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明日につながる基礎知識

第23回 知っているようで知らないこのワード 「M2M」 えむつーえむ M to M画像 イラスト

M2Mとは「Machine to Machine(マシン・ツー・マシン)」の略で、通信ネットワークにつながった機械同士が、人間を介さず互いに情報をやりとりすることを意味する言葉。通常、機械には、通信装置以外にセンサーや処理装置が組み込まれており、自動的にデータ収集や遠隔監視・制御などが行えるようになっている。
M2Mは既に私たちの身近なところで大いに活躍しており、自動販売機の在庫管理やエレベータの稼働・故障状況の確認、無人駐車場の管理、監視カメラによるビル・マンションのセキュリティーシステムなどはその一例だ。

M2Mは効率化だけでなく、新たな価値を生み出すためにも利用されている。例えば、株式会社東日本ウォータービジネスがJR東日本エリアの駅構内に約500台設置している「次世代自動販売機」。この自販機の前に立つと、搭載されたカメラセンサーが利用者の年代や性別といった属性を判定。サーバーのデータベースとマッチングして、その人に合ったおススメ商品をディスプレー上に表示する。また、センサーで取得した利用者属性情報と販売情報(どの商品を、いつ、何個買ったかなど)はサーバーに送られ、データベースを更新するとともに、マーケティングデータとして活用される。次世代自販機は従来機の約1.5倍の販売力があり、新製品開発やヒット商品の誕生にも一役買っているという。

近年、各種センサーの小型化・低価格化や通信基盤の標準化など、M2Mを構成する要素技術の革新によって、その利用範囲はさらに拡大している。2012年に開通した東京ゲートブリッジは、恐竜が向かい合っているような独特の形状から恐竜橋とも呼ばれるが、ここには多数の加速度計やひずみ計、温度計、変位計が取り付けられており、橋の状態を常時モニタリング。得られたデータは橋の異常検出や劣化予測、保守計画に活用されている。
このようなインフラの危機管理をはじめ、農業分野への応用やスマートシティ実現のためのシステムとして、M2Mは今後ますます重要になると予想される。

今月の「M2M」なアーカイブス
画像 「わくわく自販機ミュージアム」

画像提供:一般社団法人日本自動販売機工業会

「わくわく自販機ミュージアム」

M2M利用の先駆けともいえる自動販売機。そんな自販機の歴史を目の当たりにできるのが「わくわく自販機ミュージアム」だ。2012年春、群馬県前橋市粕川町にオープンした同ミュージアムでは、世界最古の自販機「聖水自販機」という超レアモノをはじめ、昭和30年代に大流行した「噴水型ジュース自販機」や「ガム自販機」といった懐かしいモデル、停電時に自家発電ができる「災害対応型飲料自販機」など、新旧の実機がずらり。まさに、自販機の進化が実感できる場所だ。
※ 入場無料、事前申込制