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コムジン診療所 痛風 〜ある日突然、激痛に襲われる!?〜


激痛発作の原因は「尿酸」と「プリン体」

痛風は、簡単に言うと“結晶化した尿酸が関節部などにたまって炎症を起こす病気”。血液中の尿酸値が過剰になった状態を「高尿酸血症」といいますが、これが進行した結果起こるのが痛風です。痛風の元凶ともいうべき「尿酸」とは、古い細胞が分解される時にできる廃棄物。水に溶けにくく、固まって結晶になりやすい性質なので、体内で過剰に作られて排泄がうまくできなくなると、血中に溶け出したり、関節にたまったりします。
その尿酸のもとになるのが「プリン体」。食品から取り込まれるものもありますが、大部分は体内で作られています。プリン体は細胞核が分解される時やエネルギー代謝の過程でできる物質。つまりプリン体は生きている限り常に体内で生産され続けているのです。

プリン体が分解されてできる尿酸は、いわば生命活動の証であり、正常に生産・排泄されていれば何の問題もありません。人の体には、常に1200mg程度の尿酸が蓄積されているとされ、それを「尿酸プール」と呼んでいます。通常体内では1日約700mgの尿酸が作られ、それとほぼ同量が排泄されて、プールには一定量の尿酸が保たれています。尿酸が過剰に作られたり、うまく排泄されなかったりすると、尿酸プールが一定量を超え、血中の尿酸値が正常値を超えてしまうというわけです。しかし、どのくらいのレベルからが異常値なのか、いまだに十分な検証はありません。ですから、一時的に尿酸値が高くなったとしても心配する必要はありません。

痛風発作は尿酸値の高い人に起こる急性の関節炎で、尿酸ナトリウムという結晶が引き起こします。この結晶は体内で異物と認識され、白血球が攻撃をしかけます。白血球が尿酸結晶と戦う際に放出した酵素や活性酵素などの物質が毛細血管を広げ、血流が激しくなるために、痛風発作の腫れや痛みが生じるとされています。痛風発作の痛みは強烈ですが、優れた抗炎症剤の開発によって、速やかに発作を抑制することが可能になっています。

 
痛風の起こりやすい部位
まれに手指の関節や肘、肩などの関節に発作が出る人もいますが、初めての痛風発作は、90%以上が下肢の関節にみられます。

まず自己管理が大切

痛風の原因は「肥満」「大量飲酒」「過食・偏食」「ストレス過剰」といった要素。痛風を防ぐためには、日頃からの自己管理でこれらのマイナス要因を取り除いていくことが必要です。
痛風になる人は総じてエネルギーを取りすぎています。食習慣を改善してエネルギーの過剰摂取に注意し、アルコールやプリン体を多く含む食品は控えめに。水分を十分に補給することもポイントです。ちなみにプリン体はほとんどの食品に含まれ、なかでも多く含んでいるのは魚肉類ですが、バランス良く適量(1日100g以下、160kcal)を食べていれば問題ありません。
強いストレスを受けた時にも尿酸値は上昇します。ストレスを感じるとアドレナリンの分泌が増えて血管が収縮し、尿量が減少するために尿酸がうまく排泄されなくなるのです。十分な休養をとるなど、ストレスは上手に解消したいものです。
また、急激な激しい運動は尿酸値を上昇させるので痛風には逆効果ですが、有酸素運動は尿酸値を下げる効果もあるとされています。ウォーキングやサイクリング、軽い体操などは痛風の予防、症状改善におすすめです。


薬による治療

高尿酸血症の薬物治療については、尿酸排泄剤や尿酸の合成を抑制する薬が用いられてきましたが、最近ではこれらの薬剤による長期的な治療の意味は疑問視されているようになっています。こうした薬は腎結石がある場合や、頻繁に痛風関節炎を起こす人などに用いるべきだと考えられています。ただし、尿アルカリ化剤は随時用いた方が良いでしょう。


 

監修者プロフィール
西岡 久寿樹(にしおか・くすき)

聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター長
1968年三重大学医学部卒業後、三重大学助教授、東京女子医科大学教授を経て、1991年に聖マリアンナ医科大学教授となり、1999年より現職。日本リウマチ学会理事、日本リウマチ財団常務理事も務めている。主な著書に『徹底図解 痛風―激痛発作を防いで治す―』(法研)、『痛風の人の食事』(保健同人社)など。



どこでもできる簡単ストレッチ
第6回 「体側」

体側は普段あまり動かすことのない部分なので、しっかり伸ばしましょう。上体を真横に倒すストレッチが中心になります。

上体をゆっくり横に倒す 頭上で肘を抱え込んで伸ばす 壁を使って体側を伸ばす

▲ 脚は肩幅より大きく開いて立つ。左手で右のウエストを押さえ、右手を上に上げる。そのまま上体をゆっくりと左に倒す。腕を替えて反対側も同じように。上体が前かがみにならないように注意。

 

▲ 肩幅程度に両足を開き、頭の後ろで右手の肘を押さえて、息を吸う。息を吐きながら手のひらで包み込むように肘を押さえ、腰を逆方向に押し出す。反対側も同様に。腕から脇を伸ばすように意識する。

 

▲ 壁から30cmほど離れて横向きに立つ。壁側の腕を上に伸ばし、一方の腕は胸の高さで手のひらを壁につける。そのまま腰、体側を壁につけていく。反対側も同様に。壁から離れるほど効果あり。ただし肩を傷めないように気をつけて。

 

ストレッチ監修/萱沼文子

 
 
イラスト/小湊好治 Top of the page

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