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E
Ink技術の概要。仕組みは極めてシンプルだが、ミクロンレベルのコントロール技術は驚異的。 |
話を進める前に、今なぜ電子ペーパーが求められているのかを考えてみよう。
昔も今も、私たちの生活には紙、そして紙メディアが欠かせない。情報のIT化が進んでコンピュータや携帯電話がこれほど普及しても、メモや手帳は紙の方が便利だし、会社ではいまだに書類をコピーして回覧している。新聞や雑誌も電子化の話はとんと聞こえてこない。2004年の主要国の国民一人当たりの紙・板紙消費量を見ると、日本は247キロで世界第4位(日本製紙連合会調べ)。世界的にみれば経済の発展に伴って紙の消費量が増えている国もあり、限りある森林資源が心配になってくる。
考えてみれば、私たちが必要としているのは紙そのものではなく、そこに表示されている情報だ。紙を使わずに情報だけを伝達できれば、それで充分のはず。少なくとも資源を無駄に消費することは避けられるだろう。電子ペーパーが求められる理由はここにある。
「紙と同じレベルの読みやすさで、表示内容を電気的に書き換えることができるディスプレイ」──檀上さんは電子ペーパーをそう説明してくれた。複数のメーカーが独自の技術を開発しているので細部に違いはあるが、ほぼ共通して以下の特徴があるという。
●自らは発光しない反射型表示。
●反射型なので消費電力が少なくて済む。
●書き込みエネルギーが小さく、電源を切っても表示内容が維持される。
●薄く、折り曲げることもできる(ようになる)。
ポイントは、紙と同じ反射型表示であること。だから炎天下でもはっきり見えるし、コピーも取れる。一方、液晶やプラズマは広い意味で自らが発光する表示で、明るい屋外や斜め方向からだと見にくくなってしまう。
凸版印刷は2001年にアメリカのE Ink社と提携し、電子ペーパーの主要部材である前面板(プラスチック基材+透明電極+マイクロカプセル)の開発を進めてきた。このE
Ink社は、電子ペーパーの表示技術を研究開発しているメーカーの一つ。同社が表示材料の製造を行い、凸版印刷はこの材料をフィルムにコーティングした表示部材である前面板を作っている。その前面板をディスプレイメーカー(例:フィリップス)が電子ペーパーの形にし、その電子ペーパーを電機メーカー(例:ソニー)が電子書籍端末などの最終製品にするわけだ。
これが製品化までの一般的な流れ。メーカーによっては、表示材料から最終製品まで一貫して作るところもあるようだ。
さて、最も知りたいのは、文字や画像が表示されるその仕組み。E Ink社が開発したのは、「マイクロカプセル型電気泳動方式」という表示技術だ。檀上さんに解説してもらった。
「プラスチックの基材面に、表示材料の透明なマイクロカプセルが単層にコーティングされています。カプセルの中にはオイルが充填されていて、正に帯電した白い顔料と負に帯電した黒い顔料が入っています。顔料はカプセルの中を浮遊しているので、自由に動けます。で、カプセル層を挟んでいる上下の電極に電圧をかけると、+方向には黒い顔料が、−方向には白い顔料が移動するという仕組みです」
ということは磁石と同じ?
「タカラトミーに、磁石で砂鉄を動かす『せんせい』というお絵かき玩具がありますね。あれを電気仕掛けにしたようなものだと考えてください」
なるほど。一つ一つの電極にかける電圧を細かくコントロールすることで、白と黒を表示しているわけだ。想像していたよりずっとシンプル。解像度は電極の細かさで決まり、グレーの中間調も表示できるという。
E Ink電子ペーパーの特徴は、第一に紙のように見やすいこと。実際、白と黒の差を示すコントラストは新聞紙より高く、水平に近い角度からも文字が読めるほど視野角が広い。次に、消費電力が極めて少ないこと。電力を消費するのは表示を変えるときだけに限られる。三番目は、薄型、軽量にできること。前面板の厚さは0.3mmもない。
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