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報道発表 ニュース

2002.05.24  

「SOBAフレームワーク」7月リリース
〜NTTコムウェアの新規参画で実用化に向け加速〜


ブロードバンド時代に相応しいコミュニケーションツールの開発を目指す産学協同「SOBAプロジェクト」(ソーバ = Session Oriented Broadband Applications、事務局:京都市左京区、プロジェクトリーダー:京都大学・中島玲二教授)は7月、インターネット利用者が複数で共有する空間を作り出す「SOBAフレームワークα版」(評価用)をリリースします。 「SOBAプロジェクト」は昨年9月、京都大学数理解析研究所の中島玲二教授の研究グループを中軸として、慶應義塾大学、東京工業大学、東京大学、早稲田大学の各研究グループとオムロン株式会社(以下 オムロン、本社:京都市下京区、代表取締役社長:立石義雄)の産学協同プロジェクトとして発足しました。

 さらにこのたび、NTTコムウェア株式会社(以下 NTTコムウェア、本社:東京都港区、社長:松尾勇二)の新規参画を得、実用化のための実証実験を今年度内に開始するため、フレームワークおよびアプリケーションの開発を加速させます。 NTTコムウェアは、日本の情報・通信システムの開発・運用を牽引し、IPネットワーク上であらゆるアプリケーションを統合するための技術開発とIPを核とするビジネス革新に関するプロジェクトを進めてきた実績とノウハウがあります。NTTコムウェアが新規参画することにより、「SOBAプロジェクト」の強力なパートナー体制が整ったといえます。「SOBAプロジェクト」では、プロジェクトの趣旨に賛同し、支援していただけるパートナーを、引き続き募集していきます。

「SOBAフレームワーク」は、インターネット上の共有空間を自由自在に作り出すことや、作り出した空間を利用者の要望に応じて簡単に変化させたり、映像や音声などのストリーミングデータや各種アプリケーションをリアルタイムに共有することができます。これを利用することによりブロードバンド上で極めて高度なコミュニケーションが可能となります。より詳細には、サーバを介さずインターネットにつながったパソコンが同等な立場で相互に情報を交換する技術「P to P」を基本とし、ネットワーク上の共有空間を状況に応じて生成、統合、分割、継承、消滅させる「ダイナミック・マルチセッション」を中核にしたコミュニケーション・アプリケーションを作成するためのフレームワークです。また、「SOBAフレームワーク」上には、個人が自由に好みのコミュニケーション・アプリケーションを、プログラミングや通信に関する専門的な知識を必要とせず容易に作成するための機能も備わっています。

 「SOBAフレームワーク」を利用したアプリケーションの例として、インターネット上のバーチャルな教室(共有空間)による「遠隔教育」があります。パソコンのモニターにより指導者となる講師と複数の受講者が共有するのは、それぞれの受講状況映像、講師が解説しながら描く文や資料などです。指導の過程で、受講者を幾つかのグループに分ける必要が生じた時点で、バーチャルな教室を分けることができます。講師のパソコン画面では分けた各グループの状況をすべて把握し指導することが可能で、一方受講者は分けられたグループ内のみのバーチャル教室となります。各グループで得られた結果を全体に共有すべきだと講師が判断すれば、全体のバーチャル教室に統合することができます。これらのグループの動的な変更を可能にするのが、「ダイナミック・マルチセッション」です。このような遠隔教育のシステムの開発に、プロジェクトメンバーである早稲田大学の二村良彦教授の研究グループが着手しました。

 「SOBAフレームワークα版」は、「SOBAプロジェクト」のアプリケーション開発に参加いただける企業を対象に7月に開催する「SOBA Conference」においてリリースおよびデモを行います。「SOBAプロジェクト」とアプリケーション開発参加企業とは、「SOBAフレームワークα版」を用いたアプリケーション開発をとおして、「SOBAフレームワーク」の利用価値を高めるために協力していきます。「SOBA Conference」を、市場性の高いアプリケーションの開発と、そのアプリケーションがパーフェクトに活かせるフレームワーク開発の、それぞれのプロジェクトが集い協創を開始する重要な場と位置づけています。

 開発のロードマップとしては、SOBAフレームワークおよびアプリケーションの実証実験を年度内にブロードバンド事業者や一般ユーザー参加のもとに開始し、安定性や市場性を検証します。来年度にはこの実証実験の結果を反映させた「SOBAフレームワークβ版」(一般ユーザー向け評価用)をリリースするとともに、モバイルやユビキタスへ応用するための研究開発に着手します。

 組織および体制作りについては、現行の「SOBAプロジェクト」は、オープンソース・ソフトウェアを開発し普及を推進する特定非営利活動法人(NPO)を目指します。さらに将来に向けて商用版の「SOBA フレームワーク」を提供し、責任をもってユーザーサポートを行う「SOBA,Inc(仮称)」の組織モデル策定にも取りかかります。

 現在、ADSLや光アクセスなどのブロードバンドインフラが急速に普及していますが、現状は動画配信などに限られた利用方法しかなく、高度なコミュニケーション様式の創造への展望が開けていません。「SOBAフレームワーク」を個人から企業までが自由に利用できるオープンソース・ソフトウェアとして実現することにより、ブロードバンド時代のサービス市場を席捲するキラーアプリケーションの創出を狙うものです。また、「e-Japan」構想では、ネットワーク・ハードウェアの基盤整備が先行していますが、ブロードバンド・コミュニケーションの可能性を現実化するSOBAフレームワークにより、ソフトインフラ面が強力にカバーされます。

 「SOBAプロジェクト」は、「SOBAフレームワークが、大学・企業はもちろん、ソフトウェア開発者、一般ユーザーらによって開発・維持・改良されるべきである」、を基本理念に、世界的なオープンソース・コミュニティの実現に向け、プロジェクトへの支援、参画による連携を、国内はもとより、海外の企業・団体にもワールドワイドに呼びかけます。

【SOBAの研究開発体制の構成と分担】

●大学グループ

1) 京都大学 数理解析研究所 中島玲二教授(コンピュータ・サイエンス)を中心とするグループ <中核的な研究開発>
2) 慶應義塾大学 環境情報学部 萩野達也教授(コンピュータ・サイエンス)を中心とするグループ <遠隔チュータリング・システムの研究開発>
3) 東京工業大学 数理・計算科学専攻科 柴山悦哉教授(コンピュータ・サイエンス)を中心とするグループ <ネットワーク・セキュリティに関する研究>
4) 東京大学 理学部情報科学科 米澤明憲教授(コンピュータ・サイエンス)を中心とするグループ <ネットワーク・セキュリティに関する研究>
5) 早稲田大学 理工学部情報学科 二村良彦教授(コンピュータ・サイエンス)を中心とするグループ <遠隔チュータリング・システムの研究開発>

●企業グループ

1) オムロン
 SOBAフレームワークおよびアプリケーション開発支援環境の研究開発。また各種アプリケーションの開発等。
2) NTTコムウェア
 SOBAフレームワークに関するセキュリティやディレクトリーの研究開発および実際のブロードバンド環境での実証実験。また各種アプリケーションの開発等。

【SOBAフレームワークの機能】

・インターネット上に仮想的にコミュニケーションの場”共有空間”を作成できます。 ・共有空間をダイナミックに変化させることができます。
・共有空間内においてファイルや画像といった静的メディアだけでなく動画や音声も取り扱うことができます。
・共有空間内においてアプリケーションを共有し、複数のユーザーが同時にデータ編集などの操作を行えます。
・フレームワーク自体は画面に依存しません(例えば携帯電話などの小画面端末でも利用でき、また画面が無くてもコマンドラインで実行できます)。
・高度の専門知識をもたないユーザーによっても、自ら望むアプリケーションを自分の力で作成できるインフラを提供します。
・ユーザー毎に異なるユーザーインターフェイスを持つアプリケーションを容易に作成できます。

【SOBAフレームワークが適用するアプリケーション分野】

1)コラボレーション
 チームのプロジェクト運営、会議運営、共同研究、教育におけるクラスルーム運営、遠隔診断
2)カスタマーコンタクト
 顧客・市民とのコミュニケーション、ユーザーサポート、株主総会
3)Eコマース
 対面販売、オーダーメイド、観光案内
4)マーケットプレイス/サプライチェーン
 購買調達、オークション、分散カタログ
5)コンテンツシェアリング/デリバリー
 ビデオ配信、ビデオチャット、個人放送局
6)アプリケーションシェアリング/デリバリー
 ゲーム、医療におけるデータ転送


【用語解説】

1)IPネットワーク
 インターネットの通信規約(Internet Protocol)に基づく通信網のこと。
2)PtoP
 ネットワークに接続された全てのコンピュータが対等な関係にある形態のこと。
 各コンピュータはサービスを提供するサーバとしても、またサービスを受けるクライアントとしても動作させることができる。
3)ストリーミング
 動画や音声のマルチメディア・データを、インターネットを介してリアルタイムで配信し再生すること。
4)ディレクトリーサービス
ネットワークに接続されたパソコンなどにあるユーザー情報等を知らせるサービスのこと。

<SOBAプロジェクト>

〒606-8267 京都市左京区北白川西町80-4 渡辺ビル3F
TEL/FAX: 075-724-2834
URL: http://www.soba-project.org/
mail:info@soba-project.org
※2002年7月開催「SOBA Conference」詳細は上記URLでご覧いただけます。



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