三鷹では、今年2月から、また新たなプロジェクトがスタート(コラム「追加調査」を参照)。「e!School」と名付けられたこのプロジェクトでは、市内各1校の小学4〜6年生と中学2年生全員に、IEEE802.11g対応の無線LANカードを搭載したノートPCを配布。学校と教育センター、市立図書館などを次世代インターネット・プロトコルIPv6対応の超高速回線で結び、動画配信(マルチキャスト)やテレビ電話を活用した実証実験が行われている。
三鷹では、子供達が1人1台のノートPCを持ち、学校はもちろん、自宅や図書館などでも学習できる環境を「ラップトップスクール」と呼んでいる。そんな最先端の環境で学ぶ子供達を三鷹市立第三小学校に訪ねた。
朝、教室に入った子供達は手慣れた様子で、教卓の横に設置された棚から自分のパソコンを取り出し着席。朝の挨拶の後、ネットに接続して、算数の問題を解き始めた。「e!school」指定校では、週に3回、朝の15分間を算数と国語の基礎学力向上のためのモジュール授業(※)に当てている。
「この時間、子供達は学習履歴型ドリルを使い、自分の能力に応じて学んでいます。九九をおさらいする子もいれば、分数計算をする子もいる。6年生で九九をプリントで勉強するのは恥ずかしいけど、これなら平気。終わったら“学習りれきファイル”に、どの問題を何分でやったかと採点結果を記入し担任に提出します」と、杉山雅勇(まさお)校長。
このような個別学習以外にも、ノートPCは授業の道具として使われている。例えば、教師が作ったオリジナルの計算問題を一斉にやってみると、子供達がどこでつまずいたが一目で分かると言う。「10問中4問目の正解率が悪い、これは繰り下がりが分かっていないから。それでは、クラス全体でもう一度やってみよう」となるのだ。プリントと違い、結果が瞬時に分かるので即対応できるし、データに基づいた個別指導も容易だ。
当面の問題点は、集合住宅のように、ネットワークを引きたくても引けない家庭があるということ。これがネックとなり、ネットで宿題を出すといったことが難しいと言う。
※モジュール授業:1時限・45分を15分単位で分け、教科や内容によって時間を弾力的に運用する授業方法。
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「教師の指導方法、学習の進め方、子供の考え方が変わる」と、プロジェクトの効果を語る三鷹市立第三小学校・杉山雅勇(まさお)校長。
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