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明日につながる基礎知識

第21回 知っているようで知らないこのワード 「ショールーミング」 しょーるーみんぐ Showrooming画像 イラスト

かつて家電など少々値の張るものを買う時は、いろいろな店をはしごし、カタログを集めて品質を見定めたり、店員と価格交渉するのが当たり前だった。そんなショッピングスタイルが、近年のネット通販の隆盛によって過去のものになりつつある。

ショールーミング(Showrooming)とは、商品を買う際、店舗に出向いて現物を確かめるが、そこでは買わずに、帰宅後オンラインショップで購入する消費者の行動を指す言葉。このようなスタイルが一般的になった背景には、ショッピングサイトやオークションサイト、価格比較サイトなど、商品をより安く購入するための環境が整ったことがある。その結果、最寄りの小売店は商品を見て確かめるだけのショールームと化し、店が客でにぎわっているにもかかわらず、商品は売れないという現象が発生。実際、アメリカの家電量販店が深刻な販売不振に追い込まれた例もある。

ショールーミングに拍車をかけているのがスマートフォン(以下、スマホ)の普及。スマホのカメラで商品のバーコードを読み込むと、ショッピングサイトに自動的にアクセスし、価格や在庫を表示するアプリが次々に登場。その場で価格を比較できてしまうので、小売店としては頭が痛い。その一方で、ショールーミングを受け入れ、ネットショップと手を組むビジネスモデルも出てきた。それが、アパレルの通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」と商業施設「PARCO(パルコ)」の提携。ZOZOTOWNの運営元・株式会社スタートトゥデイが提供するスマホ用アプリ「WEAR(ウェア)」を使って消費者がPARCOでショールーミングし、ZOZOTOWNで商品を購入すると、提携先であるPARCOに手数料が支払われるという仕組みだ。

ショールーミングを受け入れるか否か、選択を迫られている小売店も多いが、消費者の購買を左右するのは価格だけではない。小売店は、これまでにも値下げはもちろん、オリジナル商品の開発や接客のレベルアップ、セール情報やクーポンの提供、店頭での商品の受け取りといった工夫を重ねてきた。消費者を満足させるショッピングの楽しさ、便利さ、お得感をどう演出していくか...、それは小売店、ネットショップ共通に取り組むべき課題といえるだろう。

今月の「ショールーミング」なアーカイブス
画像 『銀座のショーウインドウ―130年のデザイン文化史』

『銀座のショーウインドウ―130年のデザイン文化史』日本ディスプレイデザイン協会企画編集委員会編、六耀社刊

『銀座のショーウインドウ
―130年のデザイン文化史』

買い物の楽しみを演出してくれるものの1つに、ショーウインドーがある。中でも銀座のウインドーディスプレーは別格。4丁目交差点の和光本店を筆頭に、百貨店や宝飾店、ブランドショップなどが妍(けん)を競う。その店ならではの、凝りに凝ったデザインは今やアートの域に達し、街行く人たちに驚きと感動をもたらす。『銀座のショーウインドウ―130年のデザイン文化史』は、そんなショーウインドーを通して銀座130年の歴史と魅力を伝える1冊。