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- 実務環境下において『EPC』を運用し、コンテナ認識率99.9%以上を達成 -


報道発表 ニュース

2004.06.22

ICタグと次世代商品コード『EPC』を使ったコンテナ物流管理実証実験の結果について
- 実務環境下において『EPC』を運用し、コンテナ認識率99.9%以上を達成 -


 NTTコムウェア株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長:松尾勇二 以下:NTTコムウェア)、サン・マイクロシステムズ株式会社(本社:東京都世田谷区 代表取締役社長:ダン・ミラー 以下:サン)、大日本印刷株式会社(本社:東京都新宿区 代表取締役社長:北島義俊 以下:DNP)の3社が昨年10月1日から開始した、ICタグと次世代商品コード『EPC』を使った飲料用PETボトル素材のコンテナ物流管理実証実験が終了しました。
 当実証実験からは、コンテナ認識率を向上させる様々な技術的ノウハウ、運用ノウハウを蓄積することができ、認識率99.9%以上という好結果が得られました。

 DNP柏工場(千葉県柏市)では、飲料用PETボトル素材であるプリフォーム(*1)を製造しており、専用の折りたたみ式コンテナ(以下:コンテナ)を使って、飲料メーカに納入しています。当実証実験では、DNP柏工場から、中間倉庫である東洋倉庫株式会社を経由して、キリンビバレッジ株式会社湘南工場(神奈川県高座郡寒川町)へ搬送するすべてのコンテナにICタグを装着、コンテナ単位での物流管理実験を行いました。
 当実験では、EPCglobal(*2)が標準化を進めている次世代商品コードであるEPC(*3)、Savant(*4)などの技術を使用、ICタグには個別ID(EPC)のみを付与し、各コンテナの属性データをインターネット上のサーバに蓄積する方式としました。

 当実証実験では、次の2つの点に注目しました。
1. 技術検証
システム機器、ソフトウェア、通信環境などICタグ利用の基盤を構成する各要素を組み合わせ、実務環境下での動作を検証する。
(機能・性能が実用に耐えうるレベルであるか評価し、問題点があれば、その明確化とその解決方法を検討する)。
2. 効果検証
ICタグ技術を実務環境に導入することによって、発生する変化とそれがビジネスにもたらすメリット・デメリットを検証、評価する。
また、本実証実験範囲外の部分で効果が期待できる項目の洗いだしとその可能性を考察する。

 現時点では、ICタグおよびリーダの信頼性(ICタグの初期不良や耐久性、外部からの電波干渉等)の問題から、100%の読取を保証することは困難です。しかし、今回の実証実験では、いくつかの工夫を組み合わせることにより、99.9%以上の読取率を達成しました。その工夫とは、以下の通りです。
(1) ICタグをコンテナ上の1箇所にのみ装着するのではなく、両サイドに1箇所ずつ装着し、コンベア上の両サイドに設置したリーダで読み取ることにより、認識率を向上させる。
(2) リーダのみでの読取ではなく、光学的なセンサ等を用いて、まずコンテナの通過を検知したのち、センサから信号を発信することによりリーダを動作させる。光電管センサでは検知したものの、リーダで読み取れなかった場合には、警告灯を点灯させるとともに、コンベアを停止させる。読み取れなかったICタグについては、情報を手入力することにより、運用上、ICタグの読み飛ばしをゼロにすることが可能。また、この運用により、動作しないICタグを容易に抽出することが可能。
(3) 一般に、ICタグとリーダの距離は短いほど良いが、個々のリーダの特性によっては、リーダ近傍に読取が困難あるいは不可となる領域があることが確認されており、こうしたリーダの特性を考慮した読取距離を設定。
(4) 周辺環境によっては、アンテナ背面部に外部環境からの影響を受けにくくする加工を施すなどの配慮がされたリーダを選定(こうした加工が施されていないと、認識率が著しく低下)。

 前述のように、外部センサからの信号によりリーダを動作させることで、ICタグを読み取れなかった場合、作業者の手入力による補完が可能となり、運用上100%のコンテナ認識率が達成可能です。
 今回の実証実験開始前に、ネットワーク環境を使わないクローズドな環境下でも99.9%以上の読取率を達成していましたが、今回、実務環境下において、実際の『EPC』運用に近い形で運用した場合でも、同等の読取率を達成できました。

 さらに、今回の実証実験では、ICタグ、リーダ関連の動作検証だけでなく、サーバ等のハードウェア、サーバ上で動作するソフトウェア、ネットワーク関連の動作なども検証しました。結果、NTTコムウェア製のミドルウェアおよび業務アプリケーションが今回の実証実験において十分な性能を発揮することが確認できました。
 また、実導入において、より経済効果を見出すために、市場実績のあるデータベース、Web Applicationのオープンソースソフトウェアの導入を試みました。性能的に市販ソフトウェアと同等であることが確認でき、サーバ5台構成での初期導入コストは、市販ソフトウェアに比べ約1,200万円減となりました。
 なお、各拠点およびデータセンタに設置するハードウェアとしては、サン製ワークステーション(UltraSPARC-IIe 648MHz)を使用し、問題なく動作しました。

 ICタグシステムを実務環境に導入することによるメリットとしては、クレーム等への対応時に顕著であることが確認できました。あるロットで生産したプリフォームは、いくつかのコンテナに振り分けて、工場内、中間倉庫、飲料メーカのそれぞれに保管されます。特に、飲料メーカに納入後は、製品の使用状況を把握することが難しいため、クレームが発生した場合、同一ロットの所在を突き止めるために、伝票類の検索や、電話連絡などにより、数時間を要する場合がありました。今回の実証実験では、ICタグシステムならびにWebアプリケーションの導入により、この作業を平均10分に短縮することが可能となりました。
 また、コンテナの所在情報をリアルタイムに把握でき、さらにその情報はデータベースに蓄積されるため、コンテナが「いつ、どこにあったのか」時系列で把握することができます。これにより、納入先でプリフォームの使用状況や納入先や中間倉庫など各拠点での在庫をコンテナ単位で把握でき、長期間保管されたまま移動していないコンテナの把握もできるようになりました。トレーサビリティや在庫の適正化などに、大きな効果が期待できる結果といえます。

 将来、スーパーマーケット等に並ぶあらゆる商品にICタグを装着し、これにEPCを記録することによる、物流や商品管理の効率化、トレーサビリティ等への活用が期待されています。実運用面では、ICタグのコストの問題から、高額商品の管理や、コンテナ/パレット/ケース/段ボールといった商品の集合管理の分野から導入されると見られています。
 三社は、今回の実証実験で得られた、ICタグシステムを実運用する上での各種ノウハウを、商品の集合管理の分野に活かしていく計画です。


【用語説明】

*1 プリフォーム
PETボトル製造の中間素材となる試験管形状の成型物。PET樹脂を射出成形機で溶かし、圧力をかけて金型に流し込み、冷却後取出して製造する。プリフォームを再度、金型にセットし、熱と空気圧によってブロー成型することによってPETボトルが作られる。
*2 EPCglobal
EPCの推進団体。旧Auto-ID Center。バーコードの国際機関である国際EAN協会と米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で2003年10月に設立した非営利団体。
*3 EPC;Electric Product Code
現在の商品識別用バーコードに代わる次世代商品コード。64ビットもしくは96ビットで構成され、商品を単品ごとに識別できるユニークコードとなる。
*4 Savant
EPCglobalで標準化を進めているミドルウェアのひとつである。リーダから収集したEPC情報のフィルタリングや伝達, リーダのコントロールといった機能を提供するサーバである。現在EPCglobalではSavantの機能を細分化してFilter & Collection, Reader Protocol, Reader managementといった仕様を標準化中である。


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