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コムジン診療所 あなたの健康を名医がバックアップ:Vol.001:不眠症〜良い眠りとは〜
睡眠時間は8時間がベスト?

一般的に「理想の睡眠時間は1日8時間」と言われていますが、これは統計的に8時間の人が多いというだけで、医学的な根拠があるわけではありません。睡眠のスタイルは人それぞれですし、同一人でも年齢や状況によって変わってくるのです。基本的には、ぐっすり眠れたと感じることが出来て、快適に生活出来ていれば、それがその人にとっての“良い眠り”です。

逆に、十分な睡眠時間を取っていても、起床時に眠気が残り、日中の生活にも支障が出るような場合は、不眠の可能性があります。不眠の症状は、上記に挙げたようなものがあり、それぞれ「入眠障害」、「中途覚醒」、「早朝覚醒」などと名付けられています。

また、不眠症=過眠症でもあります。日中強い眠気を感じ、うとうとしてしまう過眠は、夜間の不眠が原因である場合が多く、2つの症状は表裏一体なのです。
専門的な区分では不眠症も過眠症も同じ「睡眠異常」。
確認されている疾病は34種類あり、原因別に、
(1)ストレスを含め自分の身体内に原因があるもの
(2)寝室の環境が悪いなど身体外の原因によるもの
(3)体内のサイクルが昼夜のサイクルに合わないために起こるもの

に分類されます。
勤務形態などによる睡眠時間のズレや、不規則な生活パターンによる不眠も(3)に含まれる病気です。

快眠へのアプローチ

不眠の症状が1カ月以上続く場合、また1カ月未満でも辛い場合は、医師に相談してみましょう。かかりつけ医がいればまずはそこへ、気軽に相談できる医師がいないなら、内科や神経内科などで診断を受けて下さい。最近では「睡眠外来」など睡眠に関する問題を専門的に扱う医療機関も増えてきたので、そうした機関を利用しても良いでしょう。

病院へ行くほどではないけれど、もう少しぐっすり眠りたいという人は、市販の“快眠グッズ”を試してみたり、下にまとめたポイントを参考に寝室の環境を整えてみたりしてはいかがでしょう。

また、眠る1〜2時間前にハーブティーを飲んだり、軽いストレッチをするなど、これをすると眠くなるといった自分だけの“就眠儀式”を持つことも有効。ただし、寝酒は早く眠りに入らせる入眠促進剤としての効果がある半面、睡眠を途切れやすくするというデメリットもあります。睡眠全体で見れば有害な物質となるので、なるべく控えて下さい。

 
寝室環境のポイント

二重サッシや雨戸、厚手のカーテンなどで外からの音を防ぐ。時計の音が気になる場合は枕元から離したり、音のしないデジタル式のものに。ただし、完全な静寂はかえって緊張感を高めてしまうこともあるので、ゆっくりとした音楽を小さな音でかけておいても良いでしょう。

外の街灯やネオン、朝日などの光を通さないためにも、やはり厚手のカーテンは必須。部屋が真っ暗になるのがイヤな人は、電気スタンドを壁に向けておくなど、光が顔に直接当たらないようにして下さい。

温度

睡眠に適した温度は、夏は24〜26℃、冬なら12〜14℃。布団に入る30分ぐらい前からエアコンで室内の温度を調節しておけば、寝具の温度もちょうど良くなって寝付きが良くなります。

ねまき

首まわりや袖口などにゆとりがあるデザインで、肌触りや吸湿性の良い素材のものを選びましょう。

雰囲気

刺激的な色彩はなるべく避けて。部屋全体をベージュやブラウンなどの色でまとめれば落ち着いた雰囲気になります。また、仕事の書類などは目につかない所へ片付けましょう。

監修者プロフィール
井上昌次郎(いのうえ・しょうじろう)

理学博士。前東京医科歯科大学生体材料工学研究所所長。同大学名誉教授。
1935年ソウル生まれ。睡眠のメカニズムを、脳科学の立場から学際的・国際的に研究し、'72年ラットの脳に4種類以上の睡眠促進物質があることを確認。その後もさまざまな研究成果を上げる。著書に『睡眠障害』(講談社現代新書)、『睡眠の技術』(KKベストセラーズ)、『ヒトはなぜ眠るのか』(筑摩書房)などがある。

 
イラスト/小湊好治 Top of the page

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