骨は、コラーゲンなどのたんぱく質でできた線維に、カルシウムやリンなどのミネラル(骨塩)が付着して出来ています。鉄筋コンクリートに例えると、支柱となる鉄筋がたんぱく質、セメントがミネラルです。骨粗鬆症の骨とは、鉄筋コンクリートでできた壁が薄くなったり柱が弱くなったりして、弱い衝撃でも倒壊しやすくなった建物のような状態なのです。
骨には、骨を作る骨芽細胞と、骨を壊す破骨細胞の2種類の細胞があり、古い骨を壊しては新しい骨に作り変える新陳代謝(骨代謝)が絶えず行われています。ところが、骨の元になるカルシウムの供給が不足すると、骨を壊す破骨細胞の働きが、骨を作る骨芽細胞の働きを上回ってしまい、そうした状態が続くと骨粗鬆症になってしまうのです。
ホルモンの働きも骨芽細胞と破骨細胞のバランスに深く関係しています。人間が生きていくためには血液中に一定量のカルシウムが不可欠ですが、血液中のカルシウムが不足すると、“カルシウムの貯蔵庫”である骨からカルシウムを溶かし出し、血中のカルシウム濃度を保とうとする働きが起こります。この時、血中カルシウム濃度を調整するために破骨細胞に骨を壊すよう指令を出しているのが副甲状腺ホルモン。一方、破骨細胞にストップをかける働きをするのがカルシトニンです。そして女性ホルモン(エストロゲン)は破骨細胞の増加を抑えたり、破骨細胞による骨破壊機能を抑制します。これらのホルモンがバランス良く働くことが骨を健康な状態で保つために必要なのです。
もともと女性は男性よりも骨量が少ない上に、生理、妊娠、授乳の度にカルシウムを消費します。幸い女性ホルモンが骨量を維持する働きをしてくれますが、閉経によって女性ホルモンが欠乏すると、女性の骨量は男性よりも急激なカーブを描いて減少します。閉経期以降の女性に骨粗鬆症が多く見られるのは、こうした背景があるからです。
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