もしインフルエンザに罹ってしまったら、すぐに病院へ行きましょう。最近ではインフルエンザウイルスに直接作用する抗ウイルス薬が開発され、発病後48時間以内に投与すれば症状が軽く、完治までの期間も短く済ませられます。
しかし、一番大切なのはインフルエンザを予防すること。その方法として最も有効なのはワクチン接種です。
現在はWHO(世界保健機関)が中心となって、毎年のウイルスの流行株の予測からワクチンの素となるウイルスを決めています。今年の冬に接種されるワクチンは昨年と同じく「Aソ連型ニューカレドニア株」「A香港型パナマ株」「B型山東(シャンドン)株」の3種を配合したもの。これが実際に流行するウイルスと合致すれば発病予防効果は健康成人で70〜90%あり、もしインフルエンザに罹った場合も重症化を防ぐことができます。高齢者や幼児の場合、インフルエンザに罹ると肺炎や脳炎、脳症などの重い合併症をひき起こすこともあるので、ワクチン接種はとても重要です。
ワクチン接種後、体内に抗体ができるまでには2週間程度かかります。インフルエンザの流行は通常12月下旬〜2月ごろなので、11月〜12月中旬までに接種を済ませるのが望ましいでしょう。効果は約5カ月間継続します。
費用は自己負担ですが、65歳以上の高齢者は一部公費負担としている自治体もあります。なお、ワクチン用ウイルスは孵化鶏卵で培養するため、卵アレルギーのある人は医師とよく相談して下さい。
今年は特にSARS(重症急性呼吸器症候群)の再流行が懸念されています。もともとSARSはWHOが新型インフルエンザの出現を監視していた際に中国広東省で出現した病気。インフルエンザとSARSは初期症状がよく似ており、専門家であっても初期段階でこの2つを区別するのは難しいと言われています。もちろん、インフルエンザのワクチンでSARSの感染を予防することはできませんが、接種を受けることによりインフルエンザの可能性が少なくなり、SARSとインフルエンザの鑑別がしやすくなります。SARS対策の観点からも、今年はインフルエンザワクチンの接種を受けることをおすすめします。
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普通の風邪 |
インフルエンザ |
SARS |
原因 |
ライノウイルス、コロナウイルスなど
約200種類 |
インフルエンザウイルス |
新型コロナウイルス
(SARSコロナウイルス) |
感染経路 |
接触感染と飛沫感染
感染力は弱い |
空気感染
感染力は強い |
接触感染と飛沫感染
(空気感染も否定はできず)
感染力の強さはまだ不明 |
主な症状 |
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、せき、
のどの痛み など |
38度以上の高熱、頭痛、関節痛、
筋肉痛、倦怠感 など |
38度以上の高熱、頭痛、
筋肉痛、倦怠感 など |
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