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コムジン診療所 あなたの健康を名医がバックアップ:Vol.002:肩凝り〜脱・肩凝りライフを目指して〜
肩凝りはなぜ起こる?

「肩凝り」とは病名ではなく、首や肩周辺の筋肉が緊張しつづけ、疲労して硬くこわばることで発生する、不快感や鈍痛などの症状を指した言葉です。

首や肩周辺の筋肉は、それぞれに4〜5kgほどの重さがある頭と腕を支える役割を担っており、その負担は大変なもの。それでも、人間の背骨は正常時、緩やかなS字状のカーブを保っているため、頭の重さを全身でバランス良く分散し吸収できるのですが、何らかの理由でこのバランスが崩れてしまうと、その重みが首や肩に集中し、周辺の筋肉に過大な負担がかかります。その結果、(1)筋肉が緊張→(2)血管が圧迫されて血行不良に→(3)老廃物や疲労物質が溜まる→(4)肩凝り、となるのです。

また、肩凝りの状態を放置しておくと、より一層、筋肉の痛みや緊張を強めることにもなります。そのため血行不良が悪化し、老廃物が…というように“肩凝りの悪循環”が発生し、ますます症状が重くなってしまうので注意しましょう。

こうした肩凝りの原因として一番に挙げられるのは、猫背などの姿勢の悪さ。また、腹ばいの姿勢で読書をしたり、脚を組んで浅く座るなどの無理な姿勢、さらに、同じ姿勢を何時間も続けたり、編み物のような手指を使う細かな作業も、無意識のうちに脇を固めるために肩周辺の筋肉が酷使され、凝りやすくなります。そのほか、なで肩のような筋肉の発育不良、冷えなどによる血行不良、20代から始まる椎間板の老化、精神的な緊張やストレスなども肩凝りを発生しやすくする要因です。

一番の予防法は、正しい姿勢のキープ

肩凝りを解消するには予防が第一。まずは、正しい姿勢を心掛けましょう。デスクワークが多い職場では、事務姿勢に注意するほか、こまめに休憩を取ったり、仕事の合間に下にあるような「肩凝り体操」を行ってみて下さい。また、これからの季節、オフィスの冷房による肩や全身の冷えにも要注意です。

スポーツも肩凝り予防には効果的ですが、その際大切なのは継続性。楽しみながら続けられるスポーツがあれば最高です。忙しくて定期的な運動が難しいようであれば、手軽にできるストレッチや「肩凝り体操」を日課に取り入れてはいかがでしょうか?

ただし、慢性的な肩凝りの場合、症状が軽減されるには時間がかかります。“肩凝りの悪循環”による症状悪化を防ぐためにも、凝りを感じたらケアが大切です。その際、最も手っ取り早いのが入浴。ぬるめのお湯にゆっくり浸かれば、全身的な温熱効果で血行も良くなるほか、心身のリラックスにも役立ちます。また、蒸しタオルや温湿布などを使った局所的な温熱療法も有効です。

最近では安価に利用できるマッサージ店も増えているので、そうしたサービスを利用してもいいでしょう。ただし、あまり強い刺激を与えると、いわゆる“もみ返し”がやってくるので注意して下さい。

 
どこでもできる「肩凝り体操」

監修者プロフィール
平林 洌(ひらばやし・きよし)

医学博士。慶友整形外科病院副院長。日本整形外科学会専門医。
1936年東京都生まれ。60年慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部教授、慶応義塾看護短期大学学長を経て現職に。頚部変形性脊椎症と頚椎後縦靭帯骨化症に対する「片開き式脊柱管拡大術」は「平林式手術」として知られる。専門は脊椎・脊髄外科。著書に『肩こり・手足のしびれ 頚椎からくるトラブル』(講談社)など。

 
イラスト/小湊好治 Top of the page

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