起業のきっかけは「面白いことをやりたいという単純な発想からだった」と伺っていますが、そのあたり、詳しくお聞かせいただけますか?

会社勤めをしていましたけれど、もっと面白いことをしたいと考えたわけです。今は起業家っていう言葉がありますけれど、当時はそんな意識よりも、まず場、つまり株式会社を作らなければ動けない、情報を発信して、きちんとしたものを提供しなければ認めてもらえないだろうという気持ちがあったんですよね。

最初から人材派遣業を始めようと考えていらしたのですか?

最初は、ブティックをやろうか、何をやろうかと私も迷いました。ですが、まずは多くの情報を手に入れることでしょうね。私はいろいろな企業のトップの方にお会いする度、これから儲かる仕事は何ですかってきいて回っていましたよ。
そういう意味では、何をやりたいかなんて決まっていなくても「面白いことをやりたい」という気持ちがあればいいんですよ。何にでも共通することですが、とにかくリサーチすることです。


そうして始められたことを10年、15年と続けてこられた秘訣は、どんなところにあるのでしょうか?

飽きないように、仕事をどう面白くしていくかは、常に考えています。クリエイティブな、新しいものを作っているんだ、チャレンジしていくんだっていう思いがありますから。
ザ・アールを設立した当時は、人材派遣なんていう言葉もありませんでしたから、周囲にはそんな仕事を始めて何を考えているんだって言われましたし、規制もたくさんありました。毎日がスリルと変化で本当に飽きませんでした(笑)。
今だって、たとえ失敗しても、これはノウハウになるな、講演の話題もできたなって思うんですよ。
女性の経営者の方にお会いすると特に感じるのですが、成功する方というのは、どこか基本的に楽観的な所がおありですよね

赤字になって「どうするの?」って言われたとしても「何とかなりますよ。やってみなきゃわかりませんから」と言うしかないんですもの。あとは必死にやるだけです。


ザ・アールでは女性社員が多いということで伺いたいのですが、女性には出産や育児といった節目があります。これらに対する具体的なシステムを伺えますか?

会社が小さいですから、それぞれ個別に対応しています。出産して半年休んで復帰したり、育児中は10時から4時という仕事に変えてほしいということであれば、要望に応えるなどフレキシブルにやっていますね。
雇用のときもそうですね。個人と契約という意識がありますから、求職に対してこちらの仕事はこうですと言って両者が納得し契約が成立すればいいいわけです。
ただ、何千人という大企業になると、個別の対応は大変ですから、一つの大きなシステムを作ることになりますね。

では大企業は何を拠り所にそのシステムを作るべきとお考えですか?

その企業のポリシーでしょう。私はいつも男性の経営者の方々に「自分の会社にとって何がメリットかを考えれば済むことですよ」と言っているんですが、例えば女性がいなくても動いていく会社は、女性を雇うことで発生するリスクを負う必要はない、男性だけ雇用すればいいと思っています。でも女性を意識していかなければいけない企業の場合、女性を活用しなくてはなりませんから、そのときは育児休暇の整備など、女性に投資するべきでしょうね。
一様に「この会社は女の人が少なくてけしからん」などと言うのはナンセンスですよ。会社は個人の能力を買うわけですから、性別ではないと思います。


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