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明日につながる基礎知識

第20回 知っているようで知らないこのワード 「コーズ・マーケティング」 こーず・まーけてぃんぐ Cause Marketing画像 イラスト

コーズ・マーケティング(Cause Marketing)とは、企業が消費者に商品やサービスを提供する際、その収益の一部をNGO・NPOなどに寄付し、社会的課題の解決に役立てるマーケティング活動のことで、コーズ・リレーテッド・マーケティング(Cause Related Marketing)とも呼ばれている。ここで言うコーズ(cause)は、社会的な「大義」の意。

コーズ・マーケティングの有名な事例の1つに、飲料水「ボルヴィック」の「1L for 10L(ワンリッター・フォー・テンリッター)」がある。ユニセフと協働し、アフリカ・マリ共和国での井戸づくりを支援するプログラムで、消費者が「ボルヴィック」を1リットル購入するごとに売り上げの一部が寄付され、マリに清潔で安全な水が10リットル生まれるという仕組みだ。

コーズ・マーケティングは企業、消費者、NGO・NPOという三者が協働して初めて成り立つ。単なる寄付や一般のマーケティングと異なる点は、三者それぞれにメリットがあるということ。つまり、企業は社会的責任を果たすことで評価が高まるとともに、商品の差別化が可能となり売り上げ増加につながる。消費者は、寄付付き商品を買うことで、気軽に社会貢献ができる。そして、社会的課題の解決に取り組むNGO・NPOは、企業からの寄付で活動資金が得られる。そういう意味で、近江商人の「三方よし」にもつながる手法ともいえるだろう。

東日本大震災の復興支援にも、コーズ・マーケティングが採用されている。例えば大手宅配業者のヤマト運輸株式会社は、宅急便1個につき10円を寄付するという活動で約142億を寄付(2012年3月末終了)。また、食品メーカーのハインツ日本株式会社は、トマトケチャップ逆さボトルを寄付付き商品とし、売り上げの1%を被災地の復興支援に役立てている(期間:2011年6月~2014年5月)。

今月の「コーズ・マーケティング」なアーカイブス
画像 『猿の惑星』

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『猿の惑星』

コーズ・マーケティングの元祖は、1983年にアメリカン・エキスプレスが行った自由の女神修復プロジェクトだといわれている。自由の女神は、アメリカあるいはそれに関連する事物の象徴として表現されることが多いが、映画史に残る傑作SF作品『猿の惑星』第1作でも、非常に重要な役割を与えられている。衝撃のラストシーンは、語り草となっている。