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日本デザイン探訪〜「今」に活きる日本の手技 益田文和

画像 ロックカップVol.26 ホタルが舞うロックカップ 波佐見焼の技×モダンデザイン

氷を入れた飲み物が恋しい季節である。グラスに氷を落とす時のキラン、カランという透明な音は華やかだが、焼き物の器の中でカラコロと鳴る氷には控えめな涼やかさがある。
長崎県の波佐見焼は、すぐ隣の佐賀県有田の伊万里焼に比べるといくらか地味だが、江戸時代から質の良い日用の磁器製品を供給してきた大産地である。戦後の陶磁器デザインの近代化を牽引(けんいん)してきた森正洋氏の手になる、数々の名作を生んだ白山陶器も波佐見に本拠地を置く。
その直営店が大阪にできたと聞いてのぞいてみた。地下鉄御堂筋線の淀屋橋駅に直結したビルの2階にある明るいショールーム兼ショップでは、懐かしい名品から最新モデルまでゆっくりと眺めて選ぶことができた。
そこで目に留まったのがレリーフホタルというロックカップ。ホタルとは、素地に透かし彫りを施した上に釉薬(ゆうやく)を掛けて穴をふさぎ焼き上げる、伝統的な磁器の手法「蛍手」のことで、釉薬を透過する光がほんのりと彫り模様を浮かび上がらせる。表面の浮き彫りが作る陰影と相まって、光の方向や強さ、色などによる微妙な表情の変化が楽しめる。
夏の夜の一人酒にはもってこいのカップである。その純白のストンとしたうつろを満たす液体は何でもありだが、私の場合はじっくり寝かせたバーボンがいい。


白山陶器ショールーム
http://www.hakusan-shop.com/

画像 蛍手画像 蛍手画像 バーボンを入れたロックカップ

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年
東京生まれ。
1973年
東京造形大学デザイン学科卒業
1982年〜88年
INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任
1989年
世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員
1991年
(株)オープンハウスを設立
1994年
国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー
1995年
Tennen Design '95 Kyotoを主催
現在
(株)オープンハウス代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している。
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