜0.6%、約100億円にも上るといいます。『e-コレクト』なら、売り主は確実に商品代金の回収ができますし、買う側も商品と引き換えなので安心。つまり、売り手と買い手の双方にメリットのあるサービス、ということですね」

「e-コレクト」のクレジットカード決済は分割やリボ払いもできる。
「決済代金については、興味深いデータがあります。現金の平均単価が1万5000円、それがクレジットカードだと3万1000円、デビットカードでは3万8000円なんです」。高額商品の現金一括払いは苦しいが、クレジットの分割払いでなら買える、そんなお財布事情も垣間見える。

「e-コレクト」のカード決済には、PDTとは別の「カード決済携帯端末」が使われている。これにカードを通して読み込み、DoPa網を利用して与信を行う。読み取った情報は送信後、消去されるのでセキュリティ面でも安心。また、情報が漏れないよう、端末のネジを開けた瞬間にプログラム自体を消去してしまう仕組みになっているそうだ。
現在、この専用端末は約1万2000台導入されており、今年中には全セールスドライバーに配備される予定だ。

代金引換サービス「e-コレクト」実績
※決済金額は現金、クレジットカード、デビットカードの合計。
 
セールスドライバーとお客様 クレジットカード
セールスドライバーがお客様からカードを預かり、その場で与信、決済を行う。
現状では現金払いが9割を占めるが、最近ではクレジットカードでの決済利用も急増している。
e-コレクトとレシート 「e-コレクト」で使われている「カード決済携帯端末」(写真左)と、出力されるレシート。
 
 

  情報サービスで荷受人からも選ばれる宅配業者に
 

集荷受付システムを皮切りに、貨物追跡システムや出荷支援システムの開発、さらに各システムのインターネット対応と、IT化を進めてきた佐川急便だが、これからの新システムやサービスについては、どのように考えているのだろう。

 

「例えば今話題のRFIDですが、ここ数年で、すべての荷物に埋め込むのは難しいでしょう。周波数や電波法の問題、価格、チップの回収など、まだまだ課題が多い。さらに、RFIDを導入するとなると、集配ターミナルや流通センターといった建物の構造まで変えなければなりません。ただ、貴重品など特殊な荷物に限定すれば、RFIDでの入出庫管理も不可能ではありません。直近の課題としては、出荷人とのデータ交換率を上げることですね」

現在、佐川急便には「e飛伝」などの出荷業務支援サービスがあり、出荷人の約4割の出荷情報がデータ交換されているが、この利用率を上げたいというのだ。従来、出荷時には多くの場合、伝票を手書きしなければならなかったが、「e飛伝」などを利用し出荷情報をデータ交換すれば、その手間が省け大幅な作業の効率化につながる。

さらに、「これまでは、特に荷物を出荷されるお客様向けの商品やサービスを拡充してきましたが、これからは荷物を受け取る人へのサービスもより充実させていきたい。いずれは『こんなに便利なんだから、佐川急便に変えてよ』と、利用者から荷主さんに言っていただく……それが理想です(笑)」と本多さん。

出荷人はもちろん、荷受人からも指名される宅配業者になる。そのためには、荷受人が満足するサービスを提供しなければならない。これからの物流には、荷物と一緒に「サービス」や「情報」を運ぶビジネスモデルが、ますます必要になってくるのだろう。

取材協力:佐川急便株式会社
http://www.sagawa-exp.co.jp/

2002年度宅配便取り扱いシェア
99年に宅配便を始めて5年目、佐川急便は順調にシェアを伸ばし、業界1位のヤマト運輸まで取扱高であと約1億個に迫っている。
※国土交通省調べ
 
「e飛伝」
手持ちのパソコンとプリンタで送り状が発行できる「e飛伝」。CSV形式データの読み込み、出力ができる(e-コレクトサービスにも対応可能)。また、荷物の発送状況や運賃など各種データの通信サービスもある。
 
   

 
  追加調査
 

●インターネット・ショッピング利用状況

社団法人日本通信販売協会の調べによると、2002年度の業界全体の売上高は約2兆6300億円。前年比5.6%の伸びで、99年度以降、連続して増加傾向を示しているという。また、協会会員企業のインターネットによる売上高は約1500億円(会員売上高の7%)となっている。この不況下にあっても、通販業界は順調に売上げを伸ばしているようだ。
消費者を対象とした別の調査(※)でインターネットショッピングの利用状況を見てみると、03年6月の時点で利用経験率は82.3%となり、前年度からほぼ横ばいに推移、利用が定着していることが分かる。さらに購入回数も7.1回で年々増加の傾向にある。

※株式会社情報通信総合研究所が企画運営するマーケティングサイト「MIN」上で、継続的に実施されている調査。

 

この1年間の購入回数/推移
 
この1年間の購入金額/推移
出所:(株)情報通信総合研究所「MIN第38回アンケート ブロードバンド&インターネット・ショッピング利用実態調査」(2003年6月)
 
特命捜査第012号 調査報告:高橋ひとみ捜査員 特命捜査第012号 調査報告:高橋ひとみ捜査員
写真/海野惶世 イラスト/小湊好治 Top of the page
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